メキシコ(9/3)その4 ロス到着

ロスアンゼルス国際空港到着。
機内から出て、他の人の後をついていく。
今回の旅行で僕が「難所」と捉えていたのは以下の5つ。
①−③はどれも今日直面することになるもの。
ロスアンゼルス国際空港にてメキシコシティ行きへの乗り継ぎ
(入国審査を受ける?受けない?)
②帰りのアエロメヒコ便のリコンファーム
ベニート・フアレス国際空港(メキシコシティ)到着後、いかにしてホテルまで行くか
(というかぼったくられることなく、タクシーを捕まえられるか)
メキシコシティ出発日にホテルから(タクシーで)ベニート・フアレス国際空港まで行けるか?
⑤ロサンゼルス出発日にホテルから(タクシーで)ロサンゼルス国際空港まで行けるか?
どれもツアーだったら、係員にお任せのところ。
これを今回は自分でなんとかしなくてはならない。
ま、できないことはなくて、どうとでもなるんだけど。


乗り継ぎってのはいつも難しい。
着いたその足でそのまま国際線のところに留まっていればいいのか、
それとも1度入国審査を受けなくてはならないのか。
ドバイからモロッコへの乗り継ぎのときは、かなり無頓着にそのまま国際線の出発ロビーにいた。
ロスはどうなのだろう?「地球の歩き方」を見たりインターネットで検索してみたりすると
どうも必ず入国審査を受けなくてはならないみたいなんだけど実際どうなんだろう?
5時間後に乗り継いで他の国に行きますという人もいったんは入国審査を受ける?
そしてすぐにも出国手続きを受ける?それって意味なくないか?
ロス−メキシコシティの航空券には
区間のところにしっかりと乗り継ぎを示す「X」が印字されているぞ。
何も入国審査が嫌というわけではなくて(慣れてなくていまだにドキドキするが)
ただ単にめんどくさいだけ。やらずに済むならやりたくない。
やらなくていいんだよな、と一人合点して後で出発のときにバタバタハラハラしたくないだけ。
どっちにせよロサンゼルス国際空港は出発ターミナルが無数に分かれているようなので、
そのどれかに移動する際に結局は入国審査を受けなくてはならないようだ。


何がどうなるんだろうと思いながら、他の人の後にそのままついていく。
たいがいの人はロスで過ごすのだと思う。
だから、乗り継ぎのことは考えずそのまま道なりに進んでいけばいい。
歩いていると他に選択肢のないまま、入国審査へ。ふーむ、やっぱ必要なのか。
でもアメリカがそういうシステムなのか、それともロスの空港が必要なのか、
やっぱそういうところがよくわからない。
飛行機の中で配られた出入国カードを書いておいてよかった。
とはいえ「米国滞在中の住所」とか書きようがなくて空欄のまま。
「どうしたもんかい」と思いながら列に並んで待っていると、
空港内補助員みたいな日本人か日系人のおじさんがやってきて、
1人1人出入国カードをチェックし始めた。
(こういう補助員みたいなおじさんは成田の出発ロビーにもいた。
 2人とも同じようなID証を首からぶら下げていた)
僕の番が来ておじさんは「どこに行くのか」と聞かれ、
「今から乗り継いでメキシコです」と答えると例の空欄には「Transit」と記入された。
ふーん、そういうものなのか。


なお、アメリ出入国カード(I-94 W 査証免除用)にはこういう質問があったりする。
日本人用に日本語で書かれている。
「今までに、あるいは現在スパイ行為サボタージュ、テロリスト活動もしくは
 集団虐殺に従事、参加したことはありますか。あるいはしていますか:
 1933年から1945年の間に、いかなる形であれ、ドイツ・ナチ政府や
 その関係同盟諸国に関連して迫害に参加していましたか」
アメリカが何を気遣っていて、何に対して注意のアンテナを張っているのかはわかるが、
日本語でこんなふうに書かれているとどことなくなんとなくシュール。
そもそも日本人に限らず、真顔で正直に「はい」にチェックする人なんているのだろうか?
おまけとして、税関申告用紙にはこういう質問がある。
「11.下記の物品を持ち込んでいる。
   (c)病原体、組織培養、カタツムリ」
病原体、組織培養はわかる。検疫上の話として、あるいは知的財産の持ち出し・持ち込みについて。
でもカタツムリって・・・?
ナメクジならいいの・・・?


