ゴルフというもの

新しい家の近くにゴルフの打ちっぱなしがあって
朝は6時にオープン、夜は22時までとなっている。
朝6時半に家を出ると既に打ち始めている人たちがチラホラといて、
高校のゴルフ部の生徒なのか
駅へと向かう下り坂の途中で小さな体に大きなゴルフバッグを抱えて
坂道を上っていくる男の子とよくすれ違う。
朝早く練習して、学校に行って、放課後も練習するのか。
石川遼選手がブームになってから若手ゴルファーの裾野が広がったけど、
そのうちプロになれるのが一握りなのは今も昔も変わらないのだろう。


夜帰ってくるときはパターやバンカーの練習場の側を通ってくる。
やはり熱心に練習している人たちがいる。
狭いエリアに何人もいるのに世間話のひとつもなく、
黙々と芝生の上を行き来している。
有休を取って平日の昼間通りかかるとその場所に女性ゴルファーたちが。
主婦層なのだろう。
腕前やスコアよりもファッションや社交に興味があるのか。どうなのか。


それなりの大きさがあって、きれいに整備が行き届いている。
バッティングセンターのような昭和の雰囲気がない。
スーツ姿の営業マンが暇つぶししているような。
ゴルフってのはほんと、
余暇を傾ける以上の何かなんだなあというのがよくわかる。
紳士のスポーツかどうかはわからないが、庶民のスポーツでもない。
河原でキャッチボールを交わすような、
昼休みに屋上でバレーボールをするような、そういう気楽さはない。


30を過ぎたころ、周りがバタバタとゴルフを始めた。
え? おまえそもそもスポーツなんて興味あるの? っていう人も
先輩たちから回りまわってきたクラブ一式を格安で購入していたりした。
出世し始めるころに皆やっていたら、そりゃやろうという気持ちになる。
部門や事業部のコンペが月一で開催されていたらなおさらだ。
僕は特にアンチ・ゴルフというわけではなかったけど
時間も金もなくてとてもじゃないけどやってみる気にはなれなかった。


40になってゴルフをやる人、やらない人ははっきりと分かれた。
さすがにこの年になって始める人はいないし、
30代に入って始めたにわかゴルファーの半分は
ゴルフ道具一式をその何年後かに一回り下の世代の後輩たちに売り払っていた。
他にこんなスポーツはない。
テニスラケットやランニングシューズがおさがりで回り続けることはない。
あっても一世代だけ。そんな何年も持ちこたえるものではないし。


ゴルフそのものには興味がないけど、
ゴルフにまつわる人生模様はなんだか妙に人間くさくて興味深い。
ここまで失敗談や教訓譚が豊富なスポーツは野球以外にない。
いまだもって不思議なスポーツだと思う。