「メタボリズムの未来都市展」

身の周りの人が何人か見に行ったということもあり、
メタボリズムの未来都市展」を見に行った。
http://www.mori.art.museum/contents/metabolism/index.html
六本木の森美術館。東京は終日雨。


朝早く起きて行く。
10時より。混んでると聞いていたけどそうでもなかった。
チケットもすぐ買えた。美術館の残り半分で開催されている
噂の「ドラクエ展」が11時オープンだったからか。
帰りに通り掛かったら入り口に行列ができていた。


メタボリズム」とは1960年に開催された「世界デザイン会議」を
きっかけとして生まれた建築理論のムーヴメントと呼ぶべきか。
丹下健三とその門下生である黒川紀章菊竹清訓らを中心とし、
そこにデザイナーや建築評論家も加わった。
磯崎新大谷幸夫もその周辺にいた。
第二次大戦によって破壊された都市をいかに復興するか? から始まりつつ、
時代は高度経済成長によって急成長する日本社会の加速度的なスピードと共にあった。
1955年の「広島ピースセンター」が全ての始まりとなったものの
築地や麹町といった既存の都市の再開発にとどまらず、
海上都市や空中都市へと発想は広がっていく。
メタボリズム」とは新陳代謝のこと、
都市が環境の中で変化し、生き物として成長していくメタファーに貫かれている。
建築物はその細胞であり、ビル群は体表に現れた突起物となる。
老廃したならば入れ替え、手狭になったならば伸張することを前提とする。
なのでそのそもそものデザインが細胞的、セル的である。
展示されている写真や模型を見ているとまさに異次元からの生き物のような。
幾何学的な「抽象」が現実を食い破ってビル群という巨大な「具体」となる。
その獰猛さに心奪われる。
このモダニズム、「ウルトラQ」なんかにもつながっていくんだろうな。
興味の沸いた人はこちらから写真を見てみてください。
http://ism.excite.co.jp/architecture/rid_E1315883907005/pid_1.html


先日「中銀カプセルタワービル」について書きましたが、
意外なところでその代表的建築物を他にも結構目にしているんですね。
銀座の静岡放送・静岡テレビのビルや代々木競技場、京都国際会館
テレビの中で見た小さいときの記憶でしかないけど、沖縄海洋博のアクアポリス。
そして1970年の大阪万博が「メタボリズム」の頂点となり、丹下健三指揮の元、
グランド・デザインから個々のパビリオン、パンフレットやポスターに至るまで、
あの色鮮やかにして近未来的なデザインに満ち溢れた祝祭的な空間となった。
(このレトロ・フューチャーっぷりがあまりにもかっこよく、
 帰りに大阪万博の写真集まで買ってしまった)


ビル群の近未来的なデザインもさることながら
興味深かったのはそれをミニチュアサイズで再現した模型の方。
素材は木材であったりプラスチックであったり。
よくできているのに図録ではそのほとんどをカット。もったいない。
豆粒サイズの人間が配置されているもの、配置されていないもの。
現実に沿ってカラフルに着色されているもの、
影のように真っ黒く塗りつぶされたもの。
植物もそう。緑色に着色されたもの、他と合わせて一律茶色なら茶色とされたもの。


午後に予定があって駆け足。
時間があったらもう一度見たい。


それにしても、最後に買う図録。
写真だけでいいから、半分ぐらいのサイズと値段にならないかな。
解説と評論は結局読まないし。別冊になっているといいな。