先週買ったCD #34:2021/05/31-2021/06/06

2021/05/31: tower.jp
Fishmans 「若いながらも歴史あり 96.3.2 @新宿Liquid Room」 \3300
Weezer 「Van Weezer」 \2178
Can 「Live In Stuttgart 1975」 \2970
Pink Floyd 「Live At KnebWorth」 \2750
Amy Winehouse 「At The BBC」 \3672
 
2021/05/31: www.hmv.co.jp
Claire Rousay 「Softer Focus」 \2318
フジファブリック 「Teenager」 \1540
 
2021/06/01: ヤフオク
フジファブリック 「FAB LIST 1」 \10000
 
2021/06/01: diskunion.net
Shirley Horn 「I Remember Miles」 \465
Neville Brothers 「Fiyo on the Bayou」 \659
Coil 「musick to play in the dark2」 \2650
 
2021/06/02: diskunion.net
Fugazi 「13 Songs」 \854
 
2021/06/02: tower.jp
(V.A. Crammed Discs) 「Made To Measure Vol.1」 \2366
 
2021/06/05: diskunion.net
BAHO 「OKURADASHI」 \780
Misfits 「Misfits」 \281
 
2021/06/05: ヤフオク
Fred Frith 「The Top of His Head」 \1000
 
2021/06/05: 音楽堂(大岡山)
Sam Smith 「Love Goes (Live at Abbey Road Studio)」 \2750
 
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Fugazi 「13 Songs」
 
Fugazi はワシントンDCで1980年代後半に結成されたパンクバンド。
ヴォーカルのイアン・マッケイはシーンの中心人物であった。
The Clashジョー・ストラマーは亡くなる前年、2001年のインタビューで
パンクのスピリットを持った今唯一のバンドだ、
と語っていたたとどこかで読んだことがある。
 
イアン・マッケイはパンク=暴力というイメージを払拭し、
未成年であってもライヴハウスで俺たちの音楽を聞いてほしい、
未成年が間違った方向に進んでほしくないと
ストレート・エッジ』というライフスタイルを提唱。
*喫煙しない
*麻薬を使用しない
*アルコールを摂取しない
*快楽目的のみのセックスをしない
ハードコアパンクシーンで広まっていった。
(ただし、イアン・マッケイは一部のファンが
 狂信的な受け止め方をしたことについては違和感を表明していた)
 
この世界の我慢ならないこと、不正や矛盾に対してとことん歯向かう音。
ヴォーカル、ギター2本、ベース、ドラムという骨と皮だけの演奏は
一言で言うなら清廉潔白。ギターロックのひとつの極点であると思う。
一般的にはファーストアルバムにシングルを追加した
「Repeater +3」が代表作とされるだろうか。
でも僕は初期のEPをまとめた1989年の「13 Songs」が一番好き。
というか、いろいろ買い集めたけど結局これと
同じころの「First Demo」しか聞かない。
 
パンクの好きな人は1曲目の ”Waiting Room” を
彼らのオリジナルかカバーで聞いたことがあるのではないか。
数年前、NHK-BS の海外ニュース番組を見ていたら
ニューヨークの尖ったお年寄りたちの合唱団が
クリスマスの慈善パーティーでこの曲を歌っていた。
あれ、なんだったっけ? 聞き覚えあるぞ……?
ハッと気づいたときにはのけぞってしまった。
 
僕は大学入学の年、1993年に買った。
上京したら買いたかったCDのリストの先頭にあった。
しかしこの「13 Songs」の音がモコモコと小さくまとまっているのが難点で。
彼らはリマスター盤を出さない、店頭で見たことがないと思い込んでいたんだけど
先日 discogs で調べてみたらとっくの昔に出ていた。2005年。
DiskUnion でも輸入盤ならリマスター盤がいくらでも安く売ってた。なーんだ。
 
1作目の「13 Songs」をネットでオーダーして、1週間後に届く。
2作目の「Repeater +3」と3作目の「Steady Diet of Nothing」が
先週末吉祥寺に行ったら店頭に並んでいたので買って帰った。
 
