奥多摩ブックフィールドへ(前篇)

この日は前から考えていた、「奥多摩ブックフィールド」へ。
閉校となった小河内小学校の校舎の一室を利用した図書室兼古書店というか。
5月頃かな、神保町の共同書店『PASSAGE』でチラシを見かけて夫婦ともども興味を持った。
毎月第一土曜日に開室。
月に一度のためなかなかタイミングが合わずだった。
 
妻の後輩ちゃんを誘う。
このところ大変なことがあって
都会を離れた静かで、涼しい場所に行くのがいいんじゃないかと思った。
 
とはいえ、子どもたちが夏休みで大人たちも会社によっては夏休み。
キャンプに向かう人たちで青梅からの一車線の一本道が渋滞になってるんじゃないか。
NHKの朝イチでも奥多摩特集をやってたばかりだしなあ。
しかもこの日、青梅では市民に向けた無観客の花火大会だという。
自宅で花火を観ることが奨励されている。
そうは言っても青梅市の周りに住んでいる人たちが車で来て混雑することが予想される。
他のところにするか、と直前の木曜・金曜は考えた。
 
いったんは他の候補地を考えた。
ダムがいいかなと埼玉の滝沢ダム、神奈川の宮ヶ瀬ダム、栃木の四万川ダムに始まって
さらには、こんにゃくパーク、ロックハート城まで。
結局どこに行っても道は混んでるだろう、
だったら初志貫徹で奥多摩にするか、と腹を括った。
 
土曜の朝。
広島の平和式典の後に夏の甲子園開幕試合。
駅まで来てもらった後輩ちゃんを9時過ぎにピックアップして西へ。
もしかしたら高速の方が渋滞かもしれないと下道で。
道がそれなりに混んでいてもたもたしてしまった。
 
青梅市に入って一車線になり、
青梅駅周辺の商店街を抜けた辺りから次第に店や住宅が減っていく。
へそまんじうや澤ノ井を過ぎると山の中を、木々の方が多くなる。
通過する集落の規模が少しずつ小さくなる。
渓谷の底の川原では大勢の人たちがキャンプを。
マス釣りの駐車場もたくさん停まっている。
向こう側に掛けられた大きな橋を横目にいくつも見て、
トンネルの方が多くなる。
 
昼は奥多摩駅の先の「のんきや」という食堂に行ってみたいと思い、ナビにセットしている。
鳩の巣駅の手前で奥多摩駅に向かう道から離れる。
奥多摩病院の前で元の道に戻る。
やがて目の前には小河内ダムが。
いっぱいに広がった奥多摩湖が緑色の水を湛えている。
前を行く車が安全運転なのかゆっくり走っていて何台ものバイクが追い越していく。
湖に面したウネウネトした道をしばらく進むと「のんきや」があった。
 
昔ながらの素朴な食堂。手打ちの蕎麦、中華そばが売りの店。
僕らが入ったあとで続々と年配のバイカーらしき人たちが入ってきた。
妻と後輩ちゃんは中華そばの醤油味を。僕はカツ丼。おでんを追加。
かつ丼は煮込む時間が多いのか、思っていたよりもカツが柔らかかった。
玉子もたくさん入っていてトロトロ。意外だった。
観光地の食堂のありきたりなものではなく、
この店の味というものをしっかり主張している。
 
出汁がいいのだな。ぶっきらぼうだけど優しい味。
中華そばもおでんもかつ丼もベースの出汁は一緒と思われる。
次また来たい、他のメニューを食べてみたい。
カレーライスを食べてみたい、炒飯を食べてみたい、
味噌味の中華そばも食べてみたい。
奥多摩に来るときはいつもここでいいな、と決めた。
 
車に戻る。
奥多摩ブックフィールド」はすぐ近く。
「麦山浮橋」にも行ってみようとなる。