先週買ったCD #129:2023/04/02-2023/04/08

2023/04/03: www.amazon.co.jp
Ane Brun 「Live at Berwaldhallen」 \969
 
2023/04/07: diskunion.net
Great 3 「Without Onion」 \2650
Sunn O))) 「Monoliths & Dimensions」 \1300
 
2023/04/07: www.amazon.co.jp
Glenn Frey 「Strange Weather」 \685
 
2023/04/08: BOOKOFF 新宿駅西口店
African Head Charge 「In Charge : Live In Japan」 \683
 
2023/04/08: BOOKOFF 下赤塚店
Paramore 「Riot!」 \450
 
2023/04/08: diskunion.net
Dave Mason 「Alone Together」 \1000
Dave Mason 「Certified Live」 \1300
 
2023/04/09: diskunion.net
Tom Jobim 「idedito」 \580
Dave Mason 「Let It Flow」 \880
Simple Minds 「New Gold Dream (81-82-83-84)」 \480
Linkin Park 「Underground 6」 \1500
 
---
Sunn O))) 「Monoliths & Dimensions」
 
Sunn O))) というこの不思議なバンド名を知ったのはいつであったか。
ヘヴィ・ロックのさらにその先は何かと探っていたときか。
Neurosis を聞いて、もっとその奥へ、という。
Sunn は太陽であって、O))) は太陽を表す象形文字であろう。
英語らしからぬが。
 
ジャンルはあってないようなもの。
ドゥームメタルとか、ドローン・メタルとか。ダーク・アンビエントとか、ただ単にノイズとか。
ギタリスト2人が奏でるドローン・ノイズ。
ディストーションのかかったギターの音を拷問のごとく引き伸ばす。
ドラムが入らない曲が多いが、メロディらしきメロディもないという曲もある。
1作目の「The Grimmrobe Demos」(1999)はそのスジでは純度の高すぎる名盤となるか。
ほぼドローンのみ。始まりにして終着点だった。
 
その後、
「ØØ Void」(2000)
「Flight of the Behemoth」(2002)
「White1」(2003)
「White2」(2004)
「Black One」(2005)
とリリースを重ねてきた。
その間、ピアノの音が垣間見えたり、詩が朗読されたり、
うめき声のようなヴォーカルが地を這ったりと
その音楽性を広げ、深め、原点回帰を何度か繰り返した。
紙ジャケで発売されたこれらの日本盤はどれも2枚組で、2枚目はリミックスかライヴ。
「ØØ Void」の2枚目はなんと Nurse With Wound によるアンビエントなリミックスで、
「Flight of the Behemoth」ではなんと Merzbow と共演、2枚目のライヴにも関わっていた。
「Altar」(2013)ではこれまた日本の Boris と共演している。
「White2」ではジュリアン・コープ御大とも。
 
2人のメンバーはどちらもギタリストで、元々メタル系だったような。
グループとしてはシアトルの方で生まれている。
ドローン・メタルの創始者、Earth というバンドのフォロワーからスタートして、
すぐにも自分たちのスタイルを確立した。
 
デス声が入ると禍々しくなるが、
インストゥルメンタルだけになると途端に純粋無垢な音楽に感じられる。
北極圏の海を真夜中、航海していると巨大な氷塊が音もなく現れるかのような。
僕にはあのドローンは、ギターのディストーションを最大限まで聞かせた音は、
そそり立つ氷山のように思える。
何の混ざりけもなく、水と空気と、荒々しい自然環境が作り出した。
ただそこにあるだけ、存在するだけ。
何も主張しない。何の意味も持たない。
氷塊、氷山の存在感の強度だけがある。
それは、人智を越えたものでもある。
世の中の 99% のヒット曲がチャラチャラとしたくだらないものに思える。
そんな拒絶した、孤高の音。
 
「Black One」の次に当たる「Monoliths & Dimensions」(2009)を
持ってないことに気づき、取り寄せる。
1時間弱で全4曲。
前半は荘厳な雰囲気を纏い、宗教音楽のよう。
チベットの儀式で使われるような管楽器が入っている。
ギターの音をエフェクトしたものではなく、実際にそういう管楽器ではないか。
ヴォーカルは詩の朗読を。元々歌にメロディーはなかったが。
音階を持ってもホーミーのよう。
 
後半はひんやりとした音の広がりをもつシンセサイザーが入って
宇宙をテーマにしたドキュメンタリーのような。
それまでいかに無機的な空間を描くかだったのが、
そこにあるのは時間の経過、風化のみだったのが、
急に壮大なイメージを無言で語り出したかのよう。
 
轟音メタルからアンビエント・ドローンへというと、その成熟は
普通はこういう方向に進むか。
評価分かれるだろう。
僕は「ØØ Void」や「Flight of the Behemoth」の
まだどこに向かうかわからない、未知の荒野が広がっていた頃が良かった。
 
この方向性も、本来 Swans が本来進むべきだった選択肢の一つのように思う。
暗黒の宇宙の広がる天上の高みを目指すか、地下水脈をさらに潜るか。
21世紀に入ってからの再結成後、
様々な音楽を吸収しつくした果てにポップをも呑み込んだ Swans は
ストイックにこの「Monoliths & Dimensions」で聞ける音を求めることもできた。
80年代に登場した Swans が後進に与えた影響は大きく、
Sunn O))) の歩みもまたそうではないか。
Swans / Earth / Sunn O))) という流れ。