今日の本題はここから。
DiskUnion の商品説明のスリップにはリマスターと書かれているが、
どこをどう見ても僕が既に持っているCDと一見何も変わらない。
ジャケットのどこかにリマスタリング・エンジニアやスタジオについて
書いているわけではないし、
再発された年についての記載もない。オリジナルの発表年のみ。
3枚とも、そう。
これ、もしかして DiskUnion でも区別がついてないんじゃないか……?
わかりやすい違いがひとつだけあって、
ある盤は『Made in France』で
ある盤は『Made in England』となっていること。
今回買った「Steady Diet of Nothing」は『Made in France』となっていて、
学生時代に買ったのは『Made in England』
「Repeater +3」はその逆。
これは何か関係するのか……
 
しかし、「13 Songs」を聞き比べてみたら明らかに違っていた。
リマスター盤の ”Waiting Room” のベースの音が
ゴリゴリと生々しい音になっていた。
 
手元には学生時代に買った3枚と、今回買った3枚がある。
隅々までジャケットを見比べて、
discogs のオリジナル盤とリマスター盤に関する記載を見比べて、
なんとなくわかった。
ジャケット裏の「This CD is $12.00 postpaid from DISCHORD
この部分なのだと思われる。
DISCHORD レーベル側が負担するから、このCDは安く買えるということ。
「13 Songs」だとオリジナルが $10.00でリマスター盤が $12.00
この金額で見分けるのだな。
「Repeater +3 Songs」だとそれが $9.00 と $10.00 の違いとなる。
それでいくと今回僕が買った3枚のうち、
「13 Songs」と「Repeater +3 Songs」はリマスター盤、
「Steady Diet of Nothing」は以前と同じオリジナル盤を買っていたようだ。
恐らく、「Made in France」は旧規格っぽい。
 
DiskUnion に言うべきか。
この前買った「Steady Diet of Nothing」はスリップの記載と違って
リマスター盤じゃなかったですと。
でもレーベルに問い合わせたわけではないから
discogs の記載以外に根拠がはっきりしないし、
これら3枚は700円~900円の価格帯だったので
3枚のうち2枚当たったんだからまあいいかと思った。
「13 Songs」のリマスター盤は僕にとって3,000円ぐらいの価値がある。
 
改めて大音量で聞く。滝行のように音を浴びる。
かっこいい。闇雲にかっこいい。
聞いていて無暗に拳を振り上げたくなる。
僕はたちまち、上京したての18歳の無邪気な若造に戻ってしまった。
 
ちなみに。FUGAZI とはベトナム兵のスラングで、お手上げのこと。
今調べたら『Fucked Up, Got Ambushed, Zipped In』とあった。
ambush は待ち伏せ
ベトナムのジャングルでベトコンに待ち伏せされて撃たれて死んで、
死体を運ぶ袋に詰められてジッパーで閉じられた状態を
言ってるのではないかと思う。
 
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(V.A. Crammed Discs) 「Made To Measure Vol.1」
 
高校時代に Tuxemoon に出会って以来、
今も変わらず僕にとって最も好きなバンドであり続けた。
 
高校生の頃の僕は青森市内の主なレンタルCD屋を
放課後に自転車でせっせと回っていて
洋楽コーナーのラインナップを細かく頭の中に刻み込んでいた。
その中から選び抜いたものを
月5000円の小遣いの中からレンタルしてテープにダビングする。
 
そんなあるとき、高校二年生の頃だから1991年か、
著作権の問題だったかで洋楽のレンタルが規制される
というニュースがあった。
それを受けて一部のレンタル屋は在庫のCDを二束三文で売り払った。
とある店で1枚200円や300円で
山のように売っているのを見たときは壮観だった。
まさに宝の山だった。
その中で妙に気になって買ったのが、
The Honeymoon Killers というベルギーのバンドの国内盤。
おもちゃ箱をひっくり返したようなキッチュでチープ・エレクトロな音に
美女と野獣のボーカル。
ヨーロッパの黄昏とパンクの粗暴さが同居する
今聞いても稀有な音楽性を持っていた。
世の中にはこんな曲があるんだ、と視野が広がった。
 
