フィクション

次に書くもの

次に書く小説が少しずつ形になってきた。 大学を出て20年。 学生時代に映画製作サークルに属していた5人が再会して、一夜だけの撮影を行う。 夜新宿で落ち合って、かつて何度も撮影しに行った千葉の内房の海へと車で向かう。 道中いろんなことがあって、砂…

殺し屋もの

会社の行き帰り、今からあの職業に就くにはどうしたらいいだろう、ということを考える。 例えば、殺し屋というもの。 あるのだろうか。ある。この国にも何らかの形で存在するんじゃないか、と思う。 暴力団関係では確かに「ヒットマン」と呼ばれる人がいるよ…

(サンプル)

この季節にしては暑い日だった。 峠をひとつ越えてきたばかりで、額に流れた汗をぬぐった。 向こうに村が見えてきた。 聞いていたようにあちこちに細長い塔が伸びている。 生えていると言った方が近いかもしれない。 家々が寄り集まったところには塔も多かっ…

悪魔と取引をする

悪魔と取引をする。 その存在に前から気付いてはいた。 黒尽くめの格好で尻尾や角があるとかそういうのではない。 気付いたとたん、とてつもない負の領域がそこにあるのを感じて寒気がした。 しかし同時に引き寄せられる。 ダースベイダーがフォースの暗黒面…

生殖活動というもの

こんな夢を見た。悪夢。 会社のPCがコンピュータウィルスに感染して それまでに閲覧したエロサイト、エロ画像が全て表示されてしまう事態に。 動画は音声も流れる。 慌てて止めようとするが数が多過ぎてひとつひとつ止めようとしても追いつかない。 会議か外…

寓話

主人公の女性は、毎日リアルな夢を見ている。 目覚めているときと夢見ているときとで感覚の質感が変わらない。 どこにも存在しない架空の町の中でもうひとつの生活を送っている。 小さい頃からずっと。その町でもまた成長してきた、とも言える。 彼女はその…

「Aliens」

僕が小さかった頃に住んでいたアパートは今思い出すととてもボロかった。 錆びた鉄の階段は見上げるとプラスチックの庇に苔のようなものが生えていて、 吹きさらしの廊下を歩くと漬物とペンキの臭いがした。 僕が母と暮らしていた部屋の隣には顔色の悪いおじ…

「Room Service」

ドラマとかアニメとか連作シリーズとして。 架空の都市の、架空の時代の、架空のホテルが舞台。 大きくもなく小さくもなく目立たない地味な建物。 どちらかといえば古びていて、そんなに儲かってなさそう。 主人公は就職して3年の若い女性でルームサーヴィ…

都市の記憶、その残骸で形作られた町

世界の果てのどこか。 都市の記憶、その残骸で形作られた町がある。 高層ビルが乱立し始めた時期の上海の路地裏。 みすぼらしい薄暗い家々が今にも取り壊されようとしている。 打ち捨てられ、不法占拠者が住むベルリンの集合住宅。 アーティストを名乗るもの…

男と女と女と男

ひょんなことで出会った3人の男女の共同生活。男と女と男。 東京23区の西にある、古い一軒家。 屋上がある。男1がよくあがっていて、タバコを吸っている。 男2は決して上がろうとしない。 そこが男1の気の置けない場所だと感じているからか。 女1は男1…

Something About This Building

30階 子供たちの遊んでいる声、賑やかな音、 ただしその音声がスピーカーから聞こえるのみ、朝も夜も、 それ以外何もない空間 29階 死(それ以上先には進めない) 28階 生(そこから後戻りできない) 27階 色とりどりのツヤツヤとした風船が詰め込まれている…

試作

単調な音楽が天井のスピーカーから流れ始めた。 12時。昼の休憩になった。 第1コンソールの再生を一時停止。第2コンソールのライブラリも検索結果を初期化。 第3コンソールでコーディングしていたインデックスも仮保存していったん落とす。 どれかがかす…

エチュード

「煙草いい?」 「え、あ、どうぞ。…あー、この時間帯もけっこう車走ってるものなんですね。 トラックとか。コンビニとか宅配の荷物運んでんでしょうね。 僕らが普段眠ってる間に」 (後部座席に座る女は無言で前方を見つめている。サングラス。煙草に火をつ…

近未来もののアイデア

近未来。シンギュラリティ以後、 テクノロジーはもはや手の届かないところへと進化している。 一方で人々の生活は後退している。 貧富の差が一層激しくなり、0.1%以下の大富豪が全世界の富を握る。 一般人はもはやインターネットに接続することも携帯電話を…

エチュード2

「足はまだ痛みますか?」 「ええ、まだ歩くのがやっとで。さっきの階段一人で上ってくるの、つらかったです」 「ベッドがあるから、しばらく休むといいですよ。 …ええと、じゃあ、この部屋を使ってください。 前に住んでた人が残してったものがいくつかある…

