甲子園に行く(前編)

okmrtyhk2009-03-29


出張にかこつけて先週、先々週と京都を堪能。
あと関西でやり残したことはないか?と考えたときに、
ふと、「甲子園で高校野球が見たいなあ」と思い立つ。
行くならもう迷ってられない。
今回の土曜を逃したら、雨天順延が続かない限り次の土曜にはもう終わってる。
首尾よく今週もまた金曜に出張が入って、一泊。
そんで昨日、見に行ってきた。
日本人足るもの、死ぬまでに一度は甲子園で野球を見るべきである。


朝はゆっくり寝て、第2試合から見ることにする。
2回戦、開星(島根)−箕島(和歌山)というカード。


10時前にホテルを出て、梅田へ。阪神電車に乗る。
甲子園行き往復の切符専用の券売機がある。往復で520円。
特急に乗って、途中尼崎に停まって、たった12分で到着する。
近いもんですね。兵庫県にあるからってんで遠そうなイメージがありましたが。
なるほど。これなら東京ディズニーランドみたいに
甲子園は大阪にあると勘違いする人がいてもおかしくはない。


座席に座って発車を待っていたら品のいいおばあさんから
「尼崎に停まりますか?」と聞かれて、初めて乗ってよく分かってないのに、コクリと頷く。
いや、尼崎って有名な土地だから絶対停まるよね?
走り出して、乗ってる間ドキドキする。甲子園まで行っちゃったら悪いことしたなあと。
いくつもの駅を通り過ぎる。川を渡る。そろそろだろうか?
ひなびた工業地帯が広がる。赤と白の煙突から煙が上っている。
イメージ通りの尼崎。
電車がスピードを落とす。ホームに停車してホッとする。


そうだ、話が前後するけど梅田を出てすぐの頃は高速道路の脇を電車は走っていた。
この高架下の細長い、日の当たらない空間が短く区切られて
テニスコートやゲートボール場として利用されていた。
それがどこまでも点々と連なる。
ゲートボールしてる光景なんて何年ぶりだろう?
東京では全然見かけない。大阪に生き残っていた?


車窓から見えた球場近くのタクシー会社にタクシーが10台近く停まっていて、
そのうちの1台が阪神タイガースのユニフォームの縞模様をそのままデコレーションしたもので。
あれが町の中を走っていたら目立つだろうな。


甲子園到着。ぞろぞろと人が降りていく。
定年退職後、野球観戦が趣味って感じの親父と、
小学生ぐらいの息子を連れた家族連れが多いように思った。
駅を出ると球場はすぐ目の前。
辺りはどことなく垢抜けなくて昭和な匂いがした。
地方の観光地みたいにお土産屋が並んでいて。
甲子園と染め抜いたバスタオルやTシャツを売っている。
あと、全国どこでも似たようなのが売ってそうな箱菓子の類。


チケット売り場に並ぶ。
せっかく来たんだからバックネット裏から見たいなあと、中央特別自由席って言うんだったかな。
一番高くて1600円。指定席はないみたいね。


球場の中へ。
これから出場する球児たちなのか、それとも近くの高校の野球部の生徒なのだろうか。
丸刈りでユニフォームを着た、あるいは学生服を着た朴訥とした子たちをあちこちで見かける。
カレー屋にうどん屋、軽食の店が並ぶ。


チケットを見せてスタンドへ。
通路の中で即に何人かファンや記者の人たちが立って試合経過を眺めていて、
抜けて外に出ると観客席はびっしりと埋まっていて。空いてる席はなし。
結構ガラガラなんじゃないかと予想していたら全然違ってた。
階段を上ってかなり上の方まで行かないと席が空いてなかった。
固まって空いてる席を見つけて座ったら思いっきり柱の陰で余りよく見えず。


まあ仕方ないと一息ついて試合を見始めたら9回の裏。
最後のバッターがゴロに倒れたかフライを打ち上げたかでいきなりゲームセット。
清峰が 1 - 0 で福知山成美を下す。
喜びに沸き返るナインと、緊張の糸が途切れて崩れ落ちそうになるナインと。
向かい合って帽子を脱いで礼をして、サイレンが鳴って。
校歌の斉唱。終わって観客席へと駆け出すと大きな拍手の音で迎えられる。


ああ、僕は甲子園に来たんだなあ。