03/30-04/03

03/30(月)
 
雪はほとんど解けている。
昨日寒かったのでダウンジャケットを着ていく。
今週から本格的に都内はテレワークなのだろうか。
大江戸線は特に減ったようには見えず。
周りも皆普通に出社。
話を聞くと妻の会社の方が先にテレワークとなりそう。
医師会がロックダウンを提言とのこと。
4/1 から? という噂あり。
 
花粉症治療の薬をもらいに行く。
昼、弁当。昼寝。
午後初めて自らテレビ会議
無難に終わったが、なかなか難しい。
モニターには資料だけを映して、あとは参加者の声のみ。
その後不具合対応。
 
志村けんが亡くなる。
悲しみよりも先に怒りを感じる。
自民党の誰かが亡くならない限り動かないのか。
いまだ利権なのか。
和牛の検討をするなとは言わん。それも必要なことのひとつ。
他に何百何千とあるうちのひとつ。そのために政府で頑張ってる人がいることもわかる。
なのになんで、今和牛の話をしたら国民感情を逆撫すると気付かないのだろうか。
それが有効な対策を打っていることのアピールになるという発想がおかしい。
優先順位がおかしい。政府に対する不信につながる。
今日の時点ではもはや和牛のことは考えてないかもしれんけど。
政府からするとたかが芸人、たかが芸能人なのかもしれない。
 
定時で帰ってくる。
妻が伊勢丹の地下で買ってきた
親子丼、手羽先と唐揚げのセット、モツ煮、温野菜のサラダを食べる。
ファミリーヒストリーの総集編を見ていたら、緊急で都知事の記者会見が。
いよいよロックダウンかと思いきや夜間の外出は控えるようにと。
酒場放浪記、逆転人生は偏差値35から東大へ、町中華で飲ろうぜ。
 
引き続きSFの積読を片付けようとグレッグ・ベア『女王天使』を読み始める。
あんまりおもしろくはなさそう。しかも上下2冊。
 
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03/31(火) 
 
7時半起き。
14日(土)のリリース作業の振休でこの日は休み。
NHKあさイチではテーマは卵料理。
エッグベネディクトの作り方、ゆるわオムレツの作り方。
 
洗濯物を室内に干す。
10時を過ぎて家を出る。
図書館に妻の借りた本を返す。
成増駅前まで歩く。
11時の開店直後に着いて、ようやく『道頓堀』に入ることができた。
煮干し出汁のこってり・あっさりが同居するラーメン。確かにこれはおいしい。
 
島忠とライフに寄って帰る。
島忠ではクイックルワイパーを。
ライフにトイレットペーパーとキッチンタオルがあったので買っていく。
 
帰ってきて『女王天使』の続きよむ。眠くなってうたた寝
 Tha Blue Herb の昨年出た新作の特典DVDを見る。
2017年末、石巻の小さなライブハウスで行われたもの。
アツい。震災のことにも触れる。それまでの20年のことにも触れる。アツい。
 
夕方、弁当の用意。
厚揚げと豚バラ肉の味噌炒め。
玉子焼きにふりかけを入れてみる。
 
こころ旅を見る。三重県からスタート。
鑑定団もなく、迷宮グルメも時間帯変更。他に見るものなし。
妻の帰りが遅くなる。
どん兵衛がラー油そばを出していてそれを食べてみる。
Amazon で中古をオーダーした『世にも奇妙な職業案内』が届いて読む。
忌野清志郎『生卵』の続きを読む。
23時には寝る。
午前0時過ぎに妻が帰ってきて、目を覚ます。
 
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04/01(水)
 
4月1日。
クドカンが感染のニュース。
エイプリルフールだが、googleも今年は手の込んだ例のウソをやらない。
今日入社式というところも多いか。
ネットで開催や式そのものは中止で即現場へというところもあるか。
 
