先週買ったCD #63:2021/12/20-2021/12/26

2021/12/20: www.hmv.co.jp
電気グルーヴ 「ドリルキングアンソロジー」 \110
 
2021/12/20: www.hmv.co.jp
電気グルーヴ 「25」(\990)
HMV のポイントで
 
2021/12/20: tower.jp
チャットモンチー「返信 Forever Edition」 (\3740)
タワレコのポイントで
 
2021/12/21: www.amazon.co.jp
電気グルーヴ 「UFO」\449
電気グルーヴFlash Papa Menthol」\449
 
2021/12/22: diskunion.net
The Young Gods 「The Young Gods 2CD Set Deluxe Edition」 \1100
 
2021/12/22: www.amazon.co.jp
(Soundtracks) 「Mission Impossible」 \347
 
2021/12/23: TowerRecords 光ヶ丘店
Brian Wilson 「At My Piano」 \2860
 
2021/12/23: tower.jp
坂本龍一 「Beauty」 \3300
Green DayBBC Sessions」 \2860
The Pop Group 「Y In Dub」 \2750
Can 「Live In Brighton 1975」 \2970
 
2021/12/23: www.amazon.co.jp
Fall Out Boy 「American Beauty / American Psycho」 \147
 
2021/12/23: www.hmv.co.jp
Leonard Cohen 「Death Of A Ladie's Man」 \1188
Leonard Cohen 「Various Positions」 \1089
Gabby Pahinui Hawaiian Band 「Gabby Pahinui Hawaiian Band Vol.1」 \693
 
2021/12/23: www.hmv.co.jp
De La Soul 「The Impossible Mission」 \389
 
2021/12/24: diskunion.net
Ry Cooder 「Crossroads」 \2350
Ry Cooder 「Chavez Ravine」 \780
Ry Cooder 「My Name Is Buddy」 \1200
Ry Cooder & V.M. Bhatt 「A Meeting By The River」 \880
 
2021/12/24: www.amazon.co.jp
(Soundtracks) 「Motion Picture Soundtrack : Leonard Cohen I'm Your Man」 \680
 
2021/12/24: TowerRecords 光ヶ丘店
Bruno Mars, Anderson Paak & Silk Sonic 「An Evening With Silk Sonic」 (\2200)
タワレコのポイントで、差額\200
 
2021/12/25: www.amazon.co.jp
(V.A.) 「Tower of Song: Songs of Leonard Cohen」 \380
 
2021/12/26: www.hmv.co.jp
(V.A.) 「I'll Be Your Mirror A Tribute To The Velvet Underground & Nico 」 \2201
 
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(Soundtracks) 「Motion Picture Soundtrack : Leonard Cohen I'm Your Man」
 
元々は詩人だというし、この辺りを聞くとかっこいいかなと
30代の頃に最初の3枚を買ってみるもその良さが全く分からず。
40代も後半になった今になってようやく、心に染みるようになった。
 
初心者にとってはカバーで聞かないと曲の良さがわからない両巨頭だと思う。
ややもするとどちらもモゴモゴ、ボソボソ呟いているだけに聞こえる。
なのにカバーされているのを聞くと
あれ? こんな美しいメロディーだったっけ? と驚く。
 
レナード・コーエンの ”Hallelujah” はジェフ・バックリーを初めとして、
僕が iPhone に入れているのを検索してみたら
マドンナ、K.D.ラング、ブランディ・カーライル、ジョン・ケール
Susanna & The Magic Orchestra が出てきた。
 
初心者にとって……、は冗談として
シンガー足るもの、レナード・コーエンの歌を一度は歌いたくなるのだと思う。
僕の知る限り、カバー集のオムニバスが4種類ある。
それぞれほとんど参加アーティストがかぶらない。
”Hallelujah” やいくつかの代表曲を
誰がカバーしているかを挙げることでその方向性が分かるだろう。
今回はこの2)3)を買った。
 