エチュード1

「それでさ、オマエ、どこいたの? ずっと」 「どこって? 東京いたよ。まあ、西の方だけど」 「あ、そうなんだ。同じとこ? 結婚してなかったっけ?」 「してた。けど、別れた。三年前」 「今はフリー?」 「そういうあんたは? 映画、まだやってるの?」 …

「舟」

夜行バスで明け方駅に着くと、もらっていた切符で改札をくぐった。 自動ではなくて鋏を入れる。駅員に表情はなく、腕の先が動いて返すだけ。 階段を上り、温泉地や交通安全の色褪せた広告がポツリポツリと貼ってある中を歩いた。 階段を下りて吹きさらしの、…

「Room 517」 

大晦日を知らない町のビジネスホテルで過ごす。 そんな人がどれぐらいいるのだろうか。 フロントで隣に立っていたくたびれた男性はコートの下にスーツを着て、出張のようだった。 世の中にはそういう仕事もある。 三が日の初売りの手伝いで派遣されたのかも…

試作2

ブースター、一段目のエンジン、タンク、二段目のエンジン、タンク。 下からパーツを切り離していきながらどんどん上昇を続けていく。 3分もしないうちに、一般的に「宇宙空間」とされる高度100kmを超えた。 空気抵抗が弱まり、フェアリングという先端のカ…

試作1

ゆっくりとした、落ち着いた声でカウントダウンが始まった。 カレンは側にいた誰かに手を握られて、自分も握り返した。 このとき初めて気づいたかのように、改めてその大きさに驚いていた。 それは遠くにあって、雲ひとつない空の日差しを浴びて白く輝いてい…

演劇部ものの出だし

演劇部の部室。4畳半もない狭い部屋。 壁や天井はポスターで埋め尽くされている。 野田秀樹や松尾スズキなどによる東京の有名な劇団。新しいものではなく色褪せている。 他に演劇コンクールの県大会。何年か前の自主公演。 演劇には関係のない、アイドルや…

「Listen, the snow is falling.」

徹夜明け、研究室を出て屋上で煙草を吸っていると今年最初の雪が降ってきた。 ハラハラと白く零れ落ちてくる。 冷たくなった柵にもたれてみる。下を見ると、地上を何人か歩いていた。 何も気づいてないようには足早に去っていく。 まだ雪がそこまで届いてな…

「新世界」

主人公はふとしたことからふたつの世界を行き来するようになる。 現実世界では凡庸なサラリーマンだ。 毎日毎日同じことの繰り返し。 ちょっとしたいいこともあれば、不愉快で理不尽な思いを受けることもある。 疲れて帰ってきて缶チューハイを飲みながらテ…

Noise Latitude

小説よりも映画向けの内容。 世界の果て、世界の終わり。 人気のない海辺。 文明は崩壊し、生き残った人たちがひっそりと暮らしている。 巨大な音が上空から聞こえる。 ゴウゴウという風の音ではない。 自然の音ではなく、かといって人工の音ではなく。 それ…

燐火

残業を終えて、二本乗り継いで帰ってくる。 妻は明日まで北海道に出張。蟹の写真が LINE に送られてきた。 改札を出たところで「岡村さん」と声を掛けられる。 振り向くと星野さんだった。 「ちょうどよかった。これから、どうですか?」 駅ビルの中はサイゼ…

「あなたがこれまでに食べた一番おいしい食べものはなんですか?」

どちらもくることはなく、かなり時間がたってから先生がきてくれた。 たのんでもいないのに。肩でハーハーいってた。 いつものヨレヨレのネクタイと背広で。 すこしはなれたところから見てたら小声でなんかいってて、 何回も何回も頭をさげていた。 そんなこ…

バラクーダ1

ジジジ、ジジジジー ジジ、ジジー 暗闇の中、天井から斜めにぶら下がった蛍光灯が 時々じんわりと点いては消える。 それだけでも彼らにとっては眩しいくらいだ。 ふたりの姿が水面に歪んだ影を投げかけていることは気づいていなかった。 「くるよ」ヤスを構…

バラクーダ

東京の地面の底を巨大な魚たちが泳いでいる。 広大無辺の暗闇。汚れた水がしたたるのを避けて地中をゆく。 大きいのは1mを超える。3mや10mもある。 壁を抜けて、下水管を伝って地上まで近づく。 バシャバシャと跳ね回るがその姿は普通の人間には見え…

「listen, the snow is falling」

構想。メモ。 どちらかというと映画の脚本として。 - チヅヨはIT業界の大手企業に勤めるシステムエンジニア。 40間近で今は現場から離れ、計数管理などの中間管理職的なポジションにいる。 スタッフ部門の異動を繰り返すぐらいで、この先たいした未来はない…

その女の子はいつも一人で遊んでいる。 ボロボロになった人形であるとか壊れた傘であるとか。 伏目がちな少女は声を発することがない。 公園の横の駐車場は閉鎖されていて 通りかかる大人たちも少女のことは見てみぬふりをしている。 公園には決して足を踏み…