先週買ったCD #70:2022/02/07-2022/02/13

2022/02/08: www.hmv.co.jp
Black Eyed Peas 「Elephunk」 \99
Princess Superstar 「Best of Princess Superstar」 \99
Robert 「princess de rien」 \99
 
2022/02/09: www.amazon.co.jp
Johnny Thunders 「Hollywood Babylon」 \1278
 
2022/02/10: diskunion.nt
James Brown 「Love Power Peace:Live at the Plympoa, Paris, 1971 Complete Edition」 \4650
BVDUB 「Born In Tokyo」 \480
Level 42 「Level 42」 \880
Level 42 「The Early Tapes」 \680
 
2022/02/11: BOOKOFF 練馬高野台駅北口店
Neville Brothers 「Mitakuye Oyasin Oyasin / All My Relations」 \990
Neville Brothers 「Live On Planet Earth」 \990
The Maytals 「The Sesational Maytals」 \1380
Jane Birkin 「Jane eu concert au Japon」 \880
 
2022/02/11: diskunion.net
Meat Puppets 「Up On The Sun」 \880
 
2022/02/12: TowerRecords 光が丘店
Dire Straits 「Live at the BBC」 (\1885)
タワレコのポイントで
 
2022/02/13: diskunion.net
Dire Straits 「On Every Street」 (\1500)
Johnny Thunders 「Hurt Me」 \2850
Johnny Thunders 「Bootlegging the Bootleggers」 \680
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Johnny Thunders 「Bootlegging the Bootleggers」
 
パンクを代表する人物は? と聞かれたときに
といった名前が挙がるだろうか。
しかし、パティ・スミスジョン・ライドンはパンクの枠に収まらない幅広さを持つし、
シド・ヴィシャスはキャラクター性は100点満点だとしても、音楽性はちょっと……
僕にとってはジョニー・サンダースがパンクのパンクらしさを最も体現していると思う。
 
パンクという音楽形式はロックンロールの純粋化であって
ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムという
ビートや楽器構成がシンプルであればあるほどよく、様式美というか制約が多い。
その最たるもの、究極まで突き詰めたものが Ramones となり、
その分偉大な存在ということになる。
差別化を図るのが難しく、そもそも曲がいい、ステージパフォーマンスが激しい、
といった音楽的な要素以上に物語性というものが重要になってくる。
Ramones はその物語性をほぼ必要とせず、
 匿名性・記号性を高めたというところもまた評価を高めたポイントだろう)
 
その物語ももちろん、ハッピーエンドは求められない。
日なたの道を歩むことのできない日陰者であるとよしとされる。
パンクは反体制の音楽でもあって、政治的な姿勢どうこう以前に
マス・ポピュラリティーを獲得する、老若男女問わず支持を得るという
という意味での体制の音楽にそもそも選ばれてはいけないものなのである。
(もちろん、パンクから出発して世界的な成功を収めるバンドもある。
 Green Day であるとか。それはパンクの枠を貪欲に飛び出して
 それ自身がジャンルとなったバンドと言える。
 というか、パンクである以前にポップ、かな)
 
早い話、酒浸り、ドラッグまみれの人間のクズが
時々いい曲を書くんだけどその演奏はヨレヨレで
場末のライブ会場を回って最後は若くして野垂れ死に
分かる人には分かる名盤を残す、というのがいい。
破天荒、いや、破滅的というか。
そのイメージに最も近いのがジョニー・サンダースだと思う。
(いや、日本に何度か来た時に川崎のクラブ・チッタなどで演奏しているので
 場末で、ということはないですが。あくまでイメージとして)
 
