消防署の訓練

梅雨も明けたんじゃないかと思うような快晴。
多摩川縁を走っていたら日差しの強さにフラフラになって帰り道断念。
歩いて帰った。


グラウンドでは児童向けのサッカー教室や中学校の野球部の練習。
テニススクール。社会人のラグビー同好会? のトレーニング。
行き、ジョギングコースを走っていたら先の方で何台も赤い車が停まっている。
近付くと消防署の車だった。
原っぱに散らばって大勢でホースを持って広げていた。
30℃を超える真夏日だというのに皆、
全身紺色の例の消防署職員の制服を着ている。
なんだったのだろうか。消火訓練?
誰かがスピーカーで指揮していることもなく、
皆無言で黙々とそれぞれの持ち場に立っていた。
赤い車がさらに何台もゆっくりとスピードを落として停車した。


大田区との境界まで行って折り返してくる。
職員たちはさらに増えて広範囲に陣取っている。
キビキビとホースを抱えて動いている人もいれば
原っぱの真ん中に停めた車両の周りで話し合っている人たちもいた。
ポンプ車やクレーン車はなく、小型の救助車ばかりだったように思う。
OBなのだろう、木陰でペットボトルのお茶を飲んでいる年配の方たちがいた。
今思うとなんだったのか聞いてみればよかった。
日曜なのだからもしかしたらなんらかの親睦を兼ねた訓練だったのか。
いや、消防署に日曜も関係ないか。


昔、荻窪に住んでいた頃は東京駅から神保町まで朝晩歩いて通っていた。
定時に出て消防庁の前を通りがかると夕礼のような場面に出会う。
大型のはしご車やポンプ車の前でスッと背筋を伸ばして伝達事項を聞いている。
もしかしてここで働いている人たちは
全国ないしは東京都の中で最も優秀な消防職員?
お濠を挟んで向かいは皇居だし。
何年もその前を歩いたけど、
幸いなことに彼らが出動するのに出くわしたことはなかった。


有事のために備えるのが仕事。
その際は全力で駆けつけないといけない。
ある時突然サイレンを聞く。
消防車が目の前を走り去っていく。
どこに向かうのかはわからない。遠くへと消えていく。


最近目撃した火事は
2年前か3年前の年末に帰省した時、大晦日の夜に家の近くで起きたものか。
雪の降る中、完全防備の消防職員たちが燃え盛る家に放水していた。
指示を出す声以外は無言で。
彼らには大晦日もない。


震災の日、1時間ほど外にいた。
目の前を通り過ぎた消防車は一度だけ、後で調べたら九段会館へと向かっていた。
都内で最初に震災による死亡者が確認され、その後閉鎖された。


そのようなことを取り留めもなく思い出しながら走った。
炎天下、訓練も火事も大変だな、と月並みなことを思いながら。