正月、お年玉で CD を買おうと青森駅前アーケードの商店街へ。
Be Bop という品ぞろえのよい CDショップがあった。
そこで眺めていたら、The Honeymoon Killers の国内盤と同じ、
黒地に水色の帯の CD を見つけた。
それが Tuxedmoon 「Holy Wars」だった。
ヨーロッパの田園風景。脱ぎ捨てられた衣服。
その上を燃えさかる火球がふらふらと飛んでいる。
どこまでも深読み可能な、ロック史上最も寓意に満ちたジャケットだと思った。
ピンとくるものがあって迷わず買った。
冒頭の ”The Waltz”、最初の一音、暴力的に歪んだベースの弦でやられた。
表題曲の ”Holy Wars” は時空を超えた壮大な物語が
次元の隙間からほんの一部分垣間見えるような、何とも不思議な魅力があった。
他に類を見ない音。似ている音楽が全く見当たらない音。
出会ってから30年になるが、今もその思いは変わらない。
ちなみに帯には「マスタリング・エンジニア 小野誠彦」とあって、
セイゲン・オノのことだと思う。絶対国内盤を探した方がいい。
 
『東京ガールズ・ブラボー』にて岡崎京子
主人公に『タキシードムーンはええのお』と言わしめている。
上京した僕は彼らのアルバムを都心に出るたびに探した。
 
70年代後半にサンフランシスコで活動を開始して、
80年代に入ってからブリュッセルへと拠点を移す。
人気が高いのは1作目の「Half Mute」だろうか。
軋んだエレクトロニクス。独特な薄暗さと寂寥感がある。
あるいは、ジャン=ミシェル・バスキアを語り手とした
ニューヨークの No Wave シーンを追ったドキュメンタリー映画
『Donwtonw 81』に出演した際に演奏した”Desire”の収録された2作目。
現代バレエの改革者、モーリス・ベジャールに舞台音楽を依頼されて製作した
「Divine」というアルバムもある。
こちらはグレタ・ガルボの生涯をテーマにしたもので
彼女のセリフを背景に流しつつ演奏している。
 
The Honeymoon Killers や Tuxedomoon が出していたレーベルが
ベルギーの Crammed Discs となる。
以後、Minimal Compact や Aksak Maboul といったグループへと
僕の関心は広がっていった。
ヨーロッパには Mute や Crepuscule など独特な雰囲気を持ったレーベルが多いが、
その中でも最もイマジネイティヴなレーベルだと思う。
 
Made To Measure はその Crammed Discs の、レーベル内レーベルというか。
映画音楽や舞台音楽をリリースする際はこちらとなるようだ。
CDラックを漁ってみたら、結構持っていた。
()内はシリーズ内の通し番号
John Lurie 「Stranger Tahn Paradise」(Vol.7)
Minimal Compact 「Lowlands Flight」(Vol.10)
John Lurie 「Down By Law」(Vol.14)
Peter Principle 「Tone Poems」(Vol.18)※Tuxedomoon のメンバー
Fred frith 「Top of His Head」(Vol.21)
Peter Scherer & Arto Lindsay 「Pretty Ugly」(Vol.23)※Ambitious Lovers の前身
Seigen Ono 「NekonoTopia NekonoMania」(Vol.29)
John Lurie National Orchestra 「Men With Sticks」(Vol.34)※国内盤ジャケットに Made To Measure の記載なし
Tuxedomoon 「Bardo Hotel Soundtrack」(Vol.38)
Tuxedomoon & Cult With No Name 「Blue Velvet Revisited」(Vol.42)
The Lounge Lizards の ジョン・ルーリーは個人名義だとこちらなんですね。
 
今回のアルバムは Vol.1 とあって、その1作目となる。1984年。
サンプラー的な役割か。
Minimal Compact / Benjamin Lew / Aksak Maboul / Tuxedomoon の曲を
1曲から数曲ずつのコンピレーション。
もちろん有名な映画の有名なサントラではない。
内ジャケットを見るとプライヴェート・フィルムや
バレエ、ファッションショーのための音楽、とあった。
身近なアーティスト仲間のための音楽を提供したということなのだろう。
やはりまた、どこにも属さない、どこにもカテゴライズされない音。
架空の時代の架空の国の架空の物語のための架空の音楽。
美しくも不穏で、異形の、生きている機械のような音。
 
リマスター盤が再発というので予約して買った。
ジャケットの解説を読んでいたら
Crammed Discs の設立40周年を記念してのものであるようだ。
これから新しい作品のリリースも予定していて、
旧作をリマスターしてアナログレコードで再発する、とも書いてあった。
Tuxedomoon の決定版コンピとか出ないかな。
 
なお、Tuxedomoon の3曲
”Fanfare” ”No One Expects The Spanish Inquisition” ”Driven To Verdun” は
「Soundtracks / Urban Leisure」にも収録されている。
 
