先週買ったCD #74:2022/03/07-2022/03/13

2022/03/07: diskunion.net
フラワーカンパニーズ磔磔ライヴ2 ~寒中熱風48~」 \2086
フラワーカンパニーズ 「Live Trash, Rare Trash」 \8584
Tesla 「Psychotic Supper」 \6650
(V.A.) 「A Very Special Christmas」 \880
(V.A.) 「A Very Special Christmas 3」 \480
Ernesto Snajer Trio 「Raras Partituras 9 - Lecturas Argentinas」 \680
 
2022/03/09: www.amazon.co.jp
Chicago 「The Heart of Chicago」 \1
 
2022/03/10: www.amazon.co.jp
(V.A.) 「A Very Special Christmas Live From Washinton, D.C.」 \1152
 
---
 
フランスやカンタベリーのリコメン系プログレ
80年代初めのエレクトロなニューウェーヴといった
暗くて屈折した音楽ばかり聞いていた。
ふと我に返り、全然違うものが欲しくなる。
マライア・キャリーはどうだろう?
 
試しにまず HMV のサイトを見てみたら
100~300円といった価格帯で
中古国内盤帯付きで90年代の多くのアルバムが入手できた。
「Mariah」「Emotions」「Music Box」「Merry Christmas」
「Daydream」「Butterfly」「The Ones」
しかしなぜか、「Unplugged」だけが品薄。
Diskunion にもない。
amazon で700円ぐらいならあるけど、正直そこまで出したくはない。
送料を入れて1,000円超える。
 
90年代にあれだけ売れたんだから
今はブックオフで棚いっぱいに100円、200円の投げ売りなんじゃないか。
そう思って家の近くの店舗に散歩がてらあちこち行ってみる。
光が丘、練馬、江古田、下赤塚。
全然ないものなんですね。
あっても「Music Box」が帯なしで700円越えとか。ありえない。
こう言ったらなんだけど、評価高いんだな……
 
結局 amazon で探し直してレンタル落ちの山の中を
非レンタルで28円、送料を入れて376円というのを入手。
ま、これならいいか。
 
僕はもちろんその全盛期を知っている。
大学の寮で同室になった同期は洋楽を聞くと言っていたけれども
僕の趣味とはだいぶ違っていて、
1年生から2年生にかけて彼の買った
Aerosmith「Get A Grip」とマライア・キャリー「Music Box」をひたすら聞かされた。
(ともに1993年)
正直最初は拒否感があったけど耳に刷り込まれまくった結果、
今は素直に楽しむことができる。
どちらもこの時期のアメリカを代表する優れたアルバムだと捉えている。
 
今回聞き直してみて
やっぱ「Music Box」と「Merry Christmas」までのマライアは無敵だな。
「Emotions」やこの「MTV Unplugged」の頃の声は神がかっている。
しかしその後は……
Honey” であるとか曲作り、音作りとしては
「Daydream」「Butterfly」の方が好きなはずなんだけど、ピンと来ない。
普通になったというか。
普通に歌の巧い人、普通のトップスター。
小さな身の回りの世界だけで育った無垢な少女が
広い世界に連れ出され、その頂に立たされて下界を見下ろして、
多くの知らなくてもよいことを知ってしまったかのような。
(デビューを果たしたCBSソニーの社長と20歳を超える年の差婚を果たすも
 結局は数年後に離婚してしまった)
 
その後の21世紀に入ってからのマライアについてはあまりよく知らず、
体重が120キロを超えたとか減量に成功したけどまた太ったとか
そんな話ばかりが聞こえてきて。
若くして売れてしまった人の成れの果て、マライアおまえもか、というか。
なんかゾッとしたものを感じてしまった。
2020年代に入ってからも
クリスマスの定番ソングになった ”All I Want For Christmas Is You” が
No.1ヒットに輝いているものの
今となってはどこかそういう危うさ、脆さも重ね合わせて90年代の作品を聞いてしまう。
むしろそれがひとつの魅力になっている。
 
MTV Unplugged」のマライアは何の迷いもなく、気高い。
恐れを知らず、無限の可能性が広がっていた。
歌うことへの無心の喜びがあった。
その輝きも長くは続かない。
その一瞬の頂点を見事に切り取った作品なのだと思う。
なのに7曲だけという短さが、なんだか切ない。
 
---
「A Very Special Christmas Live From Washinton, D.C.
 
