「バタフライ・エフェクト」「セリーヌとジュリーは舟で行く」「スケアクロウ」

これまでに何人かから、
バタフライ・エフェクト」という映画が面白いと薦められてきた。
先日、ようやく見た。


アシュトン・カッチャー主演。
過去を改変できる能力が自らにあることを知った主人公は
昔好きだった幼馴染の女の子を救おうとして何度も過去を変えようとするのだが、
そのどれもがハッピーエンドではなく・・・


見終わった後の気持ちの質感、「ドニー・ダーコ」によく似ている。
映画としてはつたない部分が多々あるんだけど、
そういうの抜きにして「好き」と言わせる何かがある。
主人公がアメリカの普通の郊外に住む、
周りとどこかうまくいっていない若者というのも一緒。


ある種の、ストーリーの切なさ。
映画であるがゆえにありえないような出来事が起きる。
でもまあそれはどうでもいい。
大事なのは、運命に翻弄され、なすがままになって、
救いがたいぐらい悲しい結末を迎えるということ。
つまり、SFに形を借りたメロドラマ。
しかもアメリカの現代の若者を描いた。
こういうの、僕なんかはどうしても抗えない。


続編「バタフライ・エフェクト2」があるようだが、
とんでもなくひどいらしい。
過去を変える能力以外には共通点はない、というシロモノ。
監督も役者も全く違う。
アメリカはなんでこういう映画好んで作るのかね。
こんなことして、当たったことあるのだろうか?
ヒットした映画の続編ってスポンサーが金を出しやすい、ってことなのだろう。
で、その企画書には美辞麗句書かれているのだろう。

    • -

続けて見たのが、ジャック・リヴェット監督の「セリーヌとジュリーは舟で行く」
ジャック・リヴェットはこれが初めて。
タイトルがいいですよね。
会社の尊敬する先輩が面白いと絶賛してたのがもう3年前か。
これまた、ようやく見た。


3時間の映画。話はほとんど、ない。
舞台はパリ。セリーヌとジュリーが出会って一緒に暮らすようになって、ドタバタ。
そこになぜかブルジョワ階級のメロドラマが入り込んできて・・・
結局何が何なのかよく分からず。必然性ゼロの出来事ばかりが続く。
でも、最後の、セリーヌとジュリーが舟で行く場面にははっと息を呑む。
その場面がなかったとしても、忘れられない、愛すべき作品となりそう。
不思議としか言いようがない。
瑞々しいとかセンスがいいとかそんなでもなく、冗長と言えば冗長。
主演の2人も美人ってわけでもないし。
結局のところ僕はヌーヴェルバーグってものがよく分かってない。

    • -

スケアクロウ」1973年、アメリカ。
ジーン・ハックマンアル・パチーノの2人が主演という、豪華なロードムーヴィー。
切なくて、心温まる、古きよき70年代のアメリカ。


6年の刑期を勤め上げたマックス(ジーン・ハックマン)と
5年の船員生活を終えたライオン(アル・パチーノ)が
ヒッチハイクの途上で意気投合。ピッツバーグで洗車屋を開こうと決まる。
その途中、デンバーでマックスの妹の家に寄って、ライオンの息子に会おうデトロイトへと向かう。
金のない2人はヒッチハイクに貨物列車の無賃乗車を繰り返す。


やはり見所は当代きっての名優2人の丁々発止のやりとり。芸達者だよなあ。
カンヌでパルムドールを獲得している。
90年代以後の芸術路線からすると、
こういうハートフルなコメディが選ばれるというのはちょっと以外。
それはそれでいい時代だな、と思う。