これまでの不具合・問い合わせの棚卸。
新規参画メンバーへのレクチャー。
昼、弁当。厚揚げと豚バラの味噌炒め。
 
定時で帰ってくる。外は雨。
明日の弁当は親子丼。
妻の帰りが遅く、たまっていた新聞を読んで過ごす。
夜は十和田のバラ焼うどん。
うっかりしていたがこの時のバラ焼きって豚バラ肉ではなく牛バラ肉なんですね。
特に見たいテレビもなく23時半に寝る。
 
facebook でマスク2枚あげますと書いた人がいて、なんだろうと思っていたら
政府が各家庭に2枚ずつ配ることにしたのだという。
これから1カ月間毎日ではなく、1回だけ。
ものすごいコストがかかる。他のことに使ったほうがいいんじゃないか。
東京都は公立校の新学期開始を5月6日まで延長。
 
荻窪ささま書店が閉店と聞いた。
でもコロナとは関係ないようだ。
 
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04/02(木)
 
この日も淡々と過ぎていく。
昼、弁当。親子丼。昼寝。
東京都の感染者数100人近く。
 
定時で帰ってきて、LIVINで半額近くになった総菜を買う。
小海老とそら豆のちぎり天、小海老のおつまみ揚げ餃子、唐揚げ。
野菜スティックをつくって食べる。
本来休肝日だが缶ビールと缶チューハイを1本ずつ飲む。
妻が学生時代アルバイトをしていた出版社が倒産したと聞く。
神保町のブックハウスカフェはこの土日予約制で営業とのこと。
 
明日の弁当のため、冷凍のシーフードミックスで炒飯をつくる。
先週、味付けが濃くなってしまったので再挑戦。
この日も特に見たいテレビはなく、23時過ぎに寝る。
今週テレビを極力見ない生活をしていたら
志村けん追悼の特番を見逃す。
 
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04/03(金)
 
家の近くのガソリンスタンドが少しずつ値下がりしていて、
今週前半レギュラーが128円から126円となったのが、遂に今朝125円。
新型コロナウィルスとの関係性はあるのだろうか。
むしろ値上がりしそうだけど。
 
この日も要件定義の資料をまとめる。
昨日話し合って方向性が少し見えてきたが。
昼、弁当。シーフードミックス炒飯。昼寝。
夕方の月次報告が流れて、緊張感が切れる。定時で帰る。
 
武田ハムでパストラミビーフ、合鴨のロースト、チリフランクを買う。
夜はこのチリフランクを茹でて、日清の油そば
チコちゃん、新日本風土記はSL。
猫歩きはなくなって代わりに、大阪城の番組。
何人か出てきた先生に見覚えあって、少なくとも二人はブラタモリで見たなと。
全国の城に詳しい先生と京都の坂道に詳しい先生と。
おんな酒場放浪記。
タモリ倶楽部で寝落ち。
 
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04/04(土)
 
8時半起き。ジョギング。
公園そのものは開いているが、陸上競技のフィールドは立ち入り禁止のテープが貼られ、
野球場や壁打ちテニスも利用不可となっていた。
戻って来て昨日買ったパストラミビーフでサンドイッチをつくって食べた。
島忠とライフに買い物。
ゴム手袋やゴミ袋、食器を洗うスポンジなど。
20℃を超え、5月並みの陽気。Tシャツ1枚で歩くのが心地よかった。
 
一度戻って、LIVIN の方へ洗濯用洗剤を買いに行く。
妻に頼まれたのがパッケージが変わっていて、
島忠やライフで見かけたのがそれでよかったのか心もとなかった。
公園を通っていく。昼間の公園は家族で遊んでいたり、けっこうな人出だった。
歩いている途中で見かけた極楽湯コメダ珈琲の駐車場はさすがに少なかったが。
 
妻が仕事の関係で取り寄せた藺草の入ったパウンドケーキやうどんを食べた。
再放送の『となりのシムラ』を見ながら餃子をつくる。
キャベツやニラを切って挽肉と混ぜ合わせて、
『小さな村の物語 イタリア』を見ながら包む。
75枚分。つくりすぎて皮が足りなくなり、たねが余ってしまった。
『志村どうぶつ園』の追悼番組を見て泣く。
パン君と一緒に「あいーん」を。
チビと一緒に東村山を歩く。
 
