夜の北新地

先週の大阪出張。
21時近くまで仕事をして、何人かでラーメンを食べて帰ろうとなる。
夜、完全に日が落ちてからの北新地を久しぶりに歩いた。
黒い服を着て肌も焼いた男たちが店の前にうじゃうじゃと立っている。
席について3分話すだけで何十万も請求されそうな、
ゴージャスに巻き上げた髪の何百万もしそうな着物を着た女たちもチラホラと歩いている。
 
その筋の人たちなのだろう、迂闊には近づけない雰囲気を漂わせた男たちも多い。
その一方で何をして暮らしているのかよくわからない、
ぼろきれのような人も片隅でうずくまっていた。
派手なスーツを着て賑やかに店を出てくる人もいれば、
どこぞの親分なのか店を出たところで子分たちが何人も出迎える、
黒塗りの大きな車が待っている、という人もいた。
 
花屋が一軒か二軒あったように思う。
こんな時間なのに営業している。
というかこんな時間だからこそ忙しい。
高級な店に運ぶのだろう、大きな花束を抱えて走り回っていた。
ちらっと見るだけだったが胡蝶蘭のようなものも台車で運んでいた。
客の側からの女たちへのプレゼントなのか。
あるいは何らかのご祝儀なのか。
 
昼はそんな姿を見せない。
サラリーマンやOLたちが連れ立ってランチの店を探して歩いている。
少し出遅れただけでめぼしい店はいっぱいになりランチ難民になってしまう。
雑居ビルの中のバーや居酒屋が昼だけのメニューを出している、そんな店も多い。
腕に覚えのある小さな店はすぐ満席になる。
 
何がすごいって競争が激しいからとんでもなくコスパがいい。
北新地は高級な焼肉屋が多く、え? この肉で1,000? という店がいくらでもあった。
今週の出張で入った店は「肉まぶし重」だったか。
こんなトロトロに蕩けるような肉のたたきが乗ったのが1,480円!?
東京なら3,000円取られてもおかしくない。
しかも LINE で友達登録したら1,000円になるという。
友達登録でここまで割引になるというのも初めてだった。
夜はコースが11,000円から。
和牛カルビが1枚で1,500円ぐらい、A5ランクで2,000円とか普通に。
全然無理。
 
昼と夜で街の顔が全く違う。
一つの店の中でも違う。
すぐ近くに梅田で地下街も長く伸びている。
もう全く、味わい尽くせない。
この町を垣間見ることができてよかった。