節分というもの

夕方、仕事が一段落してライフに買い物。
見慣れない場所で人だかりが。
なんだろうと近寄ってみるといつもは納豆巻きや稲荷寿司などを売っているコーナーで、
あ、そうか、恵方巻か。
20% OFF のシールを張った後らしい。
最後2本残っていたのを見つけて、思わず2本ともかごに入れてしまった。
アボカドとサーモンが入っている。
そういう恵方巻もあるんだな、と思って値札をよく見たら「サラダ太巻き」とあった。
これって恵方巻なのだろうか。よくわからず。
生まれて初めて食べる。
東北・関東にはない風習だった。
 
家に帰ってきてテレビをつけると NHK のニュース。
地方の話題ということでご当地ならではの節分。
三重県津市では「福引せんべい」なるものを食べるという。
座布団のように大きなものを抱えている。
折りたたんで何かを包んだもの。
テーブルの上に置いて「鬼は―そと」と言いながらおじいさんと孫が叩く。
中から出てきたのは縁起物の小物だった。
お菓子ではないんだな。
もうひとつ山口県山口市ではその生命力にあやかって鯨を食べるとあった。
 
小さい頃、僕の家でも節分だからと豆をまいたけど
サザエさんで見るような福豆(炒った大豆)ではなく、
あくまで落花生。
家のどこに落ちて拾うとしても、殻を剝いて食べるからといいのだと。
それなんか違う、と思いつつ、逆らえず何年かそれが続いた。
サザエさんが普通の姿だと思い込んでいた。
母子家庭だからそうなんだと次の日学校では言えなかった。
大きくなってから、北日本は落花生が一般的と知った。
千葉といった落花生の産地もそう。
 
この時期の落花生には鬼のお面がおまけについていた。
父が生きていた頃は仕事から帰ってきた父がそのお面をつけた。
最後の年、僕がお面をかぶったように思う。
 
今日は鬼は外、福は内と言いながら
みみたにカリカリをあげようと思う。
カリカリをまめに見立てて。