バベルを構築する

この世界を「言葉」により語りつくすことは可能なのだろうか?
この宇宙の森羅万象の全てを記述する。
それはビッグバンと共に始めなければならなかったのか?


いや、いきなり「全てを」となると気が遠くなる作業となり、永遠に完結しない。
だとしたら逆の方向性ということで
身の回りのことを淡々と積み上げていくことで何かが生まれないか。
僕1人ではなくて、大勢の人間が集まって。
「あなたにとってこの世界はどういう場所ですか?」
この問いかけだけを投げかけて、みんなが自由に言葉を連ねていく。
あるものはあるものとリンクするだろう。
おぼろげながらもそこには何かが生まれていくだろう。
そういう Wiki のサイトがあったらいいな、と思った。


ある人はそこに、この星の裏側で意味も無く死んでいく子供たちのことを怒りを込めて書くだろうし、
ある人はそこに、毎日の日々の中で見つけた小さな喜びについて書くだろう。
世界中のニュースを拾い集めて羅列する人もいるだろうし、
写真や絵で語ろうとする人も出てくるだろう。

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もしかしたらこの世界はたった1つの言葉、
2つか3つの言葉の連なりによって言い表すことが可能なのかもしれない。
そしてそれがその言葉を発した本人、たった1人にとって意味を成すだけではなく、
多くの人と共有できるようになるかもしれない。


1千語を費やしたところで堂々巡りを繰り返すだけ、
どこまで書いて消してまた書いたところでちっとも本質に迫ることができない。
しかりある日ふと思いついた一言が核心を突いていたりする。
それを読んだり書いたりするから、文学というものは面白いのだと僕は思う。


この世界の全てを余すところなく描写する必要はない。
何かひどくちっぽけなものでもいい。
しかしそのわずかばかりの断片が残りの世界を暗示させる。照射する。
この世界がどういう場所なのか、とてつもなく大きなものを予感させる。
優れた文学とは、そういうものだ。

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相反することを書いてしまった。


Wikiのサイトはなんらか立ち上げてみたいと思う。
文学的である必要性は全くない。
その人その人の素直な言葉を素直に積み重ねていく。ただそれだけでいい。
キーワードとかタグでつなげていく。
なんかそれだけでよさそうな気がするんだけど、他に機能は必要だろうか?


再掲載になるけど、以前こんなことを書いた。

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昨日の夜、会社の先輩と新しいビジネスについてあれこれ意見を交わした。

 
その中でふと思いついたサイト。
Wikipediaがいろんな人が集まってWEB上に辞書を作っていく試みであるならば、
同じことが小説を書くということでできないか。

 
Wikiでそういうのできないかな。
僕が考え付くぐらいなのだから、既にあるのかな。

 

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誰かが書いたセンテンスに対して別の誰かが自由にノードを追加していく。
横にストーリーを追加する場合と縦に既存のセンテンスのバリアントを生み出す場合と。

 
ノードは階層的な細分化がどこまでも可能とする。
ただし、既存のノード間の分割はできない方がいいだろう。
例)1.1-1.2とあったとき、1.2.1は作成可能だが、1.1.5は不可

 
ノードに対しては読者がレイティングを行うことができる。
より評価の高いノードを結んでいくことで、メインのストーリーが浮かび上がっていく。

 
想定される機能
・ユーザー管理
・ストーリーについて意見を交換する掲示板みたいなやつ
・システム管理者からのお知らせみたいなやつ
・FAQ
SNSサイトのコミュニティ監視みたいなやつ
ブラックリストユーザーの排除、禁止用語の削除)

 
・ノードの結合と分割(文系の僕には分からんが、たぶん難しい)
・レイティングとノードの選別

 
・ノードという概念とは別の次元での、コンテンツ管理
(複数の大きな括りでの「小説」の分類管理から、
 テキスト情報の履歴:Division管理、DB内に保管するテキスト情報の最適化まで)

 
・その他、使い勝手のいいWikiの編集機能と見やすいプレゼンテーション

 

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もし万が一うまく行った場合にその「作品」をどのように展開させるか
(例:書籍として販売する)
各参加者の著作権の扱いをどうするか
などなど課題は多い。

 
でも、こういうサービスが世の中にまだ存在しないのなら
是非ともやりたい。実現させたい。まじで。
僕自身はプログラミングもできなきゃ、サーバーの構築もできないけれど。

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これ、結局何も実現してないんだけど、
そもそもじゃあこれがあったとして何を書きたいかってことを考えたときに
僕がやりたかったことは
「あなたにとってこの世界はどういう場所ですか?」
という質問に対して、ゆるやかな言葉の地平線が広がっているようなものだった。
始まりも終わりもない。ストーリーの流れもない。


だとすると機能は何もいらない。
公開でみんなが更新していくブログが1つあればいいのかもしれない。
いや、それだと時系列に沿って直線的に読んだり書いたりすることになるから
やはり Wiki 的に前後左右自由に横断できる方がいい。


WEBの世界の中にバベルの塔を構築すること。
登って行った果てに視界が開け、壮大な世界が広がっていること。
そのレンガはこの星に住む普通の人々が
1個1個自分の言葉で積み上げていくのだということ。


そういうことが、できたらいいな。