ツアーでペルー その11(4月22日)

黄金博物館の土産物屋


黄金博物館へ。
非常に裕福な実業家ミゲル・ムヒカ・ガーヨ氏の
個人的なコレクションがそのまま博物館となっている。
地下がプレ・インカ時代からの、黄金を使った装飾品の展示、
1階が世界各地古今東西の武器の展示。
地下もさることながら1階もまた
銃に鎧に勲章に鞍に刀に砲台のミニチュア、ヘルメットに斧に拍車。
展示物が溢れんばかり。
武器にこれといって興味はないけれど、
僕にとしてはこっちの方により強いインパクトを感じた。
これだけのものを集めることのできた
ミゲル・ムヒカ・ガーヨ氏は何を手がけていたのだろう?


地下の黄金のフロアへ。
紀元前3000年〜2000年の土器からプレインカ時代(5世紀頃のナスカ文明など)、
15・16世紀のインカ時代まで時代に関係なく、
陶器ならば陶器、銀器ならば銀器とカテゴリーごとに展示されている。
なのでスペイン人の十字架のアクセサリーなんての無造作に紛れ込んでいる。
ガイドのUさんは年代ごとの展示の方がいいのにと嘆いていた。
歴史を学ぶには確かにそっちの方がいいだろう。


地下に下りて最初にまず目に止まるのは頭のミイラ。
頭にかぶった王冠には金・銀の飾りはなく、鳥の羽で覆われている。
ナスカ時代のもの。この当時の人々にとって金や銀に対する興味はなく、
鳥の羽の方が神聖とされていたため。
当時、戦いに負けた側は打ち首にされた。
切られた頭は目・鼻・耳・口を塞がれる。死後、神と会話をさせないため。
これらの首は腰にぶら下げられ、戦士の一族にて代々受け継がれていく。


その隣のケースにあったのが頭蓋骨の手術後。
この地域に高度な文明があったことの証拠として有名。
脳外科としての治療ではないようだけど。
頭蓋骨に開けられた穴は身分の高い人は金で塞がれ、
身分の低い人は南瓜の皮が使われたとのこと。
(ここで失笑が巻き起こる)


染物。様々な色が使用されている。
赤は虫をつぶして取られた染料。


銀器や磁器の部屋へ。
インカ文明はなぜか金・銀・銅はあっても鉄はなかった。
そのためこの博物館には鉄器の展示がない。
鉄がないというのは文明として不思議なもんであって、
だからインカには車輪が発明されなかったのだと言う人もいる。


足の形をした銀製のカップが飾られている。
足は豊作祈願を表すのだそうだ。
右から注ぐとゴボゴボと音をたて、
左から注ぐと音がしないという仕掛けを施したカップなんてのもあった。
もちろん展示物なので試すことはできないけど。


動物の形をした磁器がたくさんある。
プレインカ、インカの人たちは文字を持っていなかった。
よって磁器の形を動物の形にするなどして、彼らの生活がどんなものであったのか残した。
リャマやアルパカなど。
例えば豚はスペイン人が持ち込んだものなので、彼らが題材とすることはなかった。


ミイラの部屋へ。
ガラスのケースの中に収められたミイラが何体も飾られている。
みな膝を折り畳んでいる。
これは胎児の姿を意識したもの。
また生まれ変われるように、という願いが込められている。
身分の高い人はきれいな色の布で覆われている。
当時の人が利用したカツラも展示されていた。


ミイラは今でも遺跡の中で見つかることが多く、盗掘されることもしばしば。
道端でミイラの布が売られていたりすることもあって、
レプリカならばよしとされている中で、レプリカなのか本物なのかわからない。
いちいち作るのではなく手っ取り早く盗品を、ということか。


壁一面に広がったケースに、
3m×3mの大きさの黄金の壁掛けのようなものが広げられている。


次の部屋は様々な器具・装飾品のあれこれ。
中心には身分の高い人の座った輿。手の込んだ装飾がなされている。
楽器のコーナー。
先が尖っていて、長いものは2mにもなる。節くれだっている。
杖かと思ったら笛だった。そういうのが何本も。


などなど。後は1階の武器のあれこれを見た。
(ここは写真撮影が厳禁なので記憶を元に書くしかなく、なかなかつらい)


外に出て、いくつかある土産物屋を覗く。
小奇麗なカフェみたいな店もあって、外国人旅行者の団体がくつろいでいた。
絵葉書を14枚買った。
リマやクスコ、マチュピチュチチカカ湖の風景、
ナスカの地上絵、コンドルやアルパカの写真。
最初の店では7枚買って2ドル、次の店では7枚買って7ソル。(だいたい1ドル=3ソル)
巨大な一物を誇るインカ時代の陶器の人形の写真をモチーフにした絵葉書がたくさんあった。
ジョークだと思ってみんな買っていくんだろうな。
その後ペルーの各地でこの手の絵葉書を嫌となるほど見かけた。
ミイラの絵葉書なんてのあった。
ツアーで居合わせた人と「これ突然届いたら怖いですね」って話をする。


ペルーのお土産としてはアルパカのセーターやマフラー、
インカ・コーラのTシャツ、ケーナアンデスチックな皿、タペストリーやポンチョ、
工芸品・アクセサリーの類がポピュラーか。
僕が欲しくなったのは毛糸の帽子。アンデスな模様。
耳当ての部分が長く伸びていて、細くなった先に房がくっついている。
お土産屋ならばどこに行っても売られている。
ペルーにいる間これかぶっていようかなあ、と思うが
さんざん迷った挙句買わないことに。
この後ずっと迷ってやめての繰り返し。
前に書いたカウボーイハットと一緒で、日本でかぶる機会がないってことで。


この帽子、モロッコ旅行に行ったとき、カサブランカのハッサン2世モスクにて
白人の若いバックパッカーがかぶっていて「いいなあ」と思ったので記憶に残っていた。
アンデス地方のものだったのか。
彼は恐らくペルーを訪れたことがあって、その後モロッコまで旅を進めていったのだろう。


添乗員のKさんとガイドのUさんがお土産の話をする。
日本人しか買わないというものも結構あるようで、
ピンクソルトやマカがその代表。