初めての京都 その2(1日目・先斗町)

着いたぞ、とジンから連絡。下に下りていく。
「おーおーひさしぶりやねえ」という挨拶もそこそこに
フロントに鍵を預けて外に出る。
歩きながら街並みの説明を受ける。
五条のこの辺りはビジネス街なのだという。
そうか、だから閑散としているのか。
よく見ると大手生保の支店やそういうのばかり。
昼間歩き回っているうちに靴擦れができてしまって、右足が痛い。
ドラッグストアに入って絆創膏を買う。


四条に向かって歩いていく。
大通り(烏丸通)からそれて小さな通りに入っていく。
民家に混じって閑静な佇まいのバーが軒を連ねていたりして、
「おお、さすが京都」と思う。
こういう店の1つ1つが全て酒も肴もおいしそうに感じられる。
ただもうこれだけで「京都いいなあ、住みたいなあ」と思う。単純ですね。
ジグザグに北へ東へ進んでいくうちに横の大通りに出る。
四条通。これがそうか。確かに繁華街。目の前に大丸デパートがあった。
人通りがぐっと増える。金曜の夜。買い物に食事に出てきた京都の人たちってとこか。
そのまま東へ東へと歩いていく。


繁華街をいったん抜ける。河原町近辺。
ジンが「この辺が歌舞伎町に当たる通り」だと細い通りを指し示す。
黄色やピンクのきらびやかに小さな看板が光っている。
その次のさらに細い通りへと入っていく。鴨川の手前。
先斗町だという。「ほー」と思う。
話にはよく聞く。いわゆる花街ってやつですね。
古趣溢れる料亭が並ぶ。でも時間帯が早いのか何なのか舞妓・芸妓の姿は見られず。
僕の京都に関する知識はインチキなガイドブック片手に日本を訪れた
外国人観光客並であるため、京都を歩いていればあちこちで
着飾った舞妓さんの姿を見られるものと思っていた。
もう石を投げれば当たるぐらいの頻度で。
そんなことないんですね。


通りの半分が「伝統ある民家」のようなほんと普通の家で、
小さく表札みたいなのが出てるだけ。
屋号を染め抜いた暖簾がかかっているところもあり。
入口こそあるものの入っちゃいけないような雰囲気。
窓の無い壁が拒絶してるかのよう。
中は果たしてどうなっているのか?
昔と違って一見さんお断りではやっていけなくなっているとは聞くが、
じゃあ今から小汚い格好をした僕とジンが入っていこうとしても
温かく迎え入れてくれるとも思えない。
何を食べることができるのだろうか?いわゆる京懐石?
なにをどうしたら舞妓さんが来てくれるのか?
彼女たちは何をしてくれるのか。
お酌してくれるだけなのか、三味線を弾いたり踊ったりしてくれるのか。
呼んだらいくらかかるのだろう。
世の中知らないことばかりだ。


通りの先には歌舞練場というのがあって、
歌舞伎を披露する場ではなくて、舞妓さんが踊りを練習する場所なのだという。
そういえば川の向こうに歌舞伎座があった。


通りの半分が、これら「民家」と調和するように作られた比較的新しい店。
イタリアンあり、焼肉屋あり、普通のバーもあり。
こういうところはガラス窓があって店内の様子がわかるようになっていて
僕らでも入ってよさそうだなということをなんらかの記号表現的に理解する。
ジンが予約してきたという店「茜屋純心軒」に入る。
タウン誌で取り上げられるような有名な店なのだと思う。
炭火焼がメイン。内装も京都っぽい雰囲気を残しつつも洗練されている。
いい店でした。食べたものもおいしかった。
ジンと2人でビールをガーッと飲んだ。


2軒目は適当に入る。
焼酎のビンがたくさん並んでいるのが外から見えたので、いいんじゃないの?と。
焼酎を最初飲んだ他は後はずっと熱燗を。際限なく飲む。
ずっと2人で話し続ける。
国民年金は今後どうなるのか?郵政民営化の意義とは?そんな固い話もあれば
キャバクラがどうこうってのもあり。5時間近くずっと喋ってた。
ジンが終電だというので店を出てそこで別れる。
歩いてホテルまで戻る。
風は冷たくて冬の京都が寒いってのはほんとなんだなと思う。