ディズニーランド

短編のアイデアを考える。


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1)
世界的な不況が押し進んだ、何十年後かの未来。
あらゆる産業のあらゆる企業が淘汰され、
自動車、コンピューター、いわしの缶詰め、私立大学、私立病院。
なんであろうとどの産業も世界的な大企業一社だけが生き残っている。
娯楽産業だって、そう。
ディズニーランドだけが生き残った。
娯楽だけを目的とする場所、庶民がそのためにお金を使って訪れる場所は
大都市だろうと山間の村だろうと、
大小様々無数に乱立するディズニーランドしか残されていない。
そんな世界を描く。


ジョージ・オーウェルの「1984年」やテリー・ギリアムの「未来世紀ブラジル」など。
 灰色に覆われた全体主義の隘路ってテーマが大好きなんですよね)


与えられた、押し付けられた娯楽。
人々にはもはや、自由な想像力は残されていない。
生まれたときから死ぬときまで、ミッキーマウスが一緒。それが当たり前。


通りの向こうから「あ、ミッキーマウスが来た」となると条件反射的に笑う。
着ぐるみを着た、笑顔以外の表情がないミッキーが
子供だろうとお年寄りだろうとその頭を撫でる。


誰が着ぐるみの中に入っているか分からない。
しかし、相当のエリートでないと、着ぐるみを着ることができない。
ミッキーマウスの前から自らの存在を消してしまえる、特権的な階級。


(もちろん、各キャラクターの中にも序列があって、以下省略)


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2)
押し進めてみる。


生き残った大企業はただ1つ、ディズニーランドだったという世界。
国家すら吸収された。


教育機関医療機関は言うに及ばず、
あらゆる物資を生産する工場を管理し、軍隊まで持っている。
そして裏社会に横行する売春や麻薬の販売すら牛耳っている。


(瑣末なことだが、そこではウォルト・ディズニーが神として崇められている)


この世界の全てが、アトラクション化されている。
そしてあらゆる人間が、「キャスト」だ。


ディズニーランドという共同幻想を維持することだけを目的として、
人々の寄り集まる社会が成立する。存在する。


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3)
もし、作品として仕上げるならこういう形になる。


1) と 2)の中間の世界を思い浮かべる。


「少年」はディズニーランドの中で生まれ育った。
外の世界に何が広がっているのか、何も知らない。
友人たちも知らない、知ろうとしない。
(ただし、大人たちは知っている。でも、それは秘密だとして、教えてくれない)


ふとしたきっかけで少年は周りの世界がどうなっているのかを知る。
冒険に出てみたくなる。


たくさんの危険な出来事の末に少年は外へ出た。
そこで目にした、この世界の真の姿とは?