マライア・キャリーのアルバムを集めていた時に
「Merry Christmas」の解説を読んでいたら
”Christmas (Baby Please Come Home)” は
「A Very Special Christmas」というアルバムで U2 も歌っていて、
というようなことが書かれていて興味を持った。
 
amazon で検索すると、あ、これかと。
真っ赤な地に描かれたキース・ヘリングのジャケット。
昔、CD屋でよく見かけたなあ。
マドンナやホイットニー・ヒューストンにボン・ジョビ、
ブルース・スプリングスティーンといった大御所たちが
クリスマスの名曲をカバーするというコンピレーション。
 
シリーズとしてヒットしたのか何枚も出ていた。
7作あるのかな。そのうち、1・3・4作目を今回は購入した。
3作目は diskunion のサイトで国内盤帯付きが中古で480円。
1作目は未開封で880円。
ライヴアルバムの4作目はなかなか安いのが見つからず。
エリック・クラプトンがほぼ全編出まくってて
シェリル・クロウやトレーシー・チャップマンらと共演してるからか。
ジョージ・ハリソンバングラデシュ・コンサート(1971年)然り、
客演のエリック・クラプトンっていい仕事するんですよね。
 
それぞれ出したクリスマス、ウィンターソングのカバーアルバム。
最近はルシンダ・ウィリアムズも「Lu's Jukebox」のシリーズで出してましたね。
ヴィンス・ガラルディ・トリオによるスヌーピーのクリスマス版サントラ。
フィル・スパクターがロネッツやダーリーン・ラヴらに歌わせたクリスマスアルバム
ジャズヴォーカルだとノルウェーのスールヴァイグ・シュレッタイェル。
クリスマスのアルバムでハズレに出会ったことがない。
温かい心を届けたいという思いが先に立つからだろうか。
 
季節外れだけど、改めて「A Very Special Christmas」のシリーズをまとめて聞く。
この3作から気になった僕的に組み合わせを上げてみると……
メインストリームの「A Very Special Christmas」(1987)
 Eurythmics ”Winter Wonderland”
 The Pretenders ”Have Yourself A Merry Little Christmas ”
 Stevie Nicks ”Silent Night”(きよしこの夜)
 
オルタナティヴな「A Very Special Christmas 3」(1997)
 Natalie Merchant ”Children Go Where I Send Thee”
 Chris Cornell with Eleven ”Ave Maria
 Patti Smith ”We Three Kings”
 
ライヴアルバム「A Very Special Christmas Live From Washinton, D.C.」(1999)
 Mary J Blige and Sheryl Crow ”Rockin' Around The Christmas Tree”
 RUN DMC ”Christmas in Hollis”
 Eric Clapton ”Christmas Tears”
 
1作目「A Very Special Christmas」の帯を見ていたら
『「スペシャル・オリンピック」への企画アルバム!!』とあった。
パラリンピックとは違うんですよね。恥ずかしながらよく知らなかった。
知的発達障害を持つ人たちのスポーツの祭典。
国内大会と世界大会がある。
オリンピック・パラリンピックとは時期をずらすんですね。
夏季は2023年にベルリンで開催予定。
冬季は2021年にクラクフで、となっていたけどコロナ禍で中止となったのかな。
2022年のカザンの大会は開催となったものの日本選手団の派遣はとりやめとなっていた。
こういった大規模な大会とは別に
国内でも様々なスポーツを通じた支援活動を行っているようだ。
 
「A Very Special Christmas」の発売が1987年。
バンド・エイド の大ヒットした
チャリティーシングル ”Do They Know It’s Chrsitmas”が1984年、
アフリカの飢餓を救おうと開催されたライヴ・エイドが1985年。
その流れを汲んだものとなるのだろう。
このシリーズ、7作目が2009年。
その後1作目の25周年記念盤が2012年など。
クリスマス・エイドという名前で息の長い活動になっている。
続く、ではなく続ける。
これは強い意志がないとできないこと。
 
このコロナ禍で新しいアルバムの製作もなされるのではないか、と思った。
新しいメンツで、永遠のクリスマスナンバーを。
 
---
フラワーカンパニーズ 「Live Trash, Rare Trash」
 
先日、BS-TBS町中華で飲ろうぜ』の再放送を見ていたら
玉ちゃんが名古屋の今池を訪れていて
フラワーカンパニーズに ”今池の女” って歌があったなあと話していたら
番組内で ”深夜高速” のイントロが流れた。
最近聞いてないなあとオフィシャルWEBサイトを見ていたら
いくつかライブ会場限定のアルバムで持っていないのがあることがわかった。
でも当然、ソールドアウト。
 
