セミの一生

猛暑。予想通りの猛暑。
38日間連続夏日ということで新記録を達成したようだ。
毎日毎日たくさんのセミが路上で死んでいる。
手足を閉じて仰向けになって。
いつもの年よりたくさん見かけているように思う。


セミって7年間地中にいて、
地上に出てたった1週間鳴いて死んでいくのか。


冷夏の年のセミと猛暑の年のセミと、どちらが幸福なのだろうか?

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人間もサナギの時期を過ごしたのち、脱皮して変態を成し遂げる生き物だとしたら?


そのときどんな姿となるのだろう。そんなことを考える。
比ゆ的な意味ではなく、現実の出来事として。


空を飛ぶのか、海を潜るのか。
大きくなるのか、小さくなるのか。
色は変わるのか、羽は生えるのか。


その時期が来ると「人間」は集団の中で手近にいた異性と盲目的な生殖活動を行ない、
子孫が誕生した途端死んでしまう。
生まれたばかりの子供たちは青白く破れそうな皮膚をしていて、弱々しく震えている。
本能的に「何か」を探し求めて泣き叫ぶ。


そして何十年もこの地上で生きていく。

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セミと人間とどちらが幸福なのだろうか?