夜の散歩

昨日有給休暇だった妻が、夕食後散歩に出かけないかという。
運動を始めたい、体を動かしたい、ジョギングを再開する前にまずは散歩からと前に行っていた。
どれぐらい歩くかと聞いたら1時間ぐらいで、となった。
着替えて外に出る。
 
北の和光市、東の田柄、南の谷原、西の土支田通り、どちらに向かうか。
そういえばそのうち行ってみたいというお好み焼き屋「ふふ」が谷原方面、ブックオフの近くにあった。
その場所を探してみようということにした。
 
このところ昼間は暖かく、夜も長袖のシャツに一枚薄いのを羽織るだけでよかった。
笹目通りに出て、南へ。団地の公園まではすぐだった。
練馬高野台駅から長く伸びた道を渡って、住宅街に入る。
お好み焼き屋はすぐだった。
妻が見つけて、よく買う「フクパン」から割と近かった。
「ふふ」の営業日は木曜から日曜となっていて、水曜は休みだった。
一軒家を店舗にして営業しているようだった。
 
目的達成。20分ぐらいか。
東へ遠回りして帰るか。西へ笹目通りに戻るか。
この界隈歩いたことないなと西へ進むことにした。
こぎれいな低層マンション、建築中のケアハウス、昔ながらの家。
練馬区が整備していると思われる公園代わりの小さな森。
 
笹目通りに出る。自転車も歩行者も多い。
冷凍ピザの無人販売店舗に差し掛かる。何か月か前にできた。
大型の冷凍のケースがひとつだけあって、そのなかに2枚入りの平べったいパックが山積みになっている。
1パック1,000円で、ローマの「真実の口」のような横に開いた口の中に
1,000円札を入れるのだと書いている。
これ、お金を払わずに持っていけるのではないか、1,000円だけ払って何パックも持っていけるんじゃないか。
どうなっているんだろう。
 
ホテル・カデンツァの前を通り過ぎる。
そのまま笹目通りを北に歩いていけば10分もしないで家に着く。
ふと、途中のある東西に延びた通りが目に留まる。
前から知ってはいた。
バスが通ることもなく、ウェルシアがあるだけで普段訪れることもない。
これを西にまっすぐ行けば土支田通りにぶつかるか。
何があるか行ってみよう。
 
ウェルシアまで歩く。
その先、夜なのにとても明るく目立つ看板があった。電材の工場だった。
見ると隣も向かいも、一軒だけで成り立っている工場だった。
おそらく家族経営でいくらか従業員を雇ってという。
それがしばらく続いて、風景が途端に寒々しくなった。
人通りもなく、物音もしない。車も通らない。女性なら歩きたくないだろう。
こんなところがあったのか。
それを過ぎると引っ越し屋など物流関係の会社が増えた。
大型トラックが何台も横付けされている。
端まで行くと入り組んだ道に出て住宅地に戻った。
 
斜めに伸びた道が左右にあって、左側に入ってみた。
そのうちに地蔵通りに出た。
この辺りは一度歩いたことがある。
住宅が並んでいるだけで何もないところだなと思っていたら、
居酒屋があった。明かりがついているが、中は見えない。人の声は聞こえない。
営業しているが、大将が一人でテレビでも見ているか。
食べログで見てみたら登録はされていたが、口コミはゼロ件だった。
こういう住宅街の中にポツンとある無名の居酒屋、全国にどれぐらいあるんだろう。
中の様子がわからなくてなかなか入りにくい。
地元の人しか、半径100mぐらいに住んでいる人しか足を踏み入れることはないだろう。
少し歩いてその向かいには町中華の店があって、暗くなっていた。
営業時間を終えたか、店を閉めたか。
こちらも食べログで見てみたら掲載保留となっていた。
親父さんが亡くなられて、おかみさんが一人で切り盛りしていたというコメントがあった。
 
地蔵通りを歩くうちにがってん寿司のある大通りへ。
そこからはいつもの生活圏内。
5分もかからず家に着いた。
歩いたのは1時間ちょっと。
妻が事前に風呂を沸かしてくれていて、早速入った。
そのあとはテレビも見ず、新聞を読み、少し本を読んで22時半には布団に入った。
なんだか心地よく疲れていた。