見終わって餃子を焼いて食べた。
アド街の25周年特番を見る。
その後有田Pのおもてなす。ミルクボーイとどぶろっく。
きじまりゅうたの小腹。檜原村で農業に従事する若者たち。
お笑い向上委員会ののち、有吉反省会長州力を見てNHKに回すと
光源氏が現代にタイムスリップして、というドラマ。
感極まるとところかまわず歌を詠む。
終わってさらに回すと忌野清志郎にささげる『ナニワ・サリバン・ショー』
(元ネタは『エド・サリバン・ショー』ですね)
しまった……。これを見ればよかった。
最後、奥田民生宮藤官九郎、のんが出てきて「ドカドカうるさいR&Rバンド」
カーリングシトーンズ黒猫チェルシーなどその日出演した全員が出てきて「雨上がりの夜空に」
RCサクセションの元メンバーはチャボだけだったのかな。
サポートには梅津和時も出ていた。
 
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04/05(日)
 
8時半起き。曇り。気温が昨日よりも下がる。
常備菜の用意。切り干し大根の煮物。ちくわ炒め。レンコンのきんぴら。ブロッコリーを茹でる。
みみたの具合がよくないのか、僕が出た後の布団の中に穴倉のように引っ込んでいた。
イタリア、Lazy Sunday。
昼は熊本ラーメンを茹でて食べる。武田ハムのチャーシューを乗せる。
新聞のクロスワードパズルを解く。
 
Lazy Sunday が終わって、散歩。
妻の借りた本を図書館に返しに行く。
音楽を聞きながらブラブラするつもりが、雨が強くなってきて図書館からすぐ帰ってくる。
『女王天使』の続きを読む。
足元に毛布をかけているとみみたがそのうえで丸くなって寝る。
弁当の準備。鯖のみりん干しを焼く。ほうれん草入りの卵焼き。
笑点大喜利なし、過去の名場面集。
世界遺産セイシェルサンゴ礁でできたリング状の島。
サンゴ礁で囲まれた内側は浅瀬となっている。
普段テレビカメラが入ることは全くなく、番組も何年もかけて交渉してきたとのこと。
 
夜はスパゲティミートソースをつくる。
風呂を沸かして入る。
湯船の中で昨日録画した『となりのシムラ』を見る。
日テレの人気番組4つをつなげたスペシャル。
最後のしゃべくりのところだけ見る。
携帯でどんな美女を検索したかを見せあうという企画。
引き続き、ゲストが山田孝之だったので『おしゃれイズム』も見てしまう。
午前0時前に寝る。

『天才!志村どうぶつ園』の追悼番組を見た

昨日は夕方『となりのシムラ』の再放送を見た後、
『小さな村の物語 イタリア』を挟んで『天才!志村どうぶつ園』の特番を見た。
思えば、この番組をちゃんと見たことは一度もなかったな。
それでもチンパンジーのパン君や捨て犬のチビのことはよく聞いていて、
動物たちと本気で遊び、自分の子どものように接している姿を見ていたら涙が出てきた。
愛に溢れた2時間だった。
 
先日、野村克也監督の追悼番組をたまたま見た。
古田らのインタビューがあって、清原からの手紙があってとそれなりに泣ける構成だったんだけど、
何か物足りない。故人に失礼のないようにしようという手堅さだけが感じられた。
昨日の『天才!志村どうぶつ園』では何度も何度も、
スタッフや出演者に対していつも家族として接し、アドバイスし、
一緒になって楽しんでいたという姿が語られた。
そんなスタッフたちの感謝と無念の気持ちが痛いほど伝わってきた。
 