1)「I'm Your Man / The Songs Of Leonard Cohen By」 (Atlantic / 1991)
”Hallelujah” John Cale
”Susanne” Geoffrey Oryema
”Bird On A Wire” The Lilac Time
”Everybody Knows” (なし)
”Tower of Song” Robert Forster / Nick Cave & The Bad Seeds ※2組がカバー
元々持っていた。レナード・コーエンが、というよりも
R.E.M.Pixies / The House of Love といったオルタナ系アーティストが集まっていたから。
 
2)「Tower of Song: Songs of Leonard Cohen」 (A&M / 1994)
”Hallelujah” Bono
”Susanne” Peter Gabriel
”Bird On A Wire” Willie Nelson
”Everybody Knows” Don Henley
”Tower of Song” (なし)
見た通り、このアルバムが一番豪華なメンツかな。
他、ビリー・ジョエルエルトン・ジョン、アーロン・ネヴィル、スザンヌ・ヴェガなど。
 
3)「Motion Picture Soundtrack : Leonard Cohen I'm Your Man」(Verve Forecast / 2006)
”Hallelujah” (なし)
”Susanne” Nick Cave, Julie Christensen, Perla Batalla
”Bird On A Wire” Perla Batalla
”Everybody Knows” Rufus Wainwright
”Tower of Song” Leonard Cohen And U2
この映画のことは知らなかったが、サントラのようだ。
ルーファスとマーサのウェインライト兄妹の曲が5曲。
 
4)「Hallelujah (The Songs Of Leonard Cohen)」(Ace / 2019)
”Hallelujah” Jeff Buckley
”Susanne” Nina Simone
”Bird On A Wire” k.d. lang
”Everybody Knows” Barb Jungr
”Tower of Song” (なし)
こちらはいろいろなカバーアルバムからの総集編的な感じ。
時代もジャンルもこれが一番バラバラ。ルーファス・ウェインライトの曲は3)からだろう。
 
すごいのはニック・ケイヴで、2)以外の3枚に1~2曲収録されている。
相当レナード・コーエンに心酔してるんだな。
どちらも女性に対する永遠の思慕と自らの心の内の暗い部分の葛藤を歌う
陶酔的なシンガーという共通性があるか。
 
聞いてみたら3)がなかなかよかったのでもう少し書く。
レナード・コーエンの人生を振り返る映画で
2005年1月にシドニーのオペラハウスで行われた
トリビュートコンサートの模様がベースになっているようだ。
ルーファスとマーサのウェインライト兄妹、
その母・叔母に当たるケイト・マクギャリグル、アンナ・マクギャリグルなど。
同じステージ、同じバックのメンバーなのでしなやかな統一感がある。
 
プロデューサーが昨年亡くなったハル・ウィルナーなんですよね。納得の出来。
ディズニー映画、クルト・ワイル、ニーノ・ロータなどのトリビュートアルバムを手掛けてどれも素晴らしい。
一見バラバラなタイプのアーティストを呼んできてひとつの世界観を作り上げる手際がよかった。
(クルト・ワイルのだと、ジョン・ゾーン、アーロン・ネヴィル、スティング、ダグマー・クラウゼなど)
 
ハル・ウィルナーの遺作となった、今年出た
The Velvet Underground の1枚目「& Nico」(通称:バナナジャケット)の
トリビュートアルバム「I'll Be Your Mirror」もよかった。
Sonic Youth のサーストン・ムーアが Primal Screamボビー・ギレスピーをフィーチャリングして”Heroin” や
イギー・ポップと Zwan 等で活動したギタリスト、マット・スウィーニーによる”European Son”など。
 
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電気グルーヴFlash Papa Menthol」
 
電気グルーヴがこの国にいるということが、ひとつの大きな心のよりどころであった。
 
今や演劇界の重鎮、ケラリーノ・サンドロヴィッチことケラが主催していた
インディーズ・レーベル『ナゴム』のアングラ精神や
オールナイトニッポンの深夜のバカ騒ぎを忘れることはなく
本気を出せば”N.O.”や”虹”、”Shangri-La”といった名曲を連発、
(僕ら40代後半の世代はカラオケの最後で”N.O.”を歌ったはず)
石野卓球はベルリンで開催される世界最大のテクノの祭典だった『Love Parade』に招聘され、
ピエール瀧日本アカデミー賞助演男優賞にノミネート、大河ドラマへの出演も果たした。
少年の心を持った大人の、フィールドの広げ方としてこれ以上うらやましい存在はなかった。
それでいて Rockin'on JAPAN での連載、『メロン牧場』はいつ読んでも下世話な話題で
腹がよじれるほど笑わせてくれた。
そう、いつだって彼らは僕らの頼れる、お調子者の兄貴たちであり続けた。
 
