Mika Sasaki & Various Artists 「Memories of Sasakisan」

デラ君が mixi に書いていたレビューからこの作品のことを知った。


ちょっと長くなるけど、Yuichiro Fujimoto 氏の解説が
非常に的確なので(抜粋して)引用します。


「佐々木はいわゆるミュージシャンでもなければアーティストでもない普通の女性で、
 デザインなどを仕事にしているが、
 音楽を学んだこともなければ、楽器を演奏した事もない。
 恐らく、普段音楽を(CDを買って)聴くという事もほとんどしていないだろう」


「佐々木は自分の携帯電話に着信メロディーの自作機能がついている事を見つけたときから、
 ずっと日々の日記のような感じで作り始めた。
 その作業は(作業と言ってしまったほうが似合うのだ)、
 音を作り終えるまで全く聴かずに、自分の中で決められたルールで、
 メールを打つように組み立てていき、あっという間に一曲は完成する」


「このCDは佐々木の曲に、彼女の曲を素材として世界中の様々なアーティストに送って 
 彼らの解釈で作り直してもらった曲のコンピレーションである。
 ただのリミックスアルバムではなく、彼らはそろって彼女の曲を気に入り、
 楽しんで自分たちの音楽に取り入れて作り直した曲を提供してくれ、
 トータルでちょっといい雰囲気をもったものとなった。
 もちろん彼女の音をようやく世に出す事が出来た事に一番大きな喜びを感じている」


まず、世の中にこういう「音」が存在するのだということに驚く。
勇気が出てくる。何かがほんのちょっとおかしくて、くすっと笑ってしまう。
たぶん最初はなんかの冗談だったのではないか。
ユーモラスな着想があって、それを淡々と続けていって、
いつの日かそれがこの世界にちょっとずつ広まっていく。
素晴らしいことだと思う。
日記のように綴っていったというのがいい。


彼女の音を聞いた世界のいろんな国の人(ドイツ、スペイン、韓国など)が
彼女の音と戯れてまた別なものを生み出して返信したという展開もまた、素晴らしい。
世の中には「コラボレート」という言葉が氾濫しすぎているが、
これこそ真の「コラボレート」だと思う。


普段流通している、店頭に並んでいるCDの音楽ってのが
いかに制約が多くて不自由なものなのか思い知らされる。
この世の中にはたくさんの「音」があるのに、
ユニークで心地よいものはもっとたくさんあるはずなのに、
僕らが目にして手に取ってトレイの中に押し込む音楽は
そういう意味ではどれもこれも似たり寄ったりだ。
メロディーと楽器の構成と演奏する人が違っているだけ。
その背後にある何か大きなものは、どれも同じ。


もっと聴きたい。何よりもこの佐々木さんの原曲だよね。


オリジナルなものは、まだまだいくらでもこの世界には転がっている。
見つけてないだけ、見つかってないだけ。

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AOKI Takamasaツジコノリコの、現在フランス在住の2人による「28」の後に聞いた。
なんだかよく似ている。
音楽をつくりたいという気持ちの根底にあるものは一緒だと思う。

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ツジコノリコは昨年リリースラッシュ(?)で
「28」「BLURRED IN MY MIRROR」「DACM」この3枚を買って聴いた。
もう1枚コラボレートものがあったんだけど、それはまだ入手していない。


振り返ってみると結局昨年も一番「いい」と思わされたアーティストは
ツジコノリコだったように思う。
マジカルでファニーでキュート、
シンプルでドリーミーでスイート。

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昨年一番よかったアルバムはそういえばなんだっただろうか。
ベタだけど、The White Stripes の「Get Behind Me Satan」だろうか。
他に思い出せないな。どういうのがあったか。
日本は特にないな。強いて言えば UA豊田道倫の「東京の恋人」ぐらいか。
新しく知って「おお」と思ったのは Animal Collective ということになる。


印象的だった出来事は
菊地成孔のオーバーグラウンド化と渋さ知らズのメジャーデビュー。
あれこれいろんな意味で考えさせられる。


Bjork のライブは相変わらずよかったです。
これと Aimee Mann しか昨年は観てないってことになるのか。寂しいな。