GW中に見たビデオ

ゴールデンウィーク中に借りてきたDVDのメモを日記に上げるのを忘れてた。
今日は設計書納品の日でバタバタしていて何も書けないので、代わりにこれを。

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ソラリス


ソダーバーグ監督の方。
ソダーバーグだったらこのところの作品はいつも劇場で見ていたのだが、
この頃は仕事が忙しくて見に行くことができなかった。
アンドレイ・タルコフスキー監督のSF映画の超名作「惑星ソラリス」のリメイク。
というかスタニスワフ・レムのSF文学の超名作「ソラリスの陽のもとに」の再映画化というべきか。
最初ソダーバーグが「ソラリス」の映画化をすると聞いたとき、「ええー?」と驚いた。
この2つ、なんか全然結びつかない。


この後に撮られた「フル・フロンタル」「オーシャンズ12」と見ていくと
ソダーバーグは知的に、スタイリッシュに、どんどん洗練されていってるのがよくわかる。
だけどその分中身がなくなっていってるなあというのが正直な感想。
映画という手段を通して世の中の人々に訴えかけたいことってこの人にはもうなくなったのだろうか?
知的でスタイリッシュな作品でそこそこ面白いものになったらもうそれでいいのだろうか?
セックスと嘘とビデオテープ」の頃には確かに何かがあったように思う。
映画として表現せずにはいられない何か。
それが「トラフィック」で頂点に達し、そこから先は明らかに下り坂。
なんだか残念だな。


うまいことはうまいんだけど、十分うまいんだけど、ただそれだけ。
その分存在感も、存在意義も小さい。
タルコフスキーの「惑星ソラリス」は作品そのものが哲学として成立していたが、
ソダーバーグの「ソラリス」は哲学について語っているだけの作品である。
結局のところは自殺した妻とその妻を忘れられない男の話。
ソラリス上の軌道を回る宇宙ステーション(現在)で起こる出来事と
地球(過去)で起こった出来事が重なり合うという趣向で、
ソラリス」はただ単に背景、小道具でしかない。


感想や評価を検索してみたら「ソラリス」については誰も彼もがボロクソに言ってた。


タルコフスキーの「惑星ソラリス」は
(実は)原作者スタニスワフ・レムの意図していたものと違っていたようで、
レムは気に入らなかったらしい。
ソダーバーグのはさらにかけ離れていると思う。

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カレンダー・ガールズ


今度出る旅行記になぜかこの「カレンダー・ガールズ」の名前が出てくる。
しかも2回も。
行きの飛行機の中でやってたというのと、ドバイの空港の中でDVDを売られていたというので。
なのにまだ見ていない。見とかないとなー、と思った。
これまた公開時に見逃してしまった。ものすごく興味があった。


イギリスの片田舎の誰も知らないようなのどかな村が舞台。
最愛の夫を病気で亡くした友人を励ますために
その記念の品を病院に寄付しようというのをきっかけに
いい年をしたおばさんたちが集まって
地元の婦人会のカレンダーにてヌードになったところバカ売れ。
一躍有名になり、評判はアメリカにも飛び火してハリウッドにも呼ばれ・・・、
という実話を悲喜こもごも交えてさらりと描く。


これ、いい映画だと思う。
見ててとても楽しかった。清々しかった。
映画としてはイマイチな部分もところどころあるんだけど、嘘がなくて。誠実で。
奇をてらわず、何の迷いもなく「普通」になることを選んだのが成功している。
等身大の軽いユーモアでおばさんたちの奮闘振りをさらりと描く。
劇場で見てたら涙ぐんだかもなあ。


日々の生活に必要なのは
息詰まるような「常識」を打ち破るちょっとしたユーモアと
行動力、それをほんの一押しするささやかな勇気なのである。

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猟奇的な彼女
韓国のヒット作。結構話題になったと思う。
これは見に行くかどうか迷って、結局見に行かなかったもの。
見に行けばよかった!
やられた。


美人だけど変に正義感を振りかざしたり酒乱だったりで
突拍子もない行動を取るシナリオライター希望の女子大生に
妙に好かれてしまった優柔不断な兵役帰りの男子学生とが織り成すラブコメディー。
もう恐ろしくベッタベタで「なんだかなあ」と思ってしまうような展開も多々あるものの
これでもかこれでもかとベタに徹した分
最後の泣きの部分にすっと入り込める。
これ、泣くわ。


「何かお薦めの恋愛映画ないですか?」と聞かれることがあったら
僕は迷わずこの作品を挙げる。
そんな僕は屈折してる?
・・・というか恋愛経験に乏しい?


おばはんたちが韓流、というか「冬のソナタ」にはまった理由が
なんとなくわかったような気がした。
ストーリー物はやはり輪郭がくっきりしている方がいい。
今見ててどういう感情を抱くべきなのかはっきりしていて、
その感情を寸分たがわず抱かせるような演出がきっちりなされているということ。
変に曖昧な「芸術」など意識せず、観客を「乗せる」ことに命を掛ける。
笑わせるなら笑わせる、泣かせるなら泣かせる。
韓国映画はこの基礎体力がしっかりしている。
監督の感性やセンス、あるいはどこかの誰かのマーケティングだけでは
作品を作らないんだろうな。


なんといっても主演のチョン・ジヒョンがいいなあ。
僕の彼女を紹介します」見に行けばよかった。

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話は変わるが、レンタルのDVDなりビデオを借りてくると
新作紹介として予告編が必ず流れる。
これって何のためのものなのだろう?
DVDでレンタルになっている時点で紹介されている作品もレンタルになっているだろうから、
「面白そうだな」と思ってもDVDを買うのではなくレンタルしてしまうのではないか。
そしたらあんまり利益にならないのでは。


そもそも作品がレンタルされたとき、
そのコミッションはメーカーに支払われるものなのだろうか?
支払うとしたとき誰がどれだけ借りたかってのは
店側の自己申告制になってしまいそう。
どういうふうになっているものなのだろうか。