彼らはいつだって質の高い、繊細で、考え抜かれた作品を作り続けてきたが、
心の名盤と言えば1993年の「Vitamin」や1994年の「Dragon」であって。
正直、その前のアルバムはちゃんと聞いたことがなかった。
ブックオフや DiskUnion で最初の3枚の頃のは300円ぐらいで買えるので、
この機会に一通りそろえてみた。
Flash Papa」(1991)「UFO」(1991)「Karateka」(1992)
Flash Papa Menthol」(1993)「Drill King Anthology」(1994)
 
Flash Papa Menthol」の頃には既に
その後の電気につながる音の質感、突破感があった。全然古びてない。
デビュー作の「Flash Papa」はさすがに手探りだったのか
寸止め感のある当たり障りのない音だと思う。
この「Menthol」はその Remix ということになってるけど
作り直したいという気持ちになるのは当然だろう。
「Drill King Anthology」は変名での悪ふざけ路線ばかりを集めたもの。
でもこちらも RCサクセショントランジスタ・ラジオ”のカバーや
ピエール瀧のソロ”人生”など聞かせどころが多い。
ここで過去の自分たちに一区切りつけたことで、
グッと集中して「Vitamin」「Dragon」の高みへと一段も二段も上がれたのだろう。
 
Sonic Youth の「The Whity Album」(1988)と
「Daydream Nation」(1988)「Goo」(1990)の関係性を思い出した。
実験的な側面を「The Whity Album」に寄せたことで
「Daydream Nation」はシンプルにして奥の深い、この時代のギターロックのひとつの完成形となった。
「Goo」で遂にメジャーデビューを果たした。
それと同じことだと思う。
自分の中の雑味を「Flash Papa Menthol」「Drill King Anthology」で切り離す作業が、
彼らにとっても必要だったんじゃないか。
 
彼らの音楽はなぜ古びないのか?
電気グルーヴの音楽を聞いて思うのはその生命力の高さ。
最新のテクノ(の上っ面)だけを追いかけるのではなく、
ドイツだと DAF や Einsturzende Neubauten
イギリスだと New OrderThe Pop Group など、
80年代ニューウェーヴという根っこがしっかりあるからか。
オルタナティヴ、つまり、王道に対する邪道。
そのしぶとさが彼らの音楽にはある。
 
ここで話を終えたかったけど。
2019年のピエール瀧の逮捕について。
コカインの不法所持という行為が法律的に許される行為ではない。
人年の道を踏み誤った。それは変わらない。
でも電気グルーヴのCDを廃盤にするってなんか意味のある行為だったのだろうか。
彼らはその年30周年で、「30」というアルバムを出したばかりだった。
そのうち買うかと思っていたら廃盤で入手できず。
すぐにも価格が吊り上がって1万円以上。
どうしても聞きたかった僕は泣く泣く、DiskUnion で5,000円以下で出品されたのを見つけて買った。
そしたらその後また発売されることになり……
 
いったいなんだったんだ。
廃盤にしてそれをまた戻すというのはピエール瀧にとっての禊でもなんでもないだろう。
レコード会社の忖度でしかない。
人物と作品は切り離して考えて廃盤にせず、
他の多くの作品同様、世の中の人が買うかどうかで判断するでもよかったのではないか。
あるいは、悪事を働いたという理由で一度廃盤にしたらずっと廃盤のままにすべきではないか。
場当たり的で中途半端なことをしたもんだ、そんな印象がぬぐえない。
当時石野卓球電気グルーヴの音源を引き上げたのも当然だと思う。