40代半ば。『8時だヨ!全員集合』で育ち、
加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』になっても忠実にチャンネルを変えず、
高校生になっても土曜の午後『ドリフの大爆笑』や『バカ殿様』をやってるとついつい見てしまった。
(フジテレビのない青森ではこの時間帯だった)
僕ら世代はドリフ世代であって、いつも心の片隅にドリフがあった。
 
付き人時代は全く収入がなくて
ドリフの他のメンバーの食べ残したのを食べて空腹をしのいでいたとか、
80年代前半は音楽雑誌でレビューを書いていたり、
ヒゲダンスの曲も自分で探してきたりと音楽に詳しかったとか、
いろんなエピソードをここ数日思い出していた。
ネットで見かけたので本当かどうかわからないけど、
新型コロナウィルスでひいきの飲み屋がどこも経営が苦しくなったとき、
何軒もはしごしてかなりのお金を落としていったという。
それがかえって命取りになったのだろう。残念なことだ。
 
そういえば、僕が20代の頃に働いていたビルは芝浦ふ頭にあって、
定規のようにピシッとした三角形の形をしていた。
下の階はオフィスで上の階はマンション。
東方神起のメンバーが日本に来た時に住む部屋があったので
日によっては大勢の女性たちが出待ちしていた。
これは本当だったのだろう。
志村けんも住んでいるという話を聞いたことがあった。
噂にすぎなかったのかもしれない。
最上階の三角形のてっぺんの部屋。
オフの、一人きりのときは物静かな人だったという。
僕は若い頃、志村けんの近くで働いていたのだと思うことにしたい。
ご冥福をお祈りします。

藺草を食べる

妻が仕事の関係で食用の藺草を使った食品を取り寄せた。
畳の元になるあのイグサですね。
 
熊本のメーカーからの藺草麺(うどん)の太麺、細麺、パウダー。
岡山のメーカーからのチョコ、パウンドケーキ、プリン。
食卓で撮影した後、食べてみた。
青くさかったり、繊維が残ってボソボソするんじゃないかと思いきやそんなことはなかった。
言われなかったらどれも全然わからない。
基本的に無味無臭のものなのだろうか。
 
同封されていたパンフレットを見ると藺草は「食物繊維の王様」と呼ばれ、
ポリフェノールカリウムを含むなど栄養価が高い。
これはもしかしたら青汁並みに健康にいいのかもしれない。
パウダーは料理やお菓子の隠し味に、フルーツジュースやカクテルに、と書かれているが、
藺草茶というのもあるみたいなので普段はお茶という形で飲むのがいいかもしれないと思った。
 
妻からあれこれ教えてもらう。
藺草の茎はスポンジ構造になっていて油をよく吸い上げることから、
江戸時代には「灯心草」と呼ばれていた。
殺菌作用も高く、粉末にしたものを試しに温泉に撒くと雑菌の繁殖をかなり抑えられた。
一定期間摂取したら痩せたというダイエット効果もある。
 
パンフレットには藺草の語源が書かれていた。
昔から縁起物の締め紐の代わりに使われていたから、「結い草」なのだと。
ラテン語での名称も「結ぶ」から来ていて、
藺草で結ぶという習慣は日本に限らず、世界の各地にあったのだろう。
 
衣食住どれでもいける、ということか。
他にあるかな。ありそうだけど今、思い出せず。
日本人の住む家のひとつには必ず畳の和室の部屋があるのがいいな。
寝っ転がったときの気持ちよさはやはり畳に勝るものなし。

こういう話

こういう話。
2022年。とあるウィルスの流行で全世界の人口の半分以上が失われる。
政治も経済も破綻。企業が次々に倒産し、国家も機能しなくなって無政府状態となる。
電気・ガス・水道、インターネットといったライフラインも失われ、自給自足の生活が続く。
生き残った人たちが寄り集まってコミューンを形作り、水辺で農作業を行う。
夜は焚火。日が暮れたら寝て、日が出たら起きる。
 
