フィクション

寓話

こういう設定。 遠い遠い昔なのか、遥かかなた未来なのか。 その国では月に一度、全国民を対象とした抽選を行い、 職業を決める。家族を決める。住む場所も変わる。 全てがアトランダムにシャッフルされる。 高い確率で奴隷となり、ものすごく低い確率で王族…

こういう話

主人公は大学生。19歳の夏。 休みに入って青森に帰省しようとすると ひとつ上の先輩が車で北海道に帰るから一緒に行かないかと誘われる。 暇だしそれもいいかと思う。 海の向こうでは戦争が始まっていた。 片方の国は以前から核実験を行っている。 国境沿い…

運命の二人

こういう設定を思いつく。 連作用のアイデア。 地球から遠く離れたその星に住む人類にも男女の性別があった。 惹かれ合い、共に生きることを選んだ二人は (つまるところ、地球で言うところの結婚をした二人は) 石を交換する。それは首から下げた袋に入って…

こういう話

こういう話。 主人公は放火という行為、火事という出来事に魅せられてきた。 燃えている家を見たとき、ゾクゾクしてたまらなくなる。 消防車が走り出さないかいつも気になっている。 小さい頃からそうだった。 祖父母と暮らす田舎の家の物置小屋を燃やしたの…

壁の話

男はあるとき、自分の身の回りに目に見えない、透明な壁ができていることを知る。 ガラスでできているのか、なんなのかよくわからない。 とにかく硬くて、厚くて、遮られてその向こう側に行くことはできない。 だけど他の人々に壁は存在しないのだろう。何も…

女の子の絵

そう、若い頃、まだ時代が大らかだった頃、山奥の古民家に住んでいたことがありました。 亡き妻の、ええ、三十年も前のことですが、父方の祖父の家が空き家になっていたので。 私が絵を描いて、妻が彫刻を、ちょうどいいかと。 広くて静かで、空気のいい環境…

猫に会いに行った日

僕が学生時代、ペットシッターのバイトをしている子と付き合っていた時のことだ。 そういう家で育ったので僕は犬も猫も興味なかったが、 彼女は遠く離れた故郷の家では犬や猫どころかインコやトカゲも飼っていたのだという。 だけどその頃住んでた学生向けの…

こんな話

映画の設定として考えてみた。 主人公はプロの殺し屋。 仕事の指示を受けるが、ボスのところに集まった情報に一部不確かなものがあった。 (主人公はボスが具体的に誰なのか、実際に会ったことはない) そこには敵が一人いる。仲間も一人いる。 しかしそれが…

雨と怪談

東京都が38℃を越えた一昨日の夜、暑くてよく眠れず。 熱帯夜で昨日は朝から暑い。 しかし曇りがちになって午前中、一昨日よりは暑くならなかった。 天気予報では午後から雨。 その通りにポツポツと降り始め、一気にゲリラ豪雨となった。 生暖かい、巨大な生…

こういう話

こういう話。 ある地方都市の浜辺。 秋。冬が近づいている。 少年はその日家出して、盗んだ自転車に乗ってでたらめに北に進むうちに海辺に着いた。 初めて一人きりで過ごす夜。 母一人、子一人でこれまで育てられてきた。 14歳。意味もなく母にぶつかるよう…

こういう話

こういう話。 主人公は40を過ぎて、サブカル系WEBサイトのライターで食っている。 中央線沿いの古びた二間のアパートで万年床の周りに本とCDが山積み。 食事はコンビニか松屋とか。 書いてる記事は秩父の山奥の廃墟を一人で訪れたとか、 秋葉原のでか盛カツ…

こういう話

こういう話。 2022年。とあるウィルスの流行で全世界の人口の半分以上が失われる。 政治も経済も破綻。企業が次々に倒産し、国家も機能しなくなって無政府状態となる。 電気・ガス・水道、インターネットといったライフラインも失われ、自給自足の生活が続く…

弟の話

兄はとある山奥の村に住んでいて、もうすぐ50になろうとしている。 代々村長の家系で、10年前に父から受け継いで以来なんとか村を束ねてきた。 雨が降らず、冷たい風が吹いて不作の年が続く。 長いことかかってこじれてしまった隣村との戦いはどうにも避けら…

次に書くもの

次に書く小説が少しずつ形になってきた。 大学を出て20年。 学生時代に映画製作サークルに属していた5人が再会して、一夜だけの撮影を行う。 夜新宿で落ち合って、かつて何度も撮影しに行った千葉の内房の海へと車で向かう。 道中いろんなことがあって、砂…

殺し屋もの

会社の行き帰り、今からあの職業に就くにはどうしたらいいだろう、ということを考える。 例えば、殺し屋というもの。 あるのだろうか。ある。この国にも何らかの形で存在するんじゃないか、と思う。 暴力団関係では確かに「ヒットマン」と呼ばれる人がいるよ…

(サンプル)

