墓参り、桜、石神井公園

この前の土曜は久々に出社もなく、出張帰りに京都などあちこち寄ったりせず、
予定のない日だった。
朝起きて、自転車に乗って父の墓参りへ。
時期的には本来先週の土日の方がよかったんだろうけど、行けず。
それに今週の方が桜も咲いてるだろうと。


着替えて外に出る。
久々に自転車に乗る。大家さんがカバー代わりに布で覆ってくれている。
たまにしか乗らないから、スポークが完全に錆びていた。
あちこちにミシン油を差す。
タイヤの空気は完全になくなっていて、大家さんを呼び出して空気入れを借りる。
この空気入れも古くてあちこち調子がよくなくて、大家さんが注入口を押さえてくれる。
「これから父の墓参りに行くんですよ」と僕は言う。
「どちらまで?」
大泉学園です。自転車でちょうどよい距離で」
「ああ、だったら、帰りに石神井公園の桜を見るといいわね」
「ええ、いつもそうしてます」


自転車に乗って走り出す。
青梅街道を田無方面へ。1時間ほど走る。あれこれいろんなことを考える。
例年通りのルートということで、西東京市保谷庁舎の前まで寄り道。
祖母の家がなくなって、道路になって、ここを訪れる必要は全くなくなったのに、
荻窪に住んでからずっと毎年通っていたからと、今年もまた。
というか他にルートを知らない。右側に傾いた、楕円形のルート。
大泉学園へと向かう。墓の前で線香を上げて、桜は満開。
無造作に手に取った桶の中に桜の花びらが散っている。


保谷駅前のものすごく狭い道路を自転車で通る。
片側一斜線ずつで歩道もないに等しい。
行列のできている店があって、見てみたら大勝軒だった。


石神井公園へ。
いつも東側の遊歩道のある方ばかりを散策していたので、今回は西へ。
自転車を停めて歩き出す。
大勢の花見客がいた。ビニールシートを広げて、持ち込んだ弁当を食べている。
木々のまばらな空き地で子供たちがキャッチボールやバドミントンをしている。
カラフルな遊具の置かれた一角に出て、滑り台を子供たちが賑やかに滑り降りる。


三宝寺池の方に下りていく。池の中に設えた寄木の小道を歩く。
あるところに差し掛かると
望遠レンズを構えたお年寄りの方たちが何人も並んでいて、
なんだろうと立て札を見てみるとカワセミと書かれていた。
池の真ん中に伸びた枝があって、恐らくここに止まるのだろう。


歩いているうちに石神井城跡に出る。
へー石神井公園って城跡だったのか!?知らなかった。
中世に豊島氏が築城したが、太田道潅(江戸城を築いた人ですね)によって攻められて落城、
というようなことが書かれていた。
見れば大勢の花見客で賑わってい売店も「豊島」で、
帰りに通りがかった小さな橋も「豊島橋」だった。
ふーんこの辺りは豊島が多いんだなあと思ったんだけど、
よくよく考えてみたら「豊島区」だとか「豊島園」とか、すっかり根付いてる名前なんですね。
そのルーツがここ、石神井城跡だったのか。


広島焼きを売っている屋台を見つけて、1枚買う。
キャベツをたっぷり敷いて、焼きそばを焼いて、最後に卵を広げて。
隣の屋台で缶ビールを買って、もう1度池まで下りて行って、
空いているベンチを見つけて座って食べる。
土曜の午後、外は暖かく、僕はセーターにスカジャン。
目の前をゆっくりと大勢の人たちが通り過ぎていく。


食べ終えると僕は自転車を停めていた場所に戻って、家路に着いた。
今年の花見はこれで終わり。
春なんて桜の季節の一瞬で、これから先、季節は夏へと向かっていく。
もうちょっとすれば初夏だ。
石神井公園でのんびり過ごすならば初夏の頃が一番いい。