会社の先輩から「ウェブ進化論」という本を借りて読む。ちくま新書。
著者である梅田望夫はシリコンバレーでの生活が長く、現在は「はてな」取締役。
この業界にいたら、以前 CNET JAPAN にて連載していた「英語で読むITトレンド」というブログか
はてなダイアリーの「My Life Between Silicon Valley and Japan」
どっちかのブログにいずれ突き当たると思う。
インターネットというものが従来の WEB1.0 から WEB2.0 へと進化を遂げていくという視点から
いかに google や amazon が革命的存在であるかを語っている。
まあ要するに google はネットのこちら側ではなく
「向こう側」に巨大なインフラを構築して
従来では考えられないような低コストでのサービス提供を可能とした、ってわけです。
この本から学んだこと、さらに興味を得て読むことになる別の本のことはいずれまた書くとして、
今日書いておきたいのは中で紹介されていた「ブッククロッシング」のこと。
ネットの向こう側で、こちら側ではなくリアルな世界での
「オープンソース現象」の例として取り上げられていた。
「オープンソース」って言うと Linux の開発がよく語られるわけですが、
ソースコードをネット上に公開して世界中の人々と共有してみんなで開発して
問題が発生するとみんなで解決に向かう、そしてそのソフトウェアは日々進化していくというものです。
知的関心の高い人たちが自発的に集まって、ボランティアとして開発を行なう。
従来のソフトウェアは企業の中で、プログラマーを囲い込んで秘密裏に、
かなりのコストをかけて開発されるものであって、そのソースコードは絶対公開しないものだった。
そこからするとオープンソースってのはとんでもない発想の転換であって、
インターネットとそれが世にもたらすものが発展する上での重要な起爆剤の1つとなった。
こういう理想的な物事の進み方がリアルな世界でもできないものか?
それが「オープンソース現象」ということになる。
世界各地の人々が自発的に集まって
無償で問題の解決に当たって、世の中をよりよいものに変えていく。
「ウェブ進化論」の中での「ブッククロッシング」に関する紹介文を引用します。
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ブッククロッシングとは、読み終えた本をカフェや駅などの公共空間に放置し、
その本を偶然手にした人に読んでもらい、
世界中を勝手に無償の図書館にしてしまおうという活動であり、
これも広義の「オープンソース現象」と言える。
2001年に米国で始まり、会員数は40万人を超え、
登録書籍数は300万冊に近づこうとしており、
英国の公共放送BBCも最近支援を始めた。
システムの仕組みは、
(1)まずブッククロッシングの会員になる(無料)、
(2)同サイトでステッカーを入手し本に貼って公共空間に放置する、
(3)本につけられたID番号ごとの情報を同サイトで管理する、
つまり、ID番号をたよりに、その本をどんな人が読みどんな感想を持ったか、
その本がどの場所を旅してきたかなどの記録を追跡できるかもしれない、というものだ。
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基本的にすごくいいアイデアだと思う。
■ブッククロッシングの団体としてのサイト
http://www.bookcrossing.com/
■日本語で紹介しているサイト
http://www.sankei.co.jp/enak/2005/may/kiji/08bccross.html
http://homepage3.nifty.com/hapilaki/bc/
このような「ブッククロッシング」の流れに乗らないまでも、
最近では地下鉄の駅で「ご自由にお読みください」って感じで本棚が置かれていることがある。
家で埃をかぶっているぐらいなら、見知らぬ誰かでもいいから読んでもらった方がいい。
しかも、その本がどういう人の手を渡ったものなのかイメージができて、
その本を読んで思ったことを共有できるというのならなおさら、いいことだ。
その本が旅してきた歴史を知るということはそれだけで1つの物語になる。
でも、どうなんだろうね。うまくいくのかな・・・
こういう動きを知っている人はごくわずかだと思う。本が好きな人であっても。
インターネット上の世界とは違うから爆発的な広がりはなくて、
緩やかにしか進んでいかないことが予想される。
誰もがすぐに思うことだけど
こういうのって現実的なコストの問題が出てくるからどうにもこうにも動きようがない。
上記の産経新聞のサイトでは、ブッククロッシングのサイトは
「サイトでステッカーやしおりなどのグッズを販売、その収益で運営している」とある。
細々と、人々の善意に支えられて進めていくより他にない。
一番の正攻法なのでそれでやっていくべきなんだけどね・・・
「ウェブ進化論」でも書かれてるけど、
google や amazon が本の中身を検索・閲覧できるようなサービスを提供しようとすると
すぐにも出版業界が「本が売れなくなる」と噛み付く。訴訟も辞さない。
でも、こういう「ブッククロッシング」の団体については誰も噛み付かない。
つまり脅威とは全然思われていない。
(そもそも「図書館の存在は出版業界の将来を脅かす」とは誰も言わんし)
そもそも僕みたいな、
・本は新品で読みたい
(あんまり人から借りたくないし、入手困難じゃない限り古本で読みたいわけでもない)
・家で埃をかぶっていてもいいから、本棚に並べていたい
という人も世の中にはまだまだ多いだろうし・・・
まあとにかく、支援とまではいかないまでも
共感を感じたのでここに書いてみました。
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それにしても話はちょっとそれて電子書籍ってどうよ?
僕からするとあれって広まるように思えないんだけど。
本や雑誌の体裁でないと読めない。
百歩譲ってプリンタに印刷して読むか。
ニュースぐらいだったらまだ電子媒体でいいんだけど、小説の類は絶対読めない。
僕が旧人類なのかな・・・