クリスマスイヴ '2021

気が付いたら今日はクリスマスイヴだった。
あ、そういえばそうだったね、という感じで
結婚して6年、さほど特別な日ではなくなってしまったということになる。
特別なことは何も用意していない。サプライズもない。
数年前は KFC のクリスマスバーレルみたいなのを買ってはみたけど、
妻がこんなにたくさんいらない、そもそもそこまで好きではない、
という話で次の年以後なくなった。
 
それでも、何もないのもどうかと仕事が落ち着いた後で駅ビルに出た。
オードブルを買うかなと。
何度か焼き鳥を買ったことのある店が、
どこが終わりかわからないような複雑怪奇な行列になっていた。
お洒落な総菜屋も10人ぐらい並んでいる。
肉料理を出す店はどこもオードブルのセットとスモークチキンを店頭に積んでいる。
何も変わらないのは崎陽軒と中華の店だけだった。
以前おにぎりなど買った和食の惣菜の店にもよく見たらチキンとオードブルが。
和食というだけで誰も見向きもしない。
ここでいいじゃないか、おいしいしと買って帰った。
 
帰り道、過去のいろんなクリスマスイヴを思い出す。
大学1・2年生の寮では必ず、24日に予定のない男たちが集荷室に集まって
山ほど酒を仕入れて朝まで飲んでいた。
そんなところに朝帰りの色男が通りがかったりする。
で、しこたま飲まされる。
 
社会人1年目か2年目のとき、大学時代の映画サークルの後輩たちと渋谷で飲んだ。
チェーン店の居酒屋。
隣のテーブルには日サロで焼いたようなコギャル系が2人。
ひたすら「やりてー」「誰かいねえかな」とクダを巻いていた。
僕らには彼女たちに声をかける勇気はなく。
彼女たちはその後どうしたんだろうか。あれから20年。
結婚して子供もいてもしかしたら孫までいるんだろうか。
とりあえず彼女たちに幸あれ。
 
高校時代はどうしてたんだろうな。
24日はまだ冬休みじゃなかったか。
かなりソワソワしてたんじゃないかな。
何か奇跡的なことが起きるのを待ってたというんじゃなく、
放課後2人で過ごすやつもいるんだろうなと。
あいつと、あいつと、あいつと……
何もなかったかのように僕はバスに乗って帰ったのだろう。
新町に出てCDを眺めたりはしたかもしれない。
そして家に帰ってきて普通に晩御飯を食べて宿題をしてテレビを見て寝た。
外は吹雪。
たぶん、そんな1年生と2年生。
3年生は受験でそれどころじゃなかっただろう。
 
30代どうしてたかなんて、もはや何も思い出せず。
1人アパートに帰ってきていたか。
そんで缶チューハイを空ける。
まあたぶんそうだな。
 
この後は新日本プロレスを見ながら缶ビール。
妻が帰ってくるまでオードブルとチキンは我慢する。
そんな46歳のクリスマスイヴ。