僕らが旅に出る理由

ある人から聞いた話。その2。


その人は日本中を車で旅するのが好きで、
長期の休みには必ずどっか車で出かけるのだそうだ。
で、その旅の方針ってのが変わってて、
日本の東/西/南/北の端を極めるというもの。
それも制覇して今は変わった形の半島の端まで行くのがお気に入り。


○○を見たい
○○を食べたい
○○に会いたい


というように人はその場所にある何かというものを
求めて旅をするものだと僕は思っていたのだが、
世の中には場所そのもの、その場所の形状、
その抽象的/幾何学的価値に導かれて
旅に出る人もいるのだということがわかって目からウロコだった。


なんでそういうことを始めたのかというと
車を買ったらカーナビがついていて
ふと試しに「日本の右端はどこか?」「どれぐらいの時間で着くんだ?」
と検索してみたら2日ちょっとと出てきたんで試してみたくなったとのこと。
ぶっ飛ばしてみたら確かに3日ぐらいで着いて、そこから病みつき。
(ちなみにその人は思いっきり理系)


何もその人はスタンプラリーのように一目散に目的地を目指して
着いたらハイそれまでって感じではなく、
適当に国道をのんびり走って
珍しいものや興味深いものがあったりしたら
車を停めてみてみたりもする。


日中は道が混んでるので走るのはたいがい真夜中。昼間寝て。
っつうか7日あったら7日とも車中泊という
なぜそこまでする?とも言いたくなるハードな旅。

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そういえば何ヶ月か前になんかのニュースで見たのだが、
緯度と経度の交差するポイントの写真を撮るってのを趣味で始めたアメリカ人がいて、
今や同行の士が全世界にいるらしい。
地球上のいろんな人があちこちの交差ポイントを撮影してインターネット上で公開。
手軽に撮れることもあればわざわざこのために遠征隊を組んで一大冒険をしたり。
それで出てくる写真がなーんの変哲もないごく普通の風景だったりする。


ある種の価値観からすれば非常に無意味なことなのに
別な価値観からすればユニークな意義が生まれる。
この前書いたエアギターじゃないけど
こういう話に出会う度に世の中まだまだ捨てたもんじゃないなあと思う。


※ニュースそのものはもう見当たらないんだけど、プロジェクトのサイトは見つける。
「the Degree Confluence Project」


http://www.confluence.org/


ほんとなんてことないサバンナや砂漠や森の中ばかりで
何かと考えさせられる。感動させられる。
日本だと田んぼの中だったり。


地球は広い。
人間が住んでいる場所はごく一握りの僅かな場所でしかないのだということを思い知らされる。