Bjork来日公演

昨日の夜は武道館で Bjork 来日公演。
掛け持ちしている最近始まったPJが本格的に忙しくなってきてニッチモサッチモ
行ってる場合じゃないんだけど、
じゃあ何のために僕が生きてるのかといえば何よりもまず音楽のためであって。
午後ずっと、お客様とのロングの会議が続いてたんだけど
「いやー、別の打ち合わせに出なくちゃいけなくてですね・・・」
なんて言って途中で抜ける。


九段下の武道館へ。
駅からホールまで待ち合わせしてる大勢の人また人。
(ダフ屋もいた。先週のポリスではドームにいなかったのに。場所が関係するのだろうか?)


席は2階で、左斜めの角度からステージを見下ろす。
同じS席なのにアリーナじゃなく1階でもない。
なんなんだろ。どういう料金体系なんだ・・・?
何年か前に同じ武道館で奥田民生を見たときはもっと上からしかも真横だったので
それを思えばまだましか。
大学の先輩と一緒に見たんだけど、日にちは1日違いでポリスも見てて、
先輩は同じS席でもアリーナの後ろの方の席だったらしい。
やっぱアリーナと他の席は料金を分けて欲しいし、
普通のS席よりも高くなってもいいから僕はアリーナを取りたい。


先輩曰く、喉の調子が悪くて1月の公演はキャンセルしたとか、
直前に回ってたニュージーランドではカメラマンを殴って訴えられたとか。
この日本公演も実は危うかったのかも。
ハンパなく高いアーティスティックな状況・環境を
何よりも求める孤高の人(かつ、天然の生き物)というイメージが常につきまとう。
なお、ホール内では「アーティスト側の『強い』意向により、カメラの撮影は禁止です」
とひっきりなしに注意され、ポリスと違って撮ってる人皆無。


開演前の音楽は沖縄民謡や昭和前半の童謡系ムード歌謡みたいなのが流れていた。
恐らくこのワールドツアーで、各国の Bjork のお眼鏡に適った音楽が選ばれているのだろう。
「民族」というと固いので、その土地ならではの「トライバル」でエキゾチックな音楽を。
例えばニュージーランドではマオリ族の音楽だったのだろうか?


ステージの上にはあちこちに旗が立てられる。
国旗、ではない。
様々な色と形をした旗。図形が描かれているものもあれば、魚や蛙を描いたものもあった。
この地球上には国や国境や国と国との対立なんてものはなくて、
そこには Bjork という名の領域だけが存在する。
そんな雰囲気があった。


Bjork はホーンセクションに先導される形で登場。
アイスランドから来た、女性だけのキュートなホーンセクション。
彼女たちは時々コーラスも取って、曲によっては振り付け?に基づいて踊ったりもした。
Bjork 同様、どこの国のものでもない架空のカラフルな民族衣装を身にまとっていた。
他のメンバーは4人の男性。
 ・キーボード&ハープシコード
 ・ヴィジュアル・エフェクト&プログラミング
 ・ドラムス&パーカッション
 ・エレクトロニクス&ビーツ
打ち込みに合わせて演奏と歌が重ねられるという構成。
パーカッションの若者は神業級にうまかったですよ。
あと、ステージ脇にコンピュータ担当の人たち左右2人ずついて、
膨大なPC機材を積み重ねて操作していた。


このヴィジュアル・エフェクトってのが今回のツアーの特色の1つなのだろうか。
巨大モニターにこの人のやってることが遂次映し出される。
彼の機材エリアのモニターにイコライザーが表示され、
タッチパネルになっているのか、あれこれ画面上に描き出される「音」をいじっていた。
ステージの中央に置かれた円形の台の上で小さな陣地を動かすとかそんなこともしていた。
音と映像がなんらかシンクロしていたんだろうけど、詳細は分からず。
ずっと謎だった。


曲目は最新先「Volta」からの曲を中心に
「All Is Full Of Love」「Pagan Poetry」「Hunter」などグレイテストヒッツ的内容。
本編の最後はお約束の「Hyperballad」だった。
アンコールでは4年前のアテネオリンピックの開会式で歌った「Oceania」(だっけ?)と、
もう1曲なんだか非常にパンクな曲を。カヴァーかな。
あちこち調べてみると最近のセットリストから察するに
「Declare Independence」という曲のようだが。
となると、「Volta」からの2枚目のシングルってことになるけど、ああいう曲あったかな・・・
なんか覚束なくなってきた。


とにかくですね、よかったですよ。
21世紀最高に芸術的な音って、僕からすればやはり Bjork だと思う。
なんといっても Bjork のあの声。武道館いっぱいに轟いた。
最先端の音を生み出すだけの感性と知性だけじゃなく、
囁いたり叫んだりを本能のままに操るあの何物にも変えがたい力強い声があるのだから、
当面無敵だろうな。


打ち込みにホーンセクションという組み合わせってありそうで、なくて。初めて見た。
それだけ取ってもすごいよ。発想がしなやか過ぎる。


自慢じゃないが、っつうかたまたまなんだけど
僕は2003年のフジロックと2005年のLIVE8と最近の来日は両方見ている。
その僕がこれで3回目。それでもまだ見たいという。
全然違うものが見れるから。
やってる曲が違うっていうレベルじゃなく、
その時々でコンセプトががらりと変わってしまってるから。
そしてそれはデザインがどうとか演出がどうこうというのじゃなく、
どちらかといえば生命体の進化にも似た変容であって。


また何年か後に、見たいね。
Bjork の更なる進化を。