それが DiskUnion で探したらサクッと見つかった。
それがこの「Live Trash, Rare Trash」で
DiskUnion にしては珍しく高額なプレミアがついて 8500円ほど。
ここで逃したらまたしばらく出会わないかもと思い切って購入。
合わせて京都磔磔でのライヴアルバムの第2集も。
 
2枚組で1枚目「Live Trash」は2006年から2007年にかけての
渋谷O-Westでのカウントダウンライヴ。
2枚目「Rare Trash」は未発表音源集。
”少年”や”遠い空” ”夕焼け”など中期(インディー期)の再録など。
 
フラワーカンパニーズのことを知ったのは
2作目の「フラカンのマイ・ブルー・ヘブン」の頃。
中央線に乗っていたら向かいに座っていた女の子がアナログ限定の
フラワーカンパニーズ・オンステージ第一集 下北沢の夜・大実況録音盤」
このジャケットを抱えながら座っていて。
今時ありえないようなサイケな格好をしてステージで歌っている。
なんだこのバンドは? と思っていた時に
ミニアルバム「恋をしましょう」が出て一気にトリコに。1996年か。
彼らの代表曲のひとつ ”恋をしましょう” も ”くるったバナナ” もいいし、
残りの2曲 ”薄い影” ”裸のブルース” もいい。毎日欠かさず聞いた。
2作目、1作目と遡って聞いて、3作目の「俺たちハタチ族」もリアルタイムに。
この頃はほんとよかった。
 
根っこに和製フォーク、和製パンク(どちらも英米のではない)、
少しブルース、少しサイケデリックをもった
(そもそもフラワーカンパニーズという名前が、60年代末のフラワームーヴメントを楽しむ
大学サークルのイベントからつけられたとどこかで読んだように思う)
4人組のロックバンド。
中学高校の同級生が80年代末に名古屋の大学で結成。
メジャーデビュー後上京。アパートで共同生活を送る。
メジャーから切られて自主レーベルを立上げ、またメジャーへ、インディーズへ。
と繰り返すうちに結成30周年を迎える。
2015年には遂に武道館公演も成し遂げた。
彼らの何がいいって、結成以来一度もメンバーチェンジをしていないところ。
酸いも甘いも共にしてきた。そういうバンドは絶対信頼できる。
 
ヴォーカル、ギター、ハープの鈴木けいすけの書く曲、キャラクターがいい。
かっこいい俺になりたいけどかっこ悪い俺がここにいて。
田舎者でずっこけで情けなくてみっともなくて。
その距離感、もどかしさから全てが生まれる。
永遠の中二。
1枚目のライヴの曲目も”永遠の田舎者” ”はぐれ者讃歌” ”素寒貧ロック”
だけど人生前向きに過ごしたいと願ってるし
(それで暴発したり空回りすることもしばしば)
ライヴでは声を大にして叫んで魂を触れ合いたい。
そこから生まれる抒情性が一番の肝か。
同じく、ライヴの他の曲には ”春の手前” ”虹の雨あがり” ”YES, FUTURE” など。
 
どの曲もいいんだけど、時々、一世一代の名曲がポンと生まれる。
他のバンドならその1曲で終わるところが、彼らにはそれが何曲もある。
今もよくテレビでかかる ”深夜高速” は
泉谷しげるYO-KING金子マリがこの曲だけをカバーするという
前代未聞のカバーアルバムも生み出した。
 
大好きなバンドなのにライヴの縁がなく、見ることができたのは
渋谷タワレコ地下での購入者特典のミニライヴだけ。
鈴木けいすけは最近長渕剛にはまってて練習してると1曲サワリをポロンと弾いてたな……
武道館を見逃したのは一生の不覚。
このときのミニライヴで売ってた限定のシングル ”Slow Roder” が宝物であったが、
今回の1枚目にも収録されていた。
 
やっぱ1枚目のライヴがすっとこどっこいの MC も含めてカッコ良くて。
テンションが高くて荒削り。
正月というので自腹で買った餅太郎をステージの上からばらまいていた。
これが2006年から2007年で。
同時に買った磔磔ライヴ2 ~寒中熱風48~」は2017年。
さらにハイテンションだった。
みっともない俺のはずなのに全然下り坂に差し掛からない。
それがたまらなくかっこいい。
キラーチューン ”深夜高速” にも頼らず、最近のアルバムからの曲を中心に。
前向きなんだよなあ。
 
何でこれが売れないんだろうなあと思いつつ、
エレカシのように売れてもやだなあとも思う。
いつまでも俺たちのフラカンであってほしい。