青森2日目

8時に起こされる。
さっそく雪かきをする。
ふわっとした新雪ではない。時間の経過した、ベタッとした雪。
昨日の夕方までに降り積もって、その後、風は強かったものの雪は降らなかったのだろう。
屋根から落ちた雪が玄関を出てすぐにうず高く積もっている。
スコップで掻き分けて、庭先に放り投げる。
今日は快晴で青空が広がっている。解けた雪が雫となって地面に広がる。
すくって投げて、すくって投げて。無の気持ちになる。


母の風邪がよくならない。
朝食後、妹の運転する車で母は病院へ。その後、整骨院でお灸を受けるのだという。
「西洋医学のあと、東洋医学。おかしいでしょう?」と母は言う。


午前中、居間で一人、本を読む。今回持ってきた本の1つ、「コンゴ・ジャーニー」
今年あちこちの書評で取り上げられた旅行記
コンゴの奥地に幻の怪獣「モケーレ・ムベンベ」を求めて
呪術師を訪問し、役人に賄賂を渡し、川を遡り、マラリアになり、と波乱万丈の冒険譚。
読み出したらやめられない。


このところの強風でテレビのアンテナの安定が悪くて、
屋根の上でゴトゴト動いているってことで昔からの付き合いの電気屋さんに来てもらって直してもらう。
居間の蛍光灯も新しいのを持ってきてもらって、僕が取り替える。
はしごを伸ばして上っていって、屋根の上をあちこちと動き回る音がする。
アンテナを固定する4本足の台が、古くなって2本折れていて、1本曲がっている状態だという。
そりゃアンテナもグラグラと揺れるよね。
わざわざ、近くのホームセンターに新しい台と取り付けるための金具を買いにいってくれる。
全て作業が片付いて、僕はお茶を入れる。
「トヨヒコ君何歳になった?」と聞かれて「1日で34歳になる」と答えると、とても驚かれた。
「30過ぎてたんか!」
もう何年も会ってなかったからなあ・・・
こういう話の常として、結婚はまだか、夏にはお嫁さんを連れてくるんでないかと言われる。
後は、東京の住み心地の話と、不況の話。


昼頃、母が帰ってくる。
入れ替わりで僕が出かける。昼は食べない。
インターネットに接続したく、街まで出る。
そのことを話したら、「さくら野」の地下で静岡茶を買ってくるように頼まれる。
昨日も書いたけど、ネットブック用のイーモバが圏外だったのは予想外だった。
イーモバ、かなり使えない。


快晴だったので外に出るのも苦にならない。空は澄んだように晴れている。
バス停で試しにノートPCを立ち上げてイーモバをつないだら、アンテナが3本立っていた。
あ、青森のこの辺まで来てるんだ。
そうか、国道沿いに伸びてるんだろうな。
だけど僕の家はバス停から結構歩くため、電波が届かなくなっている。
そういうことか。
明日からは遠出して街まで出なくても、この近くのミニストップで用が済むかもしれない。


バスに乗って青森駅の西口へ。
橋を渡って正面口のみどりの窓口の列に並ぶ。
4日の青森発八戸行きの特急を、3日発に変えて八戸で一泊するようにする。
4日に八戸から東京に向かうのは変わらず。
朝、親戚のおばさんから電話がかかってきて母の代わりに出たら
たまにはこっちにも顔を出しなさいと。
そういえばもう何年も行ってないなあと思い、今回長く来てるのでお言葉に甘える。
窓口で聞いたら途中下車しても乗車券はそのまま使えるとのことだった。
特急券も交換する。
15時ごろのをとろうとしたらいっぱいで、
次の臨時列車も1席だけ余りがあるというのを取った。
Uターンラッシュのピークだもんな。


AUGAの市民インターネット・センターみたいな場所に入って、
PCを借りてようやくネットにつながる。
メールを読んだり、編集学校の教室にログインしたり。
携帯からもアクセスできるはずが設定変更し忘れていたので、ここで手続きを行う。
(東京では参照だけ試してOKとしていたのが、書き込みには別の設定を必要としていた)


「さくら野」でお茶を買って、駅前にできたプロントヘ。
カフェオレを飲みながら、せっかく持ってきたネットブックでインターネットに接続する。
この辺りは余裕で電波が入る。
青森の喫茶店でノートPCを広げてる俺ってかっこいいんじゃん、なんて思う。


LOVINAで会社の人たちへのお土産を買う。
リンゴのクッキーや青森限定リンゴ味のアポロ・チョコなど。


バスに乗ってきて16時には帰ってきて、その足で銭湯へ。
早い時間に行ったら空いていて居心地がよかった。
17時半には早々と夕食。
貯金は毎月するようにしなさいと母に怒られる。
食後、母が食器を洗う横に立って、洗い終わったのを拭く。


東京で買ってきて持ってきていた、「20th Century Maestros」を聞く。
フルトヴェングラーカラヤンなど名だたる巨匠の名演を集めた10枚組。
それでいて1980円だったか。破格の安さ。
フルトヴェングラーの指揮するブルックナー交響曲7番を聞く。
昨日大型パックで買ったいいちこをお湯割にして飲みながら。
やかんでお湯を沸かして、ポットに入れておく。


その後、同じく10枚組で2000円ぐらいの
スペインのギタリスト、アンドレス・セゴヴィアの作品集を聴く。
1枚目はバッハの演奏。
ブラック・ジャックの20巻を読む。やはり、「ほろっ」と来る。
台風の夜の話、そしてその次のSLの話の、成長したピノコ
コンゴ・ジャーニー」の続きを読む。
現実が猥雑過ぎてマジック・リアリズムになってしまう。


夕飯どきの母との会話:
「お母さんは昨日の今頃と、今日と、どっちが元気そう?」
「今日のほうがつらそう」
「お母さんは、今日のほうが楽な気がするんだけど」
・・・世の中の母親という母親が、そういうものなのだ。


僕が3日の日の夕方、親戚の家に行くことになり、母にそれを告げると
だったら3日の昼にスパゲティーを食べに行きましょう、ということになる。
パスタじゃなくて、スパゲティー
ほんとは今日の昼、行くはずだった。
アラスカ会館の裏に、その店はあるという。
風邪がよくならなくてそれどころじゃなくなって。
3日も怪しい。
「お母さんの風邪もその頃には、よくなってるから」