泥酔の朝

昨晩妻から聞いた話。
少し時間をずらして出社。10時半頃。
東新宿方面から曙町方面へと歩く。
新宿一丁目界隈の住宅街。
 
ふと見ると道端にパトカーが停まっていて
警官がブランド物のバッグを持ち上げている。
その側に倒れている人がいた。
お年寄りが急に具合が悪くなったのだろうか、と思ったのだが、
近付いたら若い女性。
酔っぱらったまま寝ていたのを通報されたのだろう。
警官に助け起こされて、抱きかかえられたままフラフラと歩き去ったのだという。
 
そんな時間まで寝ててよくバッグが盗まれなかったなあと思った。
以前、歌舞伎町で飲んでいたら歩道で寝ていたサラリーマンの前に転がっていた鞄を
サッと盗んで走り去った若者がいた。
こちらも酔っぱらっていたので警察に通報することはなかった。
そんなになるまで酔っぱらう方が悪いとその時は思った。
場所柄が全然違うとはいえ、そんな新宿。
 
なんでそんなところで女性は寝てたのか、と妻は不思議がるが、
酔っぱらいの論理とはそういうもの。
酔っぱらって見たもの、聞いたものに導かれたのだろう。
僕もなぜかよくわからないが、
荻窪時代にアパートのすぐ近くで寝っ転がっていて警官に起こされたことがある。
歩いて一分もすれば家に入れるのに。
でも何かがそこで寝るといいと僕に言ったのだろう。
あるいはそうするのがいいと僕が判断するような何かがあったのか。
 
僕が思うにこういうことだと思う。
久しぶりに友達と会って新宿で飲んでいるうちに終電を逃した。
じゃあ朝までと飲んでいるうちに始発の時間が来た。
友達とは店の外で分かれた。JRと地下鉄で違うとか。
酔っぱらって駅を探すうちにフラフラとあらぬ方向に歩いて行った。
そしてここでいいやと横になって気がついたら10時半。
 
僕も泥酔して地下鉄で帰ろうとしたときに、
職場近くのよく知っている場所のはずなのに
何度も同じところをグルグル回って駅が見つからず、
諦めてタクシーで帰ったことがある。
 
聞いていて過去のいろんなことを思い出した。
妻が職場に着いて同僚の方にその出来事を話すと、
「日常が戻ってきましたね」
とのこと。