鯨に飲み込まれた男

昨晩寝ていた時、夢うつつで
そういえば鯨に飲み込まれた男の話を小さい頃よんだなあ
ということをずっと考えていた。
 
リーダーズダイジェスト社の大型本のひとつに
『世界不思議物語』というのがあった。
古今東西の不思議な出来事を集めた図鑑のように大きな本だった。
どれも実話という触れ込みだった。
従姉妹の家にあって、夏休みや年末年始に行くとずっとそればかり読んでいた。
(あるとき、こっそり持ち帰ってきた。ごめんなさい。
 でもそれが青森の実家に置いたままなのか、今の家にあるのかわからず)
 
その中に、この男の話があったように思う。
捕鯨船の船長がとても大きな鯨に飲み込まれて、
数日その中にいたが運よく助け出された。
しかし溶けかかった船長の体は腕や足の色がところどころ抜けてしまって、
透明になってしまっている。そんな内容だったような。
目が覚めて今、いくらなんでもそんなことはないかと思う。
どこかで記憶がよじれて、他の何かと一緒になったのだろう。
 
ネットで調べたら出てくるかな、と思ってみていたら、
リアルな生地が出てきた。しかも3日前の。
『クジラに飲み込まれて生還した男、「クジラの口の中の感触」を語る』
 
この記事をどこかで見かけたから夢の中に出てきて、
目が覚めつつある中、うつらうつらしながらそのことを考えていたのだろうか?
いや、しかし、この記事を見た覚えがない。
このこと自体が少し不思議だな……
 
それにしても『世界不思議物語』どこ行っちゃったのかなあ。
もうひとつよく覚えている話があって。
19世紀末のフランスだったか。
大衆にとても愛されたピエロがいた。
毎晩毎晩、皆、捧腹絶倒。
あるとき、落ち込んで気分がすぐれない日々が続くという男性が
町医者のところを訪れて、どうしたらいいでしょうと聞く。
町医者はあのピエロの舞台を見に行ったら憂さも晴れますよと言う。
すると男は、「私がそのピエロなのです」