メキシコ(9/3)その5 ロスからメキシコシティへ

気を取り直して歩き出す。
無料シャトルバスが確かに走っているが、目の前で出発してしまう。
どれだけ広いのかわからんが時間もあるし、テクテク歩いてみる。
4番のアメリカン航空中心のターミナルを過ぎて、すぐにも5番へ。
デルタと、アエロメヒコと、その他大勢の航空会社たち。
あれ?6番じゃなくて5番じゃん。間違ってんじゃないか(あるいは僕の語学力が悪いか)。
まあ過ぎたことは仕方なしと5番のエントランスへ。
到着ロビーにて友人や家族を待つ大勢のアメリカ市民たちの前を通り過ぎる。


2階にチェックインカウンターが並んでいて、アエロメヒコを探す。
人の全くいない区画の、客が他に1組しかいないカウンターがあった。
チェックインする。つい先ほど入国審査の際にパスポートに貼った出入国カードの断片が早くもはがされる。
窓際−通路側を聞かれて通路側にする。
窓際の方がいいんだけど、トイレに行きたくなると困る。
ロスまでは日本人ばかりだからそれでもよかったんだけど、
次のフライトでは日本人はごく少数となるから余計な問題は避けたい。
手荷物は預けない。「ほんとに預けないんですね?」と念を押される。
あと、リコンファームの手続きってのをしてみる。
これがなんなのかよくわからない。生まれて初めて。
航空会社のカウンターにて「Reconfirm, please」と言うだけみたいなんだけど、
何をどうしたらOKな状態となるのかわからない。
とりあえず帰りのチケットを見せて「リコンファーム」と言ってみる。
カウンターの中の女性は航空券の束をパラパラとめくって「OK」みたいなことを言う。
チェックインと違って目の前のパソコンに何かを打ち込んで照会したりしない。
不安になる。全然聞き取れなかったが、「5日」と言われる。
なんのことだろう?到着は「3日」で「出発」は「7日」なのに。
でもまあ、これでいいんだろうなと思う。何かがどうにかなったのだろう。


出国手続きらしきものはない。ただ、いくつかのゲートをくぐる。
黒人女性が多い。こういう係員系の要所要所には黒人女性が多かったが、
空港にはヒスパニックなどいろんな人種の人たちが働いていた。
入国審査の隣のブースには名前から察するに中国系の男性がいたし。


セキュリティチェック(手荷物検査)。
枠をくぐると思いっきりブザーが鳴る。
カーゴパンツのポケットの中も全て取り出してカゴに入れたのに。
なんで?と思うとサンダルだった。
そう、今、アメリカは靴も脱がなくてはならない。


出発ロビーへ。
フライトまで4時間もある。非常に中途半端な時間。
免税店やロス土産を一通り見るものの、特に買いたい・買っておきたいものはなし。
先ほど20ドルを予想外に使ってしまったばかりなので、
マックやその他コーヒーショップに入る気にもならず。
いくつかあるロビーのうち、一番人がいないところの一番端に行く。
壁一面ガラスになっていて、小型機がメンテナンスのために滑走路を移動したり、
コンテナを積んだカート(カーゴ?)が現れては消えるのを眺める。


「航路」の上巻を機内で読み終えていたので
読むのを変えようと「パーク・ライフ」を手に取る。
併録作品も含めて、面白くて一気に読んでしまう。
ずっと前から気になっていて、いつか読まなくては思っていたが
思いがけなく読むことができた。ロサンゼルスの空港の片隅で。
これは期待に違わずものすごい小説だった。
今の僕には書けない。悔しい。
特異な登場人物を造形して、その登場人物の様々な言動を通じてストーリーが展開する形式というか。
無駄のない文体。何か不思議な空間へと連れて行かれる。
こういう小説、僕にも書けないものだろうか。
ここ何ヶ月か僕が書いてきたものがくだらなく、質の低いものに思えてきた。


ロスが寒いのか、空港が冷房効きすぎなのかえらく寒い。
ネルシャツを取り出して切る。そういえばロス行きの飛行機の中も寒かった。


ビリビリビリとサイレンが鳴り響く。
5分ぐらい鳴り止まない。誰かが慌てて何かをする気配もない。
始まった時と同様にピタッと音が消えてなくなった。


ロビーにて日本人男性を3人ほど見かける。パスポートや「地球の歩き方」でわかる。
同じ便でメキシコに行くのだろう。


ロシア人男性が、「どういうことなんだ?説明してくれ」と公衆電話で話している。
(もちろんロシア語で。聞き覚えのある言語だったのでそっと耳を傾けた)
ロサンゼルスからメキシコシティへと向かうフライトのロビーでロシア語を聞く。
今自分がいる場所は紛れもなく、国際社会のどこかなのだと思う。


搭乗開始の時刻となる。
案内は完全にスペイン語。英語なし。何言ってるのかマジで全然分からない。
次々に搭乗券を千切って半券を返し、旅行者は飛行機の中に消えていく。
僕が航空券を差し出すとスペイン語で何かを言われて、断られた。
クラスの関係で最後となるのか。格安だと後回し?
他の日本人たちは搭乗券を切られて中に入っていく。
僕に限らず何人かメキシコ人がそういうふうに足止めを食らう。
最後になって乗り込むことができる。


小さな飛行機となる。ロスまで来たのよりも2回りも3回りも小さい。
ロスで週末を過ごしたと思われるメキシコ人ばかり。
もしかしたら買い物のために来てたりするのかもしれない。
僕の隣にはそういうメキシコ人母娘が座っていた。


ロスを出発。
それまで気を張っていた僕は眠くて眠くてどうしようもなくなる。
日本時間にしたら午前3時頃だもんな。
でも腹が減っていて機内食はどうしても食べたい。
頑張って目を覚ましている。ウトウトしながら。


そんでその機内食
パスタ or チキンでチキンを選択するとライス、ニンジンを付け合せに
醤油で甘辛く味付けしたようなチキンが出てくる。
ここでもまたビールを飲む。
「CERVEZA Modelo especial」と書かれたメキシコ!のビール。
キンキンと冷えていておいしかった。


食べ終わって、寝る。5半時間のフライトのうち、後半4時間は記憶なし。
ロサンゼルス時間にして17:30に到着。メキシコシティでは19:30になるようだ。
時差が1時間と、あと、メキシコシティではサマータイム導入によるもの。
さあ、ここからまた勝負。
入国審査と税関をくぐりぬけて、タクシーに乗ってホテルへ。