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フジファブリック 「FAB LIST 1」
 
先日、NHK-BSの『新日本風土記』が90分の拡大版でテーマが「さくらの歌」
市井の人のエピソードを添えて日本人の好きな桜の歌をいくつか紹介した。
福山雅治”桜坂” / 宇多田ヒカル桜流し” / 森山直太朗 ”さくら” など。
その中にフジファブリックのデビュー曲 ”桜の季節”があった。
彼らの代表曲 ”若者のすべて” は多くの人にカバーされていると
名前が挙げられていたのが確か、槇原敬之柴咲コウ私立恵比寿中学……
とにかくたくさんの顔写真が次々に映し出された。
 
フジファブリックは元々、山梨県富士吉田市の高校の友人たちで結成された。
番組では活動初期のメンバーの一人が実家の神社を継いでいる、
その境内から見る桜の風景が美しいと。
そして、2009年、29歳の若さで亡くなった中心人物、
志村正彦のことについて触れていた。
 
彼の足跡を辿る番組は前にも見たことがあった。
一昨年か、箱根から帰ってくる途中
渋滞に巻き込まれてカーナビのワンセグで見た。
そのときはもうひとりの創設メンバーであるキーボードの方が登場して
今は弁護士として働いているという話だった。
若者のすべて” は志村正彦の死後、
富士吉田市の夕暮れのチャイムで流れたこともあった。
そんなエピソードも紹介された。
 
改めて、”若者のすべて” を聞きたくなった。
3作目のアルバム「TEENAGER」(2008年)を中古で買った。
この手の J-POP系ロックバンドは投げ売りかな、と思っていたら違った。
ブックオフでも全然安くなってなかった。人気なんだな。
HMVのサイトの中古で1540円だった。
もっと聞きたいと志村正彦時代のベストアルバムをヤフオクで落札。
2005年のライヴ音源のCDが付属した初回限定盤は10,000円の値がついていた。
 
いい声してるな、と思った。引き込まれる。
キラキラしているようで、どこか暗い。
まじめなようでいて、ひょうひょうとしてとぼけている。
ぶっきらぼうなようでいて、細やかで優しい。切なくて優しい。
サビに差し掛かっても決して声を張り上げることはない。
平熱のままの唄。なのにハートがアツいというか。
日本人の情緒って今こんななんだな、
若い人の情緒ってこんななんだなと思った。
こんないいバンドを僕はしょせん J-POP と十把一からげに遠ざけて
聞き逃していたのか。反省した。
 
この「FAB LIST 1」はベストアルバムであるが、
ファン投票をもとに選曲している。
”桜の季節” も ”若者のすべて” も入っているが、
シングル曲が半分、アルバム曲も半分といった辺りが
ファンの根強さを感じさせる。
2枚目の2005年のライヴは正直、可もなく不可もなくかな。
客席は盛り上がっていても
平熱ゆえに淡々とステージが進行してゆくように聞こえた。
 
それにしても。
2000年に結成。2009年に志村正彦が死去。
残されたメンバーで今も活動を続けている。
今やそちらの方が長くなった。
でも僕が、志村正彦以後のフジファブリックを聞きたいかと言うと
申し訳ないけど今のところそれはない。
 
ロックというジャンルはクラシックといったジャンルとは違って
純粋な音楽性と同じぐらいに、あるいは時としてそれ以上に物語性が重視される。
Manic Street Preachers のほとんど弾けなかったギタリストがインタビュー中に
カミソリで『4 REAL』と腕を刻んで、その後失踪。今も行方不明というような。
ロックのファンというのは残酷で、わがままなものだ。
その物語性に自分を重ね合わせたい。
 
残されたメンバーが New Order へ。
New Order の音楽はそれ自体でとても素晴らしいが、
イアン・カーティスの死というスパイスが永遠に効果を発揮し続けている。
フジファブリックの音楽はそこまでになっているだろうか。
確認しようという気になれないのはなぜなのか。
若者のすべて” クラスの名曲が知られていないからか。
志村正彦の歌うアルバムを聞いていると
彼以外の歌うフジファブリックは考えられない。
それぐらい絶対的なものがある。
 
