長芋詐欺

最近目にして、いろいろ考えさせられたニュース。
『「後日、ナガイモで返します」パチンコ代欲しさに詐欺繰り返す
 逮捕された60歳無職の男は5年間で24回の犯行 青森県
 
タイトルの通りの話なんだけど。
住所不定無職の60歳の男性。
車上生活で各地を転々としていたのだという。
野辺地、三沢、八戸、十和田などで1回につき、1,000円から5,000円を寸借詐欺。
見知らぬ家を訪れてはガソリン代を貸してくれ、返す時に長芋もつけるからと。
 
長芋!? 青森県らしいな、なんか妙にリアリティがあるな、
そういう人のいい農家のオヤジもいるかもなと思わず笑ってしまうけど、
いやいや、ここは笑うところではないよなと。
車上生活者は全国どこにでもいて、
この冬も食うや食わず、体を温めるにもガソリン代に困ってるという人は大勢いるのだろう。
今年の大雪の中で身動き取れなくなって亡くなったという人もいるだろう。
 
僕も学生時代、国立駅前を歩いていて50歳ぐらいのさえないおっさんに
「財布を落としてしまい、帰れない。切符を買いたいので200円貸してほしい」
と言われ、それぐらいならいいかと渡したことがある。
初めてのことだったのでよくわからず。
住所や連絡先も聞かれなかったし、この人はどうやって返すつもりなのだろう? 
とも思うが、もしかしたら本当に困ってるのかもしれない。
まあでも、あのおっさんは何人かつかまえて1,000円ぐらいは稼いだのだろう。
何にせよ困っている人になんらかいいことをしたと思うことにしよう。
そういう寸借詐欺に会ったのもその一度キリ。
 
ニュースの男性も住所不定無職とはいえ、昔は長芋農家だったのかもしれない。
いや、出稼ぎで食べていて、コロナ禍で仕事がなくなって、
住むところも失って、ということかもしれない。
 
たぶんかなり調子いい喋りで、ピンポーン。はーい。
「いやーまいったじゃあ、ぜにこわんつか貸してけねべかー。長芋さ、つけるはんで」
(あ、でも津軽弁じゃないか)
テヘヘと笑顔を浮かべて、憎めない感じで。
お金を借りて返さない、でも長芋で返す、って言ってた。
そんな人がいるって都市伝説みたいに囁かれていたかもしれない。
 
捕まってよかったのかどうか。
60歳とは言え、人生をやり直すきっかけになればと思う。