ラーメンとカレー

こんなことを考える。
ラーメンは博多のとんこつ、札幌の味噌と
その土地の特性に応じたエリア単位の広がりを持つけど
カレーライスってそういうのないよな。
 
横須賀海軍カレーとか土浦のツェッペリン号にまつわるカレーとか
あるにはあるけど、その味を思い浮かべる人は少ないと思う。
土浦のカレーってこういう味だよね! というイメージ。
この地方のカレーはシャバシャバでこの地方は魚介ベースで、
と明確なご当地カレーってなかなかなさそうな。
札幌のスープカレーぐらい?
 
全国のレトルトカレーを売っている店がネット上に、リアルにあるもので。
でもそれも近江牛を使ったカレー、名古屋の味噌煮込みカレー、
広島の牡蠣を使ったカレー、
という形でメーカーの商品開発に基づくものだ。
広島のカレー屋には行ったら必ず牡蠣が入っているということはないと思う。
そういう取り組みをしたとしても、店によって全然味が違うと思う。
 
二つのことが関係していると考える。
一つ目は、博多のとんこつ、札幌の味噌、東京の醤油というのは
あくまでスープを指す。
ラーメンには明確に味=スープ=その土地のアイデンティティという図式がある。
カレーにはそれがない。
味=ルー とは言えても、ルー=その土地のアイデンティティとはならなかった。
 
仮説としてこういうことなのでは。
ラーメンは大陸から渡ってきてその土地土地に応じた発展をしていった。
それは一人の人が伝えたのではなく、
複数の人が複数の時間的・空間的ルートで伝えたものだろう。
そこにはそこで商売をする人たちの連帯があった。
 
カレーライスは明治時代の海軍がイギリスから持ち込んだものであって、
同じレシピを全国のいくつかの基地に伝えた。
全国で一つのカレーライスというものがまず成立して、
そのレシピや味を聞いた料理人が個別の店で最適化していった。
洋食の店もそもそも少なくてそれぞれの店が離れている。
屋台の並ぶところでラーメンは出ても、
その中で人気の屋台ができて真似することはあっても、
屋台でカレーが出ることはなかった。
あったとしても一般的ではなかった。
だからカレーは店ごとの特徴は生まれても、地域ごとの特徴は生まれなかった。
 
もう一つ。
今、ご当地カレーと呼ばれているものはその多くが
80年代・90年代の町おこしブームから生まれたものなのではないか。
この町の歴史にちなんで、この特色を打ち出していきましょうという。
その時点で各店の味が、ルー、が全然違うのだから
トッピングが手っ取り早い。
ベースではなく、上物。味の一体感が生まれにくい。
 
さて、実際はどうなるか。
 
ラーメンのジャンルは博多のとんこつ、札幌の味噌、東京の醤油とエリアに結び付く。
それは日本に来てから各地域でどのように受け止められ、発展したかということ。
カレーライスのジャンルは欧風、インド、タイ、和風と
日本の外側で分けられている。国ごとというか。範囲が広い。
カレーはどこまで行っても外から来るもの、ラーメンは内面化から始まるもの、ということか。
それは西欧から来たか、東洋から来たかという差にあるように思う。
 
だからカレーライスはジャガイモやニンジンの入る家庭のカレーと
外で食べる欧風やインドのカレーと全然違うということが起きるけど、
ラーメンは味噌にとんこつと
家で自分で茹でるものが店で食べるものとさほど変わらないということになる。
あとは具材にどこまで出費できるか。
 
一方でレトルトのカレーと店のカレー、家のカレーは大きく変わらないが、
カップヌードルと店のラーメンは結構違うよな、
というところが気になる。
その辺りはまた後日。