隅田川花火大会

会社の人たちと隅田川花火大会を見に行った。


前の晩は会社の人たちと飲んでいたら終電を逃し、先輩の家に泊めてもらった。
4時に寝て8時に目が覚め、地下鉄に乗って家に戻る。
帰り着いてなんだかんだしているうちに10時。


本来の予定ならば場所取りのため男子は12時に浅草に集合することになっていた。
それが台風が来るためどうも雨らしいという話になり、
だったら雨が降ろうと降らまいと全員3時に集まって
ボーリングをして飲んで帰るか、花火は見れたら見るかって感じに変更された。


10時の時点で快晴。灰色の千切れ雲は空に浮かんでいるものの、雨の降る気配なし。
あーだったら最初のプランに戻って場所取りして花火見ようよと思う。
何人かと連絡して正午に浅草に集まることになる。


ちなみに今日は男子が場所取りなら女子は浴衣を着てくること、買出しをすること。
そういう役割分担になっている。

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浅草へ。集合時間よりも前に着いて僕は1人雷門から仲見世通りを経て浅草寺へと歩いていく。
いろんな国のアジアの人たちばかり。
周りを歩いている人たちは一見みな日本人に見えるものの
話す言葉や肌の色、着ている服装がどことなく違う。
扇子や浴衣を興味深げに手に取ってみてはデジカメやビデオカメラで撮影する。
雷門の前では携帯のカメラで撮ってる人たちが多かったな。これは日本人だろう。


浅草寺で賽銭を投げ、最中アイスを食べてラムネを飲む。
抹茶を冷やして氷を入れたものをあちこちで売ってて、
道行く多くの人が飲んでたんだけど僕は飲まなかった。
ラムネはアジア系のおばさんたちがカキ氷やビールのように露店で売っていて、
大きな容器に水を並々と入れてラムネを並べ、その上に四角く切り出した氷を乗せていた。
これが涼しげで良かったんだけど、1本頼んだらおばちゃんは氷水に漬けたばかりで
ちっとも冷えてないのを、ポンとビー玉を中に落として僕に手渡した。
ケースから取り出して入れたばかりのところに僕が話しかけたからか。
冷えてないラムネは生ぬるくて、甘ったるかった。

浅草の町を10分回って1000円という人力車が何台か客待ちしていた。
いつかまた来ることがあったら乗ってみたいなあと思う。

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会社の人たちと合流して、場所取り。
隅田公園の中、東武線の橋の下に空いている場所を見つけ、ビニールシートを引く。
シートを置けそうな場所はどこもかしこも既に埋まっている。
少年野球場のグラウンドってのがベストポイントらしいのだが、これはもう空きなし。
8時半に開場でその時点ですぐ埋まってしまうのだそうだ。
来年も見るのなら、朝早くから並んでここを押さえた方がよさそう。
僕らの場所は第1会場・第2会場の中間にあってどちらも見れそうなのであるが、
近くの第1会場側は見上げると橋がちょうど邪魔になって肝心な箇所が見えなくなり、
遠くの第2会場側は見ようと思えば見えたけれども、
両サイドを木々に遮られて見ていてなんだか迫力がなかった。
花火って広々とした場所で見ないことにはダメなんだなということを知る。


13時の時点で場所を確保すると、後はひたすら夜になるのを待つ。
暇そうな大学生が寝っ転がり、別なシートではカードゲームに興じている。
昼飯を先に食べてきた僕は留守番をして、他の人たちは食事に出かける。
シートに大の字になる。日差しが強い。シートも熱くなる。
顔にタオルをかけて眠ろうとする。
時折橋の上をゆっくりと大きな音を立てて電車が通り過ぎる。
太陽が雲に隠れるとサーッと涼しくなり、そういう瞬間を見計らって僕は持ってきた文庫本を読む。
太陽がまた顔を出してまぶしくなるとタオルを顔にかけて本を放り投げる。
眠れそうで眠くならない。ぼんやりとする。
細長い公園の中を風が通り抜けていく。