そんな中でも岡村中年は今もまだ幻の名盤とされるCDを手に入れることを夢見ている。
他に生きる目的と呼べるものは何もない。
音になってからずっと、次に買いたいCDのリストを更新し続けてきた。
入手困難で往年の Amazonヤフオクでは数万の値が付いていたものから
いつでもどこでも入手出来てそのときお金があればまあ買うかというものまでランク付けする。
入手すると消し込むが、ガイドブックを読んだりCDの解説を読んだりで
聞いてみたくなって追加するCDの方が常に多かった。
裸のラリーズ「MIZUTANI」や
Cowboy Junkies 「Whites Off Earth Now!!」のリマスター音源といったものが
リストの上位に10年以上残っていた。
 
野菜を育て自分の分け前をもらう。
食べるのを節約してそれを市場に持っていく。
蚤の市にはごくまれにボロボロになった本を出している人がいる。
そんなとき岡村中年はそっと、CDをまだ持っている人がいないか尋ねる。
多くの人は電気のない今、何の役にも立たないと燃やしてしまっていた。
さらにごくまれにまだ持っているという人もいた。
しかしそれも思い出の品として1枚か2枚というだけであって、
何千枚、何万枚とCDを今も所有している人など周りには皆無であった。
かつての富裕層が今も豪邸に住んでいるという話は聞くが、近付いたところで相手にはされない。
 
それでも1年に1枚ぐらいは、かつてリストにあったCDを手に入れることができる。
書き写した紙も今となってはヨレヨレで読むのもやっとだ。
同好の士というのはいつの世もいるもので、人づてに話を聞いて手繰り寄せる。
手に入れたCDは電池で動くポータブルのプレイヤーとヘッドホンでで夜、誰もいないところでそっと聞く。
一度聞くと満足してそれ以上は聞かない。
電池のストックも残り少ないし、市場で最も高価なもののひとつが電池だからだ。
 
岡村中年はやがて岡村老人となる。
いろんなことを諦めた。
かつてとてつもない努力をして手に入れたCDも手放すか、他の持ち物と一緒に盗賊に奪われた。
もはやこの10年、CDというものを目にすることもなくなった。
 
そんなある日、ゴミ捨て場に何か食べられるものはないか探しに行くと
泥まみれの薄くて平べったいプラスチックのケースを見つける。
もしかしたらこれは……
The Blue Hearts「TRAIN-TRAIN」とあった。
思い出す。いろんな記憶がよみがえる。小さい頃、初めて買ったCDだった。
その音を思い出す。テレビドラマで使われていたなあと。
テレビやドラマという言葉を思い出すのも数十年ぶりだった。
そのアルバムを聞く手段は今や何もない。
 
ねぐらに戻ってCDを胸に抱きながら眠る。
その人生で聞いた様々な音楽を思い出す。
ああ、もはや思い残すことはない。
岡村老人は息を引き取るが、その亡骸を見つける人もいなかった。

弟の話

兄はとある山奥の村に住んでいて、もうすぐ50になろうとしている。
代々村長の家系で、10年前に父から受け継いで以来なんとか村を束ねてきた。
雨が降らず、冷たい風が吹いて不作の年が続く。
長いことかかってこじれてしまった隣村との戦いはどうにも避けられないものとなってきた。
 
3つ離れた弟がいたが、主人公が学校に通っていた13の頃、神隠しにあっていなくなった。
父も母も嘆き悲しんだが、しばらくするとその弟は元からいないものとなった。
服や教科書の類が燃やされた。
それも不憫かと兄は小さな葛籠に
弟の買った本や文房具や玩具のいくつかを詰めて蔵の奥に閉まっておいた。
その葛籠のこともいつしか忘れてしまった。
 
隣村との話し合いも険悪なものとなって、兄はとぼとぼと帰ってくる。
すると家の前に小さな男の子がいる。よく見ると10歳で神隠しにあった弟だった。
驚く。なぜ歳を取っていないのか?
 
