盛岡ツアー その6

okmrtyhk2008-04-09


ガイド、更に続き。
城跡公園を出て、ビクトリアロードを歩く。
川に下りていく。ここは「詩歌の道」となっていて、石川啄木に始まり、
盛岡ゆかりの人の詩や短い文章が小さな石碑に彫られて道端に置かれている。
僕はその名を初めて知ったのであるが、画家の深沢紅子であるとか。
川の反対側に「深沢紅子野の花美術館」というのがあった。
同じく反対側にはNHK朝のドラマ「どんど晴れ」の撮影で使用された家や店が並んでいたる。
ガイドの方に「みなさん、『どんど晴れ』はごらんになられましたか?」と聞かれて
もじもじと誰も答えないでいると、とても残念がられた。
まあみんな会社員だからね・・・
普通だったら見ることができない時間。あれって盛岡が舞台だったんですね。
残念そうだったけど、その後ずっと、「ここも撮影で使われて」とあれこれ教えてくれた。


市役所の裏近くにものすごく大きなイチョウの木があった。
道路を作る際に切り倒す計画があったみたいんだけど、
市民の請願により道路を迂回させてイチョウの木を残すことになった。
「なるほど」と部外者の僕ですら残したくなるくらい、立派な木だった。


「詩歌の道を歩いててなんか感じませんか?」
「柔らかくないですか?」
言われてみると確かにそんな感じがする。
数年前の大型台風で流され、打ち上げられた木々をチップにして道に混ぜられている。
なので歩いてて柔らかい。ゴツゴツしていない。歩く人に優しい。
ついでに言うと、道の幅は車椅子に合わせている。


「上の橋」を渡る。
「擬宝珠」(ぎぼし)という飾りが欄干に取り付けられている。
京都の御所に飾られていたのと同じ様式を用いることを特別に認められて、製作された。
製作者の名前と製作年が彫られて残っているという珍しいもの。
南部藩の藩主が京都の朝廷にて参勤していたとき、
季節外れの鹿が鳴いてうるさいということで「歌で諌めて静かにさせよう」と
詠んだ歌を集めたところ、南部藩藩主の歌で鹿が鳴き止んだ。
その功績を認められて、という経緯がある。
この「擬宝珠」は元々別な場所に据えつけられていたのが後にここに移された。


紺屋町へ。
川の近くなので染め物屋が多かった地域。
番屋(火事がないか見張る高い塔、火の見櫓みたいなもの)を通り過ぎ、
南部せんべいの店に入る。旧式のテレビやレジが置かれていて、レトロな雰囲気。
朝、盛岡駅前で入った店がここの支店のようだ。
朝のときもそうだったけど、お客さんはサービスでお茶が振舞われ、煎餅も試食できる。
僕が朝買った「21種類、21枚、21世紀」を皆、会社のお土産に面白がって買う。


紺屋町を歩いて南に下って行って「ござ九」という
江戸時代から続く旧家を利用した籠、ざる、箒やたわしの店の中に入る。
正に江戸時代の商人のお屋敷。
調べてみたらサイトがあった。イメージをつかむには写真を見たほうが早いです。
http://morioka539.com/
かつての豪商。当時は間口の広さで税金の額を決めていたため、
京都に構えられた店はどこも間口が狭く奥行きが広い。
ここの店のように間口をデーンと構えるのは当時いかに羽振りが良かったのかという証拠。
売り物が籠やざるとなると21世紀の今となっては侘しい佇まいですが・・・
ものすごく大きなたわしがあったり。三度傘も売られていたり。


その後見たのが、岩手信用金庫本店。ロマネスク様式。
神殿のように白くて大きくて高い柱が前面に並んでいる。


プラザおでってに戻って来て通り過ぎ、最後に入ったのが「啄木・賢治青春館」
http://www.odette.or.jp/seishunkan/
「ござ九」と共に本来コースに入っていなかったので、ラッキー。
僕らの歩くのが早かったからか、時間が余ったのだろう。
入場無料。中に入る。ここはもともと、旧第九十銀行本店本館だった建物。
明治・大正時代の、城跡を中心とした盛岡の街並みを再現したジオラマの前で説明を受ける。
岩手銀行中ノ橋支店や紺屋町の番屋などなど、
この2時間の散策の間に見たものがどれも小さな模型になってちょこんと配置されていた。
ここでガイドの方とはお別れ。東京駅の大丸で買ったとらやの羊羹を渡す。
展示室に喫茶店が併営されていて、皆歩き疲れたのかここでぐったりとコーヒーを飲んで休憩。
名前の通りここは啄木・賢治の足跡を辿るというもの。
そういえば宮沢賢治も最近ずっと読んでないなあと、帰りの新幹線で詠みたくなって
薄くてすぐ読めそうな「猫の事務所 ある小さな官衙に関する幻想」というのを買う。
原田紀子という画家の、版画のような、モダンな挿絵が前頁にあって素敵な本。
http://www.amazon.co.jp/dp/4925236032/


17時前ぐらいだっただろうか、青春館を出てここからは自由行動。
タクシーに乗って駅に向かうグループと、歩いて駅まで向かうグループに分かれる。
僕はもちろん歩いていく。中央通を行く。
この日一日何度も往復した道。
広々としていて、並木道になっていて「盛岡っていいな」と思う。


とりあえず大通の商店街に入ってブラブラと歩いてみる。特に目的はなし。
新幹線は18時40分ごろ。あと1時間以上ある。
なんか面白いものはないかと探す。
盛岡で最も栄えている場所?なのかな。
「ああ、盛岡の若者たちはここで遊んでいるのか」と思ったのだが、どうなんだろう?
これと言って何か目新しいものがあるわけでもなく、飲食店で賑わっているだけ。
引き返す。裏通りに入ってみる。焼肉屋とキャバクラばかりが目に留まる。
「こんなもんか」と思いながら結局駅まで歩いていく。


駅ビルのお土産屋に再度入って、南部せんべいや会社へのお菓子を買う。
本屋に入って暇をつぶす。


新幹線の時間が来て、ホームへ。三々五々メンバーが集まる。
体調の復活していた僕はビールは「もういい」って気分だったものの
酒が飲みたくなり、キオスクで岩手のワンカップ系の酒を買う。
「雪っこ」というのと「あさ開
「雪っこ」は白く濁ってて舌にとろっと来る味。うまかった。
「猫の事務所 ある小さな官衙に関する幻想」を読みながら、飲む。
笹かまぼこを酒の肴にして。


帰りの電車はほとんど皆、寝てた。
僕は疲れていたけど、眠れなかった。本を読んで過ごした。


東京駅で、解散。


金曜の夜に出発して、土曜の夜帰って来る。
こういう手軽な旅行ならもっともっとできるよね。
飛行機でラーメンを食べに福岡とか、うどんを食べに香川とか。
また企画しよう。どっか行こう。