『おかえりモネ』のこと、続き

NHKの朝ドラ『おかえりモネ』の東京篇が始まった。
主人公モネは見事気象予報士に合格し、上京。
おじいさんのツテで築地に近い銭湯の二階に住むことに決まり、
住むところは決まったものの
憧れていた西島秀俊扮する気象予報士の勤める
気象情報の会社に採用されたわけではない。
 
いよいよ明日面接という日、見学に行くと
以前モネが宮城県登米森林組合で働いていた時に
研究生としてしばらく一緒に仕事をした気象予報士の先輩たちと再会、
ちょうどよかったと右も左もわからないのにテレビ局に無理やり連れていかれる。
ニュース番組のお天気コーナーを担当する気象情報会社の手が足りず、
モネもれっきとした気象予報士なのだからと数合わせのためだった。
ようやく終わったと帰ったら日付が変わって深夜また呼び出し。
気象情報会社の社長である井上順に見送られて、朝の番組にも駆り出された。
なんで人が足りないかというと会社内でインフルエンザが流行ってて、
という伏線もさりげなく張ってあった。
 
今日はそんなところまで。
脚本、相変わらずうまいなあと感心させられた。
この流れで行くと、モネは明日か明後日には面接となって
晴れて希望する気象情報会社へと採用されるだろう。
でも何の違和感もない。
巻き込まれたとはいえ、そこでモネは多くを学んだ。
出会うべき人に出会った。
モネもまた、ニュースの現場の裏方で存在感を発揮した。
そういうモネのささやかな成長が
採用という人生の転機へとスムーズにつながっていくだろう。
 
これが昔の朝ドラだったら
憧れていた会社への採用面接!? 
わーどうしよう!! 何も準備してない!!
とバタバタしているうちに偶然とラッキーがいくつも重なって
アレヨアレヨといううちに採用という展開になっていた。
人生ゲームのサイコロを振ったら3が出たので
3マス進んだらこういう事態になってこういうキャラクターに遭遇しました、
というだけの感じ。
(正直、BSで見てると直前が『あぐり』なのでそう思ってしまう)
 
『おかえりモネ』はタイトルバックのように
登場人物たちの鮮やかだけど淡い色のグラデーションが重なり合って
物事が進んでいく。
それぞれの事情、それぞれの思いがあって
必然的にストーリーが進んでいく。
 
それは昔の朝ドラにあったような
あからさまな悪役がいないということにも表れていて。
モネが拉致られて行ったテレビ局には
もう一人、気象情報の会社の先輩が待っていた。
セレブっぽい雰囲気を出して自信があって美しい。
昔の朝ドラだったら絶対上から主人公をいびる役だったろうなあ。
それがそうはならない。
彼女は彼女で、西島秀俊に代わってお天気キャスターになる
という晴れ舞台を掴みかけるが、
あっさりとその希望は打ち砕かれる。
 
じゃあと言ってそこでコロッとモネと友達になるわけではない。
少年ジャンプのように仲間になって次の敵へ、という展開とはならない。
彼女は彼女の人生を生きていて、モネはモネの人生を生きている。
束の間、交差しただけ。そこからもモネは何かを学ぶ。
こういうところもまた、脚本がうまい。うますぎる。
毎朝、NHKの底力を見せつけられているように感じる。
 
それはそうと医者の先生とはいつ、どうやって再会するんだろう。
来週か再来週のテーマか。
あと、最近の朝ドラは途中で主人公を休ませるために
スピンオフの週が挟まってたけど今回もあるんだろうか。
あるとしたら絶対1日は登米森林組合の課長、
彼の恋バナだな。