もし生まれ変わりというものが「ある」というのなら、
それは人の死後1秒も経過しないうちになされるものなのだろうか。
それとも100万年先だったりするのだろうか。
この時間というものが物理的に計測可能な時間と
内的に感覚として捉える時間とで異なるならば、
100万年経過してもその人にとっては1秒間と思えるかもしれない。
1秒間なのに100万年と感じられるかもしれない。
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ということをあるとき考え、これをもとに小説を書けないかと考えたことがあった。
うまく思いつけなくて、去年書いた小説に上のようなことをそのまま埋め込んだ。
今でも思う。どういうものなんだろうと。
僕自身、こういうこと信じるも信じないもない。
あるのかもしれないし、ないのかもしれない。
たぶん、「ない」のだと思う。
仏教?で言うところの輪廻転生みたいな考え方。
かと言って死んだら「無」だ、というのもなんか違うと思う。
というかそういうの考え出すと怖くなってくる。
死ぬってのはやはり怖いことだ。
考えること自体、怖いことだ。
「無」に戻るのとミジンコに生まれ変わるのとだったら、どっちがいいだろう?
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もしこの世界に「神様」というものがいたとして、
それは実際のところ、ただ単に人類よりも高次な存在でありながら
人類には触知できないなんらかの意識だけのエネルギー体だったとする。
だとしたら生まれ変わってその神様になるってことも可能性として
(というか思考の実験として)ありえる。
様々な宗教における「生まれ変わり」の概念って
地球上に限定されたものなのだろうか?
生まれ変わってどっか別の銀河系のどっか別の惑星の生命になるってことないだろうか?
実は生まれ変わりってものは普遍的な現象として成立しているのだが、
とてつもなくとんでもないところに生まれ変わっているので全然気がつかない、
ってことないだろうか?
地球人から地球人へってのがものすごく確率の低い現象となる。
ときどきごくまれに「私は誰それの生まれ変わりだ」と言い出して
実際に「以前」の記憶を語りだす人がいたりするようだが、
これってそういうことじゃないか?
メキシコの女の子がいきなり、私はイタリアのなんとかって地方の
なんとかって小さな村に住んでいた30代の男性で、死因は、・・・みたいなやつ。
でも、この説がほんとなら、
「私は宇宙人の生まれ変わりで、・・・」という記憶を
みんなが持ってるってことになる。
それはさすがにないよなー。
でもそれって、真顔で周りの人に語りだしたらキチガイ扱いされるから
誰もがそっと心の奥に秘めていたりして。
・・・とりあえず僕はそういう記憶ないです。残念ながら。
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ってことでこういう小説を考える。
「生まれ変わり」ってものがあるとする。
根拠があって、科学的に解明されたものであるかどうかはこの際おいておく。
とりあえずその生まれ変わりは人類から人類に限られている。
文明は発展し、人類は宇宙に進出する。
銀河系を超えて人類の居場所は広がり続ける。
主人公は全然別な星系の全然別な惑星に住んでいる。
人類が初めてその惑星に殖民を行なってから既に何百年と経過している。
祖先の星のことなんて、埃をかぶった歴史書の中か、
神話やあるいは子守唄の中の出来事でしかない。
主人公は自分が誰かの生まれ変わりである、ということに気づく。
その記憶がある日突然目を覚ます。
最初のうちはその「星」がなんであるのかわからない。
長い年月をかけて調べていくうちにその星が「地球」であることがわかる。
彼は/彼女は、その星に行ってみたくなる。
というか、惹きつけられてやまない、行かずにはいられない何かを感じる。
その星はものすごく遠くにあって、長い年月を要し、ルートも定まっていない。
しかし彼は、彼女は、周囲の制止を振り切って旅に出る。
数々の試練、辛い出来事や悲しい出来事の果てにたどり着いた「地球」にて、
果たして彼/彼女の見出したものは?