先週買ったCD #116:2023/01/02-2023/01/08

2023/01/02: 成田本店 しんまち店
Mal Waldron 「Left Alone」  \1078
 
2023/01/03: www.amazon.co.jp
花電車 「DOOBIE SHINING LOVE」 \1540
The Chris Robinson Brotherhood 「Betty’s Self-Rising Southern Blends vol.3」 \1815
 
AirAir Song」 \1078
Dollar Brand 「Banyana - The Children of Africa」 \1078
Jutta Hipp 「Cool Dogs & Two Oranges」 \1210
 
2023/01/05: BOOKOFF 多摩永山店
Motley Crue 「Entertainment Or Death」 \550
Meshell N'degeocello 「Cookie: The Anthropological Mixtape」 \693
Stevie Ray Vaughan &  Double Trouble 「In The Beginning」 \693
Emmylou Harris 「Red Dirt Girl」 \550
Liza MInnelli 「Liza With A "Z"」 \1210
 
2023/01/05: BOOKOFF 多摩永山店
Jimmy Rodgers 「Chicago Bound」 (\550)
BOOKOFFのポイントで
 
2023/01/05: www.amazon.co.jp
オナニーマシーン 「彼女ボシュ―」 \250
 
2023/01/05: メルカリ
オナニーマシーン 「片思ひ」 \200
 
2023/01/06: www.hmv.co.jp
Arctic Monkeys 「Live At The Apollo」 \900
 
2023/01/06: メルカリ
 
2023/01/06: www.amazon
オナニーマシーン/サンボマスター  「放課後の性春」 \480
 
2023/01/06: TowerRecords 光が丘店
Heron 「Twice As Nice & Half The Price」 \3300
Magic Sam 「West Side Soul」 \2640
 
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1月3日(火)夜のこと。
青森から帰ってきて、正月番組を見て過ごしていた。
21時から BS-TBS で『町中華で飲ろうぜ』の2時間スペシャルを見ようと思っていた。
その少し前にテレビをつけると
『家、ついて行ってイイですか?』の4時間スペシャル。
下北沢で真夜中に声をかけた4人組。
左端に立っていた女性の内縁の夫の葬儀がその日あって、
終わった後も故人を偲んで飲んでいたのだという。
それが「53歳で亡くなった伝説のバンドマン」だというので、お? と思う。
そのまま見ていたらオナニーマシーンのイノマ―の家だった。
一間きりのアパートにそれまでの人生の思い出となるものを全て詰め込んだ部屋だった。
コンサートのポスターには共演した銀杏BOYZの名前があって、
ラジオ番組をやってたときのカセットテープがあって。
 
いつもの訪問記のあと、
テレビ東京の別のプロデューサーが撮影していたドキュメンタリーが放送された。
癌で舌を切除するも、再発。
抗がん剤治療を受けながら2019年10月に復活ライヴを行うも満足に立てない。
車椅子でステージに運ばれ、ふらふらになりながら立ってベースを弾く。
舌を失って何を言っているのかも字幕がないとわからない。それでも歌う。
右目には眼帯。抗がん剤で顔はパンパンに膨れ、その下の身体はガリガリ
喉元にはホラー映画のようにピンク色に晴れ上がった腫瘍。
そのいくつかは灰色となっている。露出する癌細胞。
最後にはそれでもいつものようにおむつだけの姿になる。
アンコールにはその日共演した
銀杏BOYZ / サンボマスター / 氣志團 / ガガガSPのメンバーが皆ステージに上がった。
終わって車で家に帰るも満身創痍。
あしたのジョーのように白く燃え尽きたように見えた。
 
その後入退院を繰り返す。
退院して家に戻ってもすぐ具合が悪くなって病院へ。
銀杏BOYZ峯田和伸が、盟友の江頭2:50らが見舞いに来るも
体がどんどん衰弱していく。
骨と皮だけになって頭も剃って、もはや胎児のようだった。
2019年12月19日永眠。
最後に口にした言葉は献身的に付き添った妻の名前だったという。
 
その一部始終を撮影していた。葬儀の場面も撮影していた。
その葬儀が終わり、数人で飲んでいたところに偶然、
『家、ついて行ってイイですか?』のスタッフが何も知らず声をかけた。
こんなこと、あるのだろうか。
1年後の葬儀、3年後2人で住んでいた部屋を引き払い新居に移ったところまでを
番組では放送した。
 