家人に見られないように、ふたつあった蔵のひとつへと連れていく。
かつては蓄えやあれこれの器具をしまっておいたが、
長年の不作で多くのものを手放して空っぽになっていた。
そこを戦いが起きて捕虜を得たときの座敷牢として念のため仕組みを整えていた。
その中に弟を押し込む。
明日にも戦いが起きて危険だからかくまうのだと。
今も兄のことを慕う弟は何一つ疑おうとしない。
 
息せき切ってまくしたてる弟の話を聞くが、単語がさっぱりわからない。
未来の世界に行っていたのだという。
遠くの人と話すためのもの、空を飛ぶためのもの、どんな病も治す薬。
夢物語としか思えない。
なぜ10歳のままなのかはわからないが、弟は気が狂ったのだ、
やはり座敷牢から出すべきではないのだと兄は考える。
毎朝毎晩自ら食事を運んで下の世話をする。
弟の話は取り合おうともしない。
もうひとつの蔵も蓄えが尽きようとするとき、弟のために残しておいた葛籠を思い出す。
運んで中に入れると弟はとても喜んだが、その頃には元気をなくしていた。
かつて読んだ本を開く気力もない。
毎日の食事も食べなくなった。
 
戦いが始まり、村は焼き尽くされる。
兄も死ぬ。生き残ったのは痩せ細った座敷牢の弟だけとなる。
隣村の男たちが見つけ、まだ子供だからと殺されるのは免れる。
しかし葛籠の中のものは全て火をつけられる。
弟は隣村に連れていかれる。
食べ物を与えられ、少しは体力を持ち直す。
弟は未来のことを話すが、やはり気違い扱いされる。
同じように座敷牢に閉じ込められる。
 
そのまま10年、20年と経過した。
国のあり方そのものが変わって、村は解体された。
誰にも口をきかない弟は一人、遠くの町に追いやられる。
その町で掃除だとかゴミ拾いだとか簡単な仕事をして暮らしていく。
一人きり年老いていく。
遠くの人と話すためのものが生まれ、空を飛ぶためのものが生まれるのを目にする。
どんな病も治す薬を与えられ、何の未練もない命が延ばされる。
 
あるとき歴史を学ぶ者だという偉い先生が来て、
遠くの村で起きた戦いのことを知りたいという。
唯一の生き残りに話を聞きたいと。
しかし弟は首を振り、何十年かぶりに声を出す。
しわがれて壊れてしまったような声で一言、「話すことは何もない」と。

水不足など

先日、床屋に行ってマスターの話を聞いていたら、ハッとすることが。
 
「今、皆さんコロナウィルスばかり気にしてるけど、
 今年の冬は暖冬で全国的にスキー場に雪がなかったぐらいだから
 絶対夏に水不足になるよ」
 
確かにそれはありそうだな……
新型コロナウィルスが収束していようといまいと
夏の暑い時に給水制限となったら大変だ。
炎天下並んで水の配給を受けることを想像するとゾッとする。
 
昨年は関東地方への台風直撃が何度もあって大変な思いをしたのに、
そのことを既に忘れてしまっている。
備えるべきはコロナウィルスだけとでもいうように。
被害に遭われた方たちは今も苦しい生活を送っているというのに。
 
スーパーになくなりそうなもの、なくなったものを慌てて入手しようとするのではなく、
台風や地震といった自然災害に始まり様々な状況が起きてもいいように備えていくのが本質。
水不足だってそうだ。
夫婦二人で一週間、飲食・トイレを流す・体を拭くといった用途でどれだけ使うかを把握して、
何週間分を用意するかを計画する。
 
そう考えると今、家に備蓄している量だと全然足りず、
機会のあるごとにもうちょっと買い足しておかないとな。
そして少しずつ使っていってローリングストック。
 
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このゴールデンウィークは熊本にも青森にも帰らず、東京で過ごすことになりそう。
東京を脱出して息抜きしたくもなるが、
何かに感染していたらそれをばらまくわけにはいかないし、
事態が急展開して東京に戻ろうとしても制限されるようになるということも考えられる。
 