70年代半ば、遅れてきたグラム、早すぎたパンクと称された
New York Dolls のギタリストとしてデビュー。
2枚のアルバムを残して解散する。
Television の初期メンバーだったリチャード・ヘルらと共に Heartbreakers を結成。
リチャード・ヘルはすぐ脱退するも、「L.A.M.F.」を1977年に発表。
このバンドも長続きせず、ロンドンでソロ活動を開始。
「So Alone」を1978年に発表。
この2枚はロックのディスクガイドに選ばれることが多い。
ジャンルごとにまとめていてパンクのページを設けているならばほぼ必ず。
でもこれも、先入観なしに何の予備知識もなしに一聴して
名盤! と太鼓判を押す人はほとんどいないと思う。
よほどパンクが好きか、孤独な魂に対する感受性の高い人だろう。
 
先日、練馬高野台ブックオフに散歩がてら初めて行ったら
『Looking For Johnny ジョニー・サンダースの軌跡』という
ドキュメンタリー映画の2枚組サントラを安く見つけた。
Heartbreakers とソロをまたぐベストアルバムと言っていい。
(残念ながら映画そのものは未見)
もう少し聞いてみようといくつかソロアルバムを取り寄せる。
 
「Hollywood Babylon」1987年、ロサンゼルスでのライヴ。
バックバンドのうち、ベースがアーサー・ケイン、ドラムがジェリー・ノーランという
New York Dolls 組。
アーサー・ケインが主演のドキュメンタリー映画『ニューヨーク・ドール』を思い出す。
New York Dolls 解散後音楽では成功せず、結婚生活も破綻、アル中へ。
モルモン教に入信することで魂の平穏を見出し、今は図書館で働いている。
その彼に New York Dolls 再結成の話が舞い込んできて…
しみじみ、ほんといい映画だったなあ。
その彼が弾いているならと買ってみる。
まあ、音そのものは神がかった何かがあったわけではないですが。
でもジョニー・サンダースのライヴアルバムの中では安定している方じゃないかな。
”Green Onion” や ”In The Midnight Hour” といったソウル系のカバーが珍しいところ。
 
「Hurt Me」は2枚組紙ジャケ・リマスター再発を入手することができた。
1983年、全編弾き語り。
新曲だけではなく、New York Dolls 時代の ”Lonely Planet Boy” やソロの
”You Can't Put Your ArmsAround A Memory”などかつての名曲の再演も含む。
ボブ・ディラン ”Joey” ”Like A Rolling Stone” や
ストーンズの ”I'd Rather Be With The Boys”
2枚目の弾き語りライヴでは
”Wild Horses” ”Play With Fire” ”As tears Goes By” なんかも。
この辺りがルーツなんだなあ。
骨と皮だけのロックンロールが身上だったのが、
弾き語りとなってもうこれ以上失うものがない。
改めてその声の魅力に気づく。
ろくでなしならろくでなしなりの矜持が宿る声というか。
 
「Bootlegging The Bootleggers」は
1991年に彼が38歳の若さで亡くなる前の年、
膨大に出回っていたブートレグの中からジョニー・サンダース自ら選んだ
ベストテイクを集めたもの。
しかもそこにステージの司会が曲紹介をするみたいな、
自虐的なユーモア混じりの語りが各曲の冒頭に付け加えられている。
さすがに自選ベストだけあって演奏はいいですね。
星の数ほどある彼のライヴアルバム
(もちろんそのほとんどが彼の死後に発売されている)
のうち、僕が持っているのはほんの数枚でしかないんだけど
恐らく、その中ではこのアルバムが一番いいんじゃないかと思う。
New York Dolls 時代の ”Personality Crisis”
チャック・ベリーのカバー ”Little Queenie” にストーンズの ”As Tears Go By”
ベンチャーズの ”Wipeout” と ”Pipeline” ボブ・ディランの”Joey”
(後者はソロの代表作「So Alone」の冒頭でも演奏されている)
そしてソロの代表曲の”You Can't Put Your ArmsAround A Memory” に
”Sad Vacation” とまるで彼のベストアルバムのよう。
出所がブートレグなので曲によって音質はマチマチ、ほとんどはアウトなんだけど
でもそれでいい、その方がいいと思わせる説得力があった。
 
「So Alone」「Hurt Me」そしてこの「Bootlegging The Bootleggers」
この3枚があればまずはいいかな。