言葉を失った。死を前にした壮絶な生があった。
ここまでの生を、死を、僕は見たことがなかった。
(これはひとつの番組に埋もれていいものなのだろうか? と思ったが、
 後で調べたら1年後の葬儀の際の放送はギャラクシー賞を獲ったという)
 
いてもたってもいられなくなり、オナニーマシーンの中古CDを買い漁った。どれも帯付き。
「彼女ボシュー」(2002)が amazon で250円。
サンボマスターとのスプリットアルバム「放課後の性春」(2003)が amazon で480円。
メジャーデビュー3部作の1枚「片思ひ」(2004)がメルカリで2,000円。
(歌詞が問題で発売中止になり、その後発売されるもメジャーから離れることになった)
ライヴアルバム「ティッシュタイム」(2006)がメルカリで2,500円。
amazonでは1万近くしたのを安く見つけて思わず即購入したけど、よく見たらもっと安く出ていたのがあった)
 
さらに、番組で取り上げられていたイノマーの闘病日記の書籍化
『BAKA IS NOT DEAD!!  イノマーGAN 日記 2018-2019』も amazon で新品をオーダー。
HMVのサイトでは注文不可、検索の仕方にコツがいるのか DiskUnion とタワレコ ではヒットせず。
これは在庫あるうちに買っとかないと後で後悔するかもしれないと思った。
 
僕の中の何かに火が付いた。
その生きざま、死にざまもそうだし、自分の中の中2に対する落とし前なのかもしれない。
 
オナニーマシーンの名前は昔から知っていた。
GOING STEADY のライヴDVDに前座で映ってるとか。
例によって客席にオナニーの後のティッシュをばらまいていた。
でもまあB級だろうと手は出さなかった。
彼らがメジャーデビューした頃に僕は既に30近かったし、
後追いで GOING STEADY銀杏BOYZ にはまったのはそれからさらに何年もしてからだった。
騎士団もサンボマスターも聞いたのに、オナニーマシーンは「さすがにそれはちょっと」と遠慮していた。
バカだったなあ、俺。
というかなんて失礼なんだろう。
オナニーマシーンに、イノマーに、というよりもロックの神様に対してそう思う。
 
いや、どのCDもよかった。
自分の中の、思い出すだけで恥ずかしくなること、
見得はった自分のバカさ加減に腹が立ってくること、
他人や自分自身に対して正直でありたくてもそれは難しいということ、
いろんなことを思い出した。
なぜか、迷惑をかけてしまった二度と会うことのない人たちばかり、思い出した。
”タマしゃぶれ!!” ”フェラチオ” ”女子便” ”ヤリマン”
”ドーテー島” ”チンチンマンマン” ”僕だけの七日間戦ズリ”
”ウンコ” ”オッパイ” ”やってたなんて……”
といったタイトルに、それ以上でもそれ以下でもない歌詞。
歌メロもギターのフレーズもどこかで聞いたことあるようなものばかり。
超有名曲にしょうもない歌詞をのっけただけの替え歌も多い。
演奏の技術はCDを出せる最低ラインだろう。
なのに、ああ、なんでこんなにも胸をかきむしるのだろう。
聞いていてうれしい気持ちになるのだろう。
もっともっと聞いていたくなるのだろう。
彼らはロックの神様に、愛されている。
 
この4枚どれもいいんだけど、やっぱりライブアルバムの「ティッシュタイム」か。
演奏は荒くて、つんのめって、音もよくない。
でもこの音の薄さ、荒さがぴったり合っている。
音質が悪いほうが嬉しいアルバムなんて Pavement の1枚目以来か。
しかもうれしそうにしている観客の息遣いが感じられて、
歓声もあがって、一緒に歌って大合唱になって。
与太話でしかないしょうもない MC も挟まって。
これ、日本ロックの中でも屈指のライヴアルバムじゃないか。
 
皆、心の中のどこかで自分のことをみじめに思っていて、
寂しく思っていて、だから、仲間を求めている。
だからロックが突き刺さる。
 
MCのひとつで、『遠くから来た人いる?』って話になって
青森、という声が。
ギターのオノチンが俺もそうだよ、弘前だよと。
そこにイノマーが「青森って英語の授業もなまってんでしょ」と突っ込む。
ああ、この場所にいたかった。
ジャケットの裏にはたくさんの名前が。
会場になった渋谷ラママに来たお客さんたちなんだろうな。