この季節にしては暑い日だった。 峠をひとつ越えてきたばかりで、額に流れた汗をぬぐった。 向こうに村が見えてきた。 聞いていたようにあちこちに細長い塔が伸びている。 生えていると言った方が近いかもしれない。 家々が寄り集まったところには塔も多かっ…

悪魔と取引をする

悪魔と取引をする。 その存在に前から気付いてはいた。 黒尽くめの格好で尻尾や角があるとかそういうのではない。 気付いたとたん、とてつもない負の領域がそこにあるのを感じて寒気がした。 しかし同時に引き寄せられる。 ダースベイダーがフォースの暗黒面…

生殖活動というもの

こんな夢を見た。悪夢。 会社のPCがコンピュータウィルスに感染して それまでに閲覧したエロサイト、エロ画像が全て表示されてしまう事態に。 動画は音声も流れる。 慌てて止めようとするが数が多過ぎてひとつひとつ止めようとしても追いつかない。 会議か外…

寓話

主人公の女性は、毎日リアルな夢を見ている。 目覚めているときと夢見ているときとで感覚の質感が変わらない。 どこにも存在しない架空の町の中でもうひとつの生活を送っている。 小さい頃からずっと。その町でもまた成長してきた、とも言える。 彼女はその…

「Aliens」

僕が小さかった頃に住んでいたアパートは今思い出すととてもボロかった。 錆びた鉄の階段は見上げるとプラスチックの庇に苔のようなものが生えていて、 吹きさらしの廊下を歩くと漬物とペンキの臭いがした。 僕が母と暮らしていた部屋の隣には顔色の悪いおじ…

「Room Service」

ドラマとかアニメとか連作シリーズとして。 架空の都市の、架空の時代の、架空のホテルが舞台。 大きくもなく小さくもなく目立たない地味な建物。 どちらかといえば古びていて、そんなに儲かってなさそう。 主人公は就職して3年の若い女性でルームサーヴィ…

都市の記憶、その残骸で形作られた町

世界の果てのどこか。 都市の記憶、その残骸で形作られた町がある。 高層ビルが乱立し始めた時期の上海の路地裏。 みすぼらしい薄暗い家々が今にも取り壊されようとしている。 打ち捨てられ、不法占拠者が住むベルリンの集合住宅。 アーティストを名乗るもの…

男と女と女と男

ひょんなことで出会った3人の男女の共同生活。男と女と男。 東京23区の西にある、古い一軒家。 屋上がある。男1がよくあがっていて、タバコを吸っている。 男2は決して上がろうとしない。 そこが男1の気の置けない場所だと感じているからか。 女1は男1…

Something About This Building

30階 子供たちの遊んでいる声、賑やかな音、 ただしその音声がスピーカーから聞こえるのみ、朝も夜も、 それ以外何もない空間 29階 死(それ以上先には進めない) 28階 生(そこから後戻りできない) 27階 色とりどりのツヤツヤとした風船が詰め込まれている…

試作

単調な音楽が天井のスピーカーから流れ始めた。 12時。昼の休憩になった。 第1コンソールの再生を一時停止。第2コンソールのライブラリも検索結果を初期化。 第3コンソールでコーディングしていたインデックスも仮保存していったん落とす。 どれかがかす…

エチュード

「煙草いい?」 「え、あ、どうぞ。…あー、この時間帯もけっこう車走ってるものなんですね。 トラックとか。コンビニとか宅配の荷物運んでんでしょうね。 僕らが普段眠ってる間に」 (後部座席に座る女は無言で前方を見つめている。サングラス。煙草に火をつ…

近未来もののアイデア

近未来。シンギュラリティ以後、 テクノロジーはもはや手の届かないところへと進化している。 一方で人々の生活は後退している。 貧富の差が一層激しくなり、0.1%以下の大富豪が全世界の富を握る。 一般人はもはやインターネットに接続することも携帯電話を…

エチュード2

「足はまだ痛みますか?」 「ええ、まだ歩くのがやっとで。さっきの階段一人で上ってくるの、つらかったです」 「ベッドがあるから、しばらく休むといいですよ。 …ええと、じゃあ、この部屋を使ってください。 前に住んでた人が残してったものがいくつかある…

エチュード1

「それでさ、オマエ、どこいたの? ずっと」 「どこって? 東京いたよ。まあ、西の方だけど」 「あ、そうなんだ。同じとこ? 結婚してなかったっけ?」 「してた。けど、別れた。三年前」 「今はフリー?」 「そういうあんたは? 映画、まだやってるの?」 …

「舟」

夜行バスで明け方駅に着くと、もらっていた切符で改札をくぐった。 自動ではなくて鋏を入れる。駅員に表情はなく、腕の先が動いて返すだけ。 階段を上り、温泉地や交通安全の色褪せた広告がポツリポツリと貼ってある中を歩いた。 階段を下りて吹きさらしの、…