ノイズ/無音

誰もいない部屋にテレビというか
モニター/スクリーンが置かれていて、スイッチはONになっている。
だけど何も映ってなくて真っ白なままか、ノイズ、
あるいは何らかの映像が映っている。無音で。
こういう光景がときどき映画の中に出てくる。
最近だと何かな、ヴィクトル・エリセ
「マルメロの陽光」の中に出てきたのを見たなあ。


こういうの妙に惹かれる。
それってたぶん僕だけじゃなくて、割といるのだと思う。
でなきゃそうそうお目にかかるはずがない。


何かのメタファーであることは間違いない。
現代社会におけるメディアやテクノロジーの空虚さ?
人間が潜在的に抱えている「孤独」に対して、
メディアやテクノロジーは本質的に無関心であるということ?
ま、だいたいこういうところかな。


ポイントの1つに、「音がない」というのもあると思う。
人はあるべき場所に音がないと不安に感じるもの。
映画でも「無音」は大事な、見てる人に印象付けたいときに使われる。
雑踏の中、子供たちのにぎやかな笑い声、派手に鳴らされるクラクション、
主人公はそこに子供を殺害した犯人を見つける。探しに探した末に遂に出会う。
その瞬間、無音になったりしますよね。


意味のない映像が羅列されたり、完全なノイズとなっているというのも、
映画の中のスクリーンにちらっと出てくると魅力的に感じらるのはなぜなんだろう?
実生活でそんな場面に遭遇したら鬱陶しいだけだろうけど。


映像はノイズ、かつ、無音という組み合わせがうまくいくとドキッとする。
あーなんか次はそういうの作りたくなってきた。
逆に、映像はブランクなのに音だけが続く場面があったり。
そういうのが交差する映画。
頻繁にそういうのばっかりだとあざといけど、ここぞというところで。
(というか前の映画にも、その前の映画にも「無音」はあったな)


ああ、あとは誰もいない部屋というのを
ものすごく意味のある場面にするというのをやりたいな。
これ、難しい。
「人のいない部屋」ならばすぐにも用意できて
カメラをセッティングしたらすぐにも撮れるけど、
ただの「人がいないだけの部屋」にしかならない。
人の痕跡が残っていて、その不在の重みが忍び寄ってくるような状況じゃないと。
どうやって撮ればいいんだろう?
アングル、照明、小道具。
前後のシーンのつながり。
難しいね。。