いつもならこの時期、ペットシッターに頼んでおく。
この状況でペットシッターという業界は
仕事が減っているのだろうか、むしろ増えているのだろうか、ということが気になる。
 
家の近くのがパチンコ屋が営業してたけど、あれっていいんだろうか?
それこそ3密にならないか。
誰も言及しないのか業界団体から圧力がかかってるのか。
そんなうがったこともついつい考えてしまう。
いや、たぶん、かなり念入りにアルコール消毒や換気を気を付けてると思うけど。

その後

この日は14日(土)の本番リリース作業の振休で休み。
こんなふうに平日家にいることが今後は増えるのだろうか。
都民はできる限り在宅勤務を、とのことだったが今のところ身の周りではそうなる気配なし。
昨日も皆普通に出社してた。
客先焼酎だと、自社につなぐ仕組みはあっても
そこからさらに客先のネットワークにどうつなぐかという問題があり。
うちのリモートワークのシステムを導入しませんかと
(この期に及んで)提案もしているみたいでまだまだ長くかかりそう。
乗じて売り込みなんてしてる余裕はないと思うんだけど。
そのうちにこの辺りからほんとに感染する人も出てくるかもしれない。
なんにしてもこういう水面下の混乱があちこちで起きているのだと思う。
 
昼を食べに行くかと外に出る。
妻に頼まれた本を図書館に返しに行く。
練馬区の図書館は窓口業務だけとなっていて本棚は閉鎖していると聞いた。
貸し出しと返却のみ。行ってみたら確かにその通りだった。
妻から聞いた話では、世田谷区の図書館は普通に開いてるとのこと。
2週間ほど前の話なので今はどうかわからず。
 
公園の桜も散り始めている。
桜の植えられた丘も閑散としている。
幼稚園か保育所か。
子供たちの集団が保母さん・保父さんに連れられて桜の木の下で記念撮影。
このご時世、そんな密集いいのだろうか? とも思うが、
もしかして今日は31日、卒園式の集合写真を撮っていたのだろうか。
特に保護者の姿はなかったけど。
卒園式をこんなギリギリに行うことはないか。
 
成増駅前の商店街のラーメン屋で食べる。
常連の多い店。隣に座ったおばさんもそうで、
ずっと家にいて気分が行き詰まったからたまの外食でここに食べに来たという。
今までは顔の知ってる人ばかりだから安全に思えてたけど、
今後は知らない人が食べに来ることが増えるかもしれないから不安だ、と話す。
俺、思いっきり一見さんなんだけど……
今話題になっているのと別の意味でのクラスター。
ラーメンはとてもうまかったが、ここに次来ることは当分ないなと思う。
 
桜を求め、遠回りして和光市方面を歩いて帰る。
島忠にはなかったが、ライフには若干トイレットペーパーとキッチンタオルがあったので
一人一組までというのを買って帰った。
トイレットペーパーを買うことができてよかった、今日はよい日だ、
と思いながら歩く帰り道、ハッとする。
トイレットペーパーを買うことができて嬉しいなんて、
いつの間に自分はこんなに人間が小さくなってしまったんだろう。
 
午後は本を読んだり、DVDを観たりして過ごす。
今日もまだ寒いので足元に毛布を掛けるとみみたがその上で丸くなって寝る。
世の中がコロナで騒いでようと猫には関係なし。
家に人がいてむしろ嬉しい、というような。
海外では猫にもコロナウィルスが感染したという。
野良猫が心配だ。
 
昨晩、テレビを見ていたら緊急で小池都知事の記者会見だという。
いよいよロックダウンかと覚悟したら
夜間の外出を自粛するよう要請するものだった。
若者はライブハウスやカラオケボックス、熟年層はナイトクラブやバー。
感染経路となっている疑いがあるからだという。
4日(土)の集まりで予約していた店を先日、キャンセルの電話を入れた。
交わした言葉は文字に起こすと事務的なやりとりになるけど
電話の向こうでは力なく、残念そうにしていた。
なんとも心苦しいことになった。