夏、東京駅

昨晩は客先での打ち合わせが終わったのが午前1時。
タクシーで帰ってきて寝たのが3時頃か?
会社は午前休を取ることにして、目覚ましをかけずに寝た。
10時半に目が覚めた。
全休にするかどうか迷って、「やっぱ行ったほうがいいよな・・・」とスーツに着替える。
台風がそれて東京は猛暑の始まり。
見上げると青空も白い雲もくっきりと鮮やかな色をしている。


急いで会社に行く必要もなく、丸の内線をいつもより一駅先に行って東京駅へ。
お盆で仏壇に供えるものを青森に送るために両口屋で和菓子の詰合せを買う。
そのまま地下街で昼を食べる。「むつみ屋」のラーメン。
とりたてておいしいわけではないんだけど、時々食べたくなる。
牛乳入りの味噌ラーメンが目当てだったんだけど、なかった。あれは冬のものか。
チャーシュー麺にコーンと味付け玉子を追加して食べる。
サラリーマンと観光客、あるいは帰省の途中の客が多かった。


そう、東京駅は帰省のため荷物を抱えた人たち、主に親子の姿がちらほらと目立った。
国内旅行用の小さめのトランクを引きずっていたり、ボストンバッグを抱えていたり。
「いいなあ、帰るのか」と思う。あさっては本格的な帰省ラッシュとなるのだろう。


地下街から階段を上って外に出る。
とてつもなく暑い。日差しが強い。
じっとりとした暑さがそこらじゅうにベタッと貼り付いている。
通勤定期のある有楽町の駅まで歩いていく。
信号待ちしている間、あまりの暑さに日陰を探す。
ビルの谷間の公園では、会社員たちやOLたちが
ひっそりと佇むように昼休みを過ごしていた。


茶店でコーラかアイスコーヒーでも飲んでいくかとも思うが、やめとく。
入ったら涼しくなるが、出たらもっと暑くなる・・・
JRの改札をくぐる。
山手線のホームも、夏のうだるような暑さに浸りきっている。
山手線がやってきて、乗り込んで、エアコンが効いていてほっとする。


新橋、浜松町と風景が通り過ぎていく。
いや、「風景」って言えるほどきれいなものではない。
毎日毎晩見ている、見飽きた街並みだ。
それが今、夏の奥底に沈みこんで色褪せて朽ち果てていく途上にあった。
風化して、そしてそのままで何百年もこの地上に残されるような。


田町駅で下りて改札をくぐる。
階段を下りて地上へ。セミの鳴き声が聞こえそうな錯覚を覚える。
高層マンションの建築現場の向こうに、青空が広がっている。


青空が広がっていた。
僕は長い距離を歩き続けて、会社へと向かう。
頭上のモノレールを車両がゆっくりと通過する、交差する、
振り向くとと羽田方面へと消えていく。
その向こうにも、青空が広がっていた。