青森帰省 '2011夏 その3(8/20 六ヶ所村〜東通村)


車に乗って下北半島を北上する。
30分もしないうちに風車が近くに見え出す。
しかし、竜飛岬のような風車に親しむための公園がどこにも見当たらず、
どこかになにかあるはずと車を走らせるがさっぱり。
適当に道端に停めて写真を取る。
日が高くて眩しくて、なかなかいいアングルで撮れない。
そうこうしているうちに六ヶ所村の奥深くへ。
牧場では茶色の牛がのんびりと草を食み、
その周りにポツリポツリと風車が立っている。
あるものは羽が回転し、あるものは静止している。
静止した細長い風車を見ていると、ナウシカ巨神兵を思い出した。


「日本一深い温泉」というのがあった。
しかし、営業していないようだ。
核燃料再処理施設付近で日本一深い温泉と言われると
なんかちょっと怖い。というかブラックユーモア?


村の中心部へ。原燃PRセンターの前を通り過ぎる。
立派な体育館やグラウンド。
公共の施設はどれもカラフルで真新しい。


隣の東通村の庁舎が奇抜な形をしているから見に行こうということになる。
森の中のまっすぐな道。下北半島を太平洋沿いに北上する。
自衛隊の広大な施設が有刺鉄線で囲まれている。
陸奥湾側と違ってこの辺りは鉄道が通っていない。
下北交通のバスとすれ違う。土曜の昼だというのに客はまばら。
本数も少なく赤字経営なんだろうな。
しかし、他に足となるものがないのでやめるにやめられない。


物見崎に出る。ここから漁師の村へ。
古きよき日本の漁村。壊れかけの小屋には色褪せたポスターが貼られ、
庭先の砂利に昆布が広げられている。
津軽半島蟹田から先の海沿いの風景によく似ている。
原子力発電所があるとは到底思えない。全然潤ってなさそう。
地元のコンビニみたいな店に入って飲み物を買う。
品揃えが少なくてスカスカ。


峠の上から一瞬、発電施設が見えた。真っ白な四角形。
国道を走る。有刺鉄線もまた果てしなく続いている。
木々の向こうに隠されている。
その隙間から巨大な鉄塔が連なり、
分厚い血管のように送電線が伸びているのが見えた。


1時間以上走って東通村の庁舎は依然として遠く。
このまま行くと下北半島の東の端、尻屋崎まで着いてしまう。
緯度的にはむつと変わらないところまで来た。
陸奥湾の奥の浅虫温泉に行くはずが、かなりの長距離ドライブとなる。


15時頃ようやく到着。庁舎の周辺だけ、開発が進んでいる。
あちこち建設中。しかし、人の住んでいる気配に乏しい。
周りに民家は数えるだけ。
噂の庁舎はこれだろうか、真っ黒な半円形。
兜から角を取ったかのよう。いや、巨大な入道坊主の首か。
無数の目のように窓が開いている。
これは村の観光物産系の施設だったか。
母によれば僕が生まれる頃の東通村の庁舎は
なぜかむつ市にあって、話題となったのだそうな。
隣の体育館でトイレを借りる。新しくて立派な施設。
原発と引き換えに得られるものについて、考える。


帰り道はいったんむつに出る。懐かしい。
しかし日も暮れかけてきて立ち寄らず。
本日田名部神社の祭礼が行われるため
市内は混雑が予想されると看板があった。
そういえば野辺地もまた祇園まつりだったか。
大漁旗を掲げた無数の漁船が集まるのだという。


途中、下北縦貫道路(下北道)を走る。無料の高速道路のようなもの。
本来はむつまで延びるはずで、整備がまだまだ続くようだ。
六ヶ所でぶつかった大掛かりな工事現場は
この下北道のためのものだったのかもしれない。


道路のあちこちで、縦に細い溝が掘られている。
なんらかの雪対策なのだろうか。