僕の番が来て入国審査となる。
黒人の審査官が「シゴト or カンコー?」と質問してくる。「カンコー」と僕は答える。
特に問題なく終わる。出入国カードの下半分を切り取ってパスポートにホッチキスで貼り付ける。
今から5年前にフォートワースに出張で来たときにはなかったが、
左手の親指、右手の親指の指紋をスキャンされ、顔写真が撮影される。
ブレードランナー」冒頭で右目網膜のチェックをするシーンのように。
これって、いわゆる9.11のテロの影響なのだろうか。


トランクじゃなくてリュックサックが全てなので機内には預けていない。手荷物受け取りを素通り。
税関も特に問題なし。記入したカードを手渡して終わり。


この先、乗り継ぎかどうかで進行方向が変わる。
「Street」と書かれている通路と、「Transit」と書かれている通路と。
「なるほどね、こういうことか」と思う。僕はもちろん後者に進んでいく。
列に並ぶようになっていて、係員の黒人の女性が立っていてなにやら指示している。
トランクを持っている人はここで預けるようだ(?)
僕は何も預けないので素通り。「いっていいわよ」と言われる。
外に出る。
ここからが問題。無数にある出発ターミナルのどこに行けばいい?
これまで見た限りではどこにも掲示がなかった。それでいて空港はとてつもなく広い。
出発ターミナルは航空会社ごとになっていて、
地球の歩き方」を見てみたり事前にインターネットで調べてみても
どれもユナイテッドやアメリカンとか大手の名前しか載ってなくて、
僕が乗り換えるアエロメヒコが載ってない。果たしてどこにあるのか。
僕が到着した国際線ターミナルで実はよかったりするのか。


とりあえずふらっと外に出てみる。
するとさささっと黒人の男性が寄ってきて、「volunteer」と書かれたID証を見せる。
「君はどこに行くのか?」と聞かれ、「メキシコシティ」と答える。
「じゃあ、その先の6番のターミナルだ」(指さす)
「すぐそこが4番で、その先だ。5番と間違えないように。シャトルバスに乗るといいだろう」
親切な人がいるもんだと思う。握手を求められて僕は右手を差し出す。
行こうとすると親しげに話し掛けてくる。
「君はどこから来たのか?」「日本からです」「日本か、いい国だ。日本の若者たちは優しい人が多い」
と話したところでおもむろに取り出したファイルを開く。
世界地図が書かれていて、いくつかの国が大きく別枠になっている。
俗に言う、恵まれない国だ。
「子供たちを援助するために募金してほしい」
しまった。
そういうことだったのか。
「20ドルから」
僕はとっさに「お金がない」と答える。実際、なかった。財布は空。
日本で両替していたのを、移し変えてなかった。
ポケットをポンポンと叩く。ないということを彼にも示して、自分にも納得させるために。
彼はそんな僕を放そうとしてくれない。
ポケットに20ドルちょうどあったことを思い出す。空港の中で使うかもしれないと。
仕方なくそれを手渡す。彼はレシートというか領収書をくれる。
もしかしたら本当に募金のためなのかもしれない。活動資金を得るために。
そこにはカリフォルニア伝導教会のロサンゼルス支部と書かれている。
「20ドルの寄付が、飢えている子供10人を助ける」
これが嘘だったらやりきれんよ。
せめて本当に飢えている子供の役に立ってほしい。
教訓:空港の外で待ち構えている人の言うことは絶対耳を傾けないこと。
   どこの国であろうと。どれだけ優しそうな人であろうと。
   初めてその国を訪れた一介の旅行者ならばなおのこと。