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BAHO 「OKURADASHI」
 
僕が学生時代の90年代半ば、『タモリの音楽は世界だ』という番組があった。
調剤薬局の夜勤のバイトに入っていた金曜の夜に放送されていたので、よく見ていた。
毎回様々なジャンルの音楽をテーマとしたクイズ番組で、司会はもちろんタモリ
演奏が必要な局面になるとパーカッショニスト斎藤ノブがバンマスのバンドが出てきた。
あの頃のテレ東にしてはすごい頑張った番組だったんじゃないかな。
いろんなミュージシャンがゲストが出ていた。
その中の一人が Char で、当然ギターを持って現れた。
どんだけギターが巧いかって話になって
サーフギターのテケテケテケテケというのを披露した。
普通は左手の指をただスライドさせるだけなのを
上級者は一音ずつ押さえる左手の指を交代させて弾くのだと。
それが速くて正確。さすがだった。
 
日本を代表するギタリスト、というよりもギターヒーローと呼ぶべきか。
悪い男のかっこよさと最上級のギターテクニックとが同居する。
日本にはいそうでいないタイプか。
孤高の人というイメージがあった。
 
しかしその後全く聞くことがなく。
先日、四人囃子安全バンドなど70年代のバンドを聞いているうちにイエローへ。
ドラムのジョニー吉長はそういえば、Char とやってたなと。
ザ・ゴールデン・カップス、スピード、グルー&シンキのルイズルイス加部と
3人で Johnny, Louis & Char を、後に Pink Cloud を。
この辺り全く縁がなかったなあ、この機会に聞いてみるかなと
DiskUnion を覗いてみたら
80年代前半の作品の紙ジャケ、リマスタリング再発の3作が
1,000円ぐらいで安く売られていた。
「KUTKLOUD」「CLOUDLAND」「PINK CLOUD」
これはちょうどいいとまとめ買い。
 
やっぱいいですね。演奏は申し分なし。
当時の日本を代表するギター、ベース、ドラム。あまりの手練れ感に
エリック・クラップトン、ジャック・ブルースジンジャー・ベイカー
3人による Cream にどうしてもなぞらえてしまう。
しかし、Cream のようなズブズブのブルースではなく、
極サイケのポップソングではなく、
もっとひょうひょうとして乾いた和製ロック。
 
しかし残念ながらヴォーカルが合わず。
Char の歌う英語の歌詞になると特にそう。
カタカナ英語の羅列に聞こえて気分が乗らないというか
違和感ありまくりなんですよね。
年末の辺りに聞いていた Ghost もそうだし、
ぶっちゃけ KUWATA BAND だってそう。
日本語で歌えばいいのになあ……
ネイティブでない日本人は根がまじめな人ほど
カタカナ英語で歌うんじゃないか。
 
よって、Pink Cloud もアルバムに何曲か入っている
ヴォーカルなしのインストがいいということになる。
特に ”Kindesalter” のようなChar のアコギだけの曲。
そういうベストがあるといいのになぁ。
でも世の中の多くの人は Char のヴォーカル込みで
Pink Cloud が好きなのだと思う。
 
そんなときに BAHO の存在を知る。
Char と、上田正樹とブルースを演っていた石田長生の二人による
バカとアホを足した名前とのこと。
もしかしてこれは、ギターだけで歌が入ってないのでは。
そう思って、DiskUnion で安くなっていた
中古のライヴアルバムを買ってみた。
小判が山と積まれた写真に「OKURADSHI」とある。
90年代前半、川崎のクラブチッタや新宿のパワーステーションでの演奏。
 
……結果として歌入り。ブックレットに思いっきり歌詞が書かれていた。
しかし、アコギだと弦が声よりも全面に出てくるからか、
さほど気にならない。
これはいいねと何回も繰り返し聞いている。もちろんギターも巧い。
1曲目が往年のヒット曲 ”気絶するほど悩ましい” で、
やっぱ Char のヴォーカルは日本語の方が断然合ってるなあと。
他、レイ・チャールズHumble Pie の”Hallelujah, I Love her So”や
ビートルズの ”Here, There and Everywhere” といったカバーに
石田長生の歌う日本語曲など。
リラックスして楽しそうに弾いている。そこがいいんだな。
そもそも冒頭、Char は
「ようこそ、庶民の皆さん。チャゲ&アスカです」
なんてとぼけたことを言っている。
 
僕の買った中古盤はおまけでピックが2枚付いている。
Char のピックと石田長生のピックなのだろうか。
こういうところが粋だな、と思う。