「インランド・エンパイア」

デヴィッド・リンチ監督の最新作「インランド・エンパイア」を見に行った。
http://www.inlandempire.jp/index_yang.html


恵比寿ガーデンシネマ。土曜の朝。
公開してから結構経ってるので人の入りは今ひとつ。
でも初日辺りはコアなファンで盛況だったのではないか?


堂々3時間の大作。
延々悪夢が続いているようなものだから長いも短いもない。
仕事で疲れている僕はところどころ居眠りしながら見た。
夢うつつの状態で見ているとこの映画なかなかいいかもしれない。


前半は割りときちんとストーリーを追っててそれゆえに退屈、
後半からわけがわからなくなってようやくリンチ節全開。
エンジンが掛かるまで時間がかかった。
エンドクレジット共にそれまでの話の流れがどうでもよくなるような大団円。
ニーナ・シモンのナンバーに合わせてダンサーたちが踊るというもので、とてもかっこいい。
ここで弾けるための3時間だったと言ってもいいだろう。
というかこの映画ミュージカルってことになってるから、まあこれでいいのか。
好き放題やって誰も文句を言わない、
言ったところでスルーするかスルーされるデヴィッド・リンチという人は
監督としてとても幸福だと思う。


恐らくネットに流すことを当初目的として
家庭用よりちょい上のクラスの DV で撮ったせいか画像が非常に荒い。
というか安っぽい。ざらついてるわけでもない。
これってリンチ特有の悪夢感に合うようで全然合わないと思う。
元々がカラフルでスタイリッシュな映像を撮る人なのだから鮮明な方が絶対いい。
見てて終始違和感を感じて、僕はもうそれだけでかなりのマイナス。
よくできたデモテープを見てるような気がした。


マルホランド・ドライブ」の方がはるかに面白いと思う。
でもその「マルホランド・ドライブ」も最初はテレビ用の企画を却下されての映画化。
映画となったことでファンであろうとなかろうと結果オーライ。


今回はその逆で、映画じゃなくてネットで公開すべきだったんじゃないか。
ネットでしか見れないってことでよりカルトな作品となったのでは・・・
ファンはさらに盛り上がったと思う。
ストリーミングにせよダウンロードにせよ何回も繰り返し見れるだろうし。


一言で言うと、長い分薄味な印象を受けた。
何回も見ればあれこれ語るに足るだけの発見があるんだろうけど、
とりあえず僕としては1回見れば十分。


おまけ。
プログラムの中で評論家の滝本誠氏も取り上げていたけど、YouTubeにて公開されていたビデオ。
ドライブしていたら、デヴィッド・リンチ自らが道端で映画のプロモーションをしているのに遭遇。
しかもなぜか牛を一頭従えて。
つくづくシュールな人だと感心させられる。
「Nate & Matt meet David Lynch (and a cow)」
http://www.youtube.com/watch?v=Ut6zdE8qWj0

    • -

帰りに恵比寿ガーデンプレイス三越の地下にある「エチオピア」でビーフ野菜カレーを食べる。
神保町だけじゃなく、ここにもあるんですね。


荻窪駅を出てアパートにまで戻る途中、近くの神社では祭りのようで、屋台が出ていた。
たこ焼きを買って帰ってさっそく食べた。
年に1度ぐらいはこういうたこ焼きもいいか、と思う。