食事から戻ってきた頃には後から合流した人たちも一緒になり、
真夏の真昼の公園で缶ビールを飲みながら人生ゲームをやる。
コンビニで買ってきたポケット版。
コマ代わりの車が指のつま先ぐらいの大きさで、
乗っかる妻や子供はまず間違いなく無くしてしまいそう。
お札も小さくて風が吹くと飛ばされそうになる。
デラックス版と較べて10分の1ぐらいのサイズなのに
全員ゴールインするまで2時間近くかかった。


その後は UNOをやる。懐かしい。
高校の演劇部の部室で放課後猿のようにやってたのが最後か。
もう10年ぶりか。
ルールを思い出せるか不安だったんだけどやってるうちになんとかなる。
ただやってるのもダレてくるんで、あらゆるものを賭け出す。
ドミノピザが1枚1000円でトマトとガーリックのピザってのを売り歩いてて、
それが4切れしかないとなると負けた人は食べれないうえに代金も払う、というような。
次は UNO の1200円、その次は人生ゲームの1800円、
アイスを5個、缶ビールを5本、勝負が白熱する。
出店の缶ビールなんて時間を追うごとに
300円→350円→400円とどんどん値段が吊り上がって行ったので
5本も買うと2000円。これが一番高くついた。
賭けるものがなくなると次負けた人は
浴衣で来る女の子になんでもいいから告白をして、
その次に負けた人は「ちょっーと待ったー!」と往年の「ねるとんごっこ


そうこうしているうちに会社の女の子たちが浴衣を着て現われる。
夏に浴衣。いいもんです。
それにしても若い子ってみな浴衣を持ってるものなんですね。
食べ物を買ってきてもらったので広げて食べる。
空は薄暗くなっていていつの間にか周りでも宴会が始まっている。
どこかの大学のサークルがいわゆる学生ノリで騒いでいる。
辺りを見渡すと至るところに人が立ったり座ったりしていて大混雑。


近くに設置されていた簡易トイレもいつのまにか行列に。
7個あるうちの5個が女性用で2個が男性用になっていた。
「へー。考えたなあ」と昼のうちは思っていたのだが、
夜になって人が増えて並んでみると行列になるのは男性の方ばかり。
手持ち無沙汰な男性たちがダラダラウネウネと並んでいる。
女性の方は下手すると列すらできず。
イデアはいいものの数の配分を明らかに間違えている。
そのことをトイレから戻ってきて話すと
「これで女性の大変さがわかっていいでしょう!たまにはありですよ!」と言われる。


6時になると空はまだ明るいのに始まりを告げる花火がボンボンと打ち上げられ、
7時を過ぎると再度また始まりの花火が打ち上げられる。
第1会場では尽きることなく花火の饗宴が繰り広げられる。
第2会場はどうしたもんか開始が遅れたのであるがやがて追いついて、
僕らはこちらの花火をシートに座ってあれこれ騒ぎながら眺める。


赤と緑の火花が飛び散るようなカラフルなタイプの花火が多かったように思う。
僕としては色はなくてもいいから大きさや緻密さで圧倒するものの方が好きで、
そういうのってクライマックスにならないと出てこなかった。
黄色っぽい細い光の筋が咲き乱れて夜空にスーッと吸い込まれていくようなやつ。
あと、花火って音なんだなというのを改めて認識する。
自分たちでもやっといてなんだけど
花火にかこつけて宴会をしているような場所で見るような花火は
やっぱ風雅さに欠けてにぎやかなだけ。花見に来て桜を見ないようなもの。
花火の音に浸るっていうようなものでないと「うわーっ!」という気分にはならない。
次に見るのならそういう花火大会がいいなあ。


今公式サイトを見て分かったんだけど、
花火大会ってプログラムがあって、それぞれに題目がついていた。
ポケモン花火「裂空の訪問者」ってのもあった。


(続く)