先週買ったCD #57:2021/11/08-2021/11/14

2021/11/08: www.amazon.co.jp
Joan Baez 「In Concert」 \699
 
2021/11/09: ヤフオク
Vanessa Carlton 「Harmonium」 \472
 
2021/11/09: www.amazon.co.jp
Joan Baez 「the essential Joan Baez form the heart - live」 \680
 
2021/11/10: www.amazon.co.jp
(Soundtracks) 「Judgment Night」 \538
 
2021/11/10: www.hmv.co.jp
ズボンズ 「B★B★B」 \198
Cypress Hill 「Live at the Fillmore」 \297
N.W.A「Straight Outta Compton」 \891
No Doubt 「Rock Steady」 \1650
 
2021/11/11: tower.jp
チャットモンチー 「You More Forever Edition」 (\3740)
Larkin Poe & Nu Deco Ensemble 「Paint The Roses」 (\1701)
タワレコのポイントで
 
2021/11/11: www.amazon.co.jp
i am robot and proud 「uphill city」 \30
 
2021/11/12: diskunion.net
Body Count 「Body Count」 \2200
 
2021/11/13: www.amazon.co.jp
Joan Baez 「In Conert Part 2」 \1301
 
2021/11/14: diskunion.net
Beyonds 「940312」 \1200

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Joan Baez 「In Concert」
 
アメリカのフォークソングの歴史について書かれた新書を読み始めた。
いわゆる四畳半的な日本的イメージのフォークソングというよりも
大衆に歌い継がれた歌としての。
最初の章はウディ・ガスリーピート・シーガーボブ・ディランの3人を取り上げる。
先駆者、普及者、再興者、ということになるだろうか。
ボブ・ディランがフォークからフォークロックに転換したステージが
当時どんなにセンセーショナルで冒涜的な出来事であったか、といった話など。
同世代のミュージシャンとしてジョーン・バエズにも言及される。
実際、60年代前半には恋仲の二人だった。
破局後もミュージシャンとしての交流は続いて
有名な1975年のローリング・サンダー・レビューにも
アレン・ギンズバーグやロジャー・マッギンらと共に参加している。
 
しかし、『フォークの女王』といった感じで名前はよく聞くのに
ジョーン・バエズの歌うのをちゃんと聞いたことないな、と気づく。
ボブ・ディランと共演した音源もいくつかある。
今手元にあるものを確認したら例えば、
ブートレッグシリーズの vol.6 1964年の「At Philharmonic Hall」がそうだった。
 
彼女自身が作詞作曲して歌う曲は少なく、
トラディショナルなフォークソング
それこそボブ・ディランなどのカバーのイメージが強い。
本棚に女性シンガーソングライターのガイドブックが3冊あったので
手に取ってみたが、その名はなかった。
ジョニ・ミッチェルキャロル・キングよりも登場が早かったからなのか。
 
1941年に生まれ、今年80歳。
ライヴアルバムや編集盤も合わせて、最低でも50枚以上のアルバムがある。
どこから聞くべきか?
こんなときはジャケットから選ぶ。
活動初期の1960年の「In Concert」と
1976年頃の「the essential Joan Baez form the heart - live」の2枚とした。
前者は黒を背景に横顔だけ。
後者はアコースティックギターを抱えて歌う姿。
(昔よく見かけた『スーパー・ナイス・プライス1400』のシリーズの1枚で、
 帯にはタイトルがなく「ジョーン・バエズ」とだけある)
 
「In Concert」を先に聞いた。
ジャケットに記載があるのは曲名と作曲者だけ。
いつどこの演奏なのか詳細は分からず。
ジョーン・バエズがギターを弾きながら歌う。
歌い終えると拍手が入るので確かにこれはコンサートで収録したのだろう。
1曲目は後に Led Zeppelin で有名になる”Baby, I Gonna Leave You”
あからさまなブルーズというよりはバラッドに近いか。
ナイフを研ぎ澄ましていくような冷たさがある。
後半、ウディ・ガスリーの”Pretty Boy Floyd”など。
クレジットを見ると自作の曲が半分か。
(いや、もしかしたらジョーン・バエズと書かれたのは
 トラディショナルで、編曲が彼女なのか。そんな気がする)
 
この歌と演奏が想像していた以上に素晴らしかった。
何度も繰り返し聞いた。
まだファンクもパンクもサイケデリックもなかった時代。
ロックですら遠かった。
ジャンルやカテゴリーの細分化を受けることのなかった、
ただ、歌としか呼びようのないもの。
知っている曲を、歌いたい歌を、皆の聞きたがっている歌を
ギターを弾きながら歌う。それだけ。聴衆と合唱が生まれる瞬間もある。
ありのままの音楽。なんと清々しいのだろう。
その純粋無垢の美しさに心洗われる。
後世の商品化された音楽が
どんなに余計な知識や情報で手垢まみれになっているかよくわかった。
 
「In Concert」に比べると
「the essential Joan Baez form the heart - live」は普通になってしまった。
バックにバンドが付いてありふれたフォークロックに絡めとられている。
The Band の”The Night They Drove Old Dixie Town”に始まって
Amazing Grace”の独唱、
ボブ・ディランの曲は”Forever Young”に”Blowing in the Wind”などと
大変馴染みのある選曲ではあるけれど。
 
この歌声に影響された人は多いだろうな。
男性がボブ・ディランなら、女性はジョーン・バエズ
「In Concert」は後続のあらゆる女性ロックシンガーの始まりにあって、
その究極にも近い。