目の前の風景を全て消し去ってそこには地平線が広がるようにする
窓の向こうにあってそれは水平線の方がいいんじゃないかと思うからそうする
だったらこの部屋は今この瞬間から船になる
海を行くうちにそうだ、ロケットになり宇宙船になる
遠く向こうに星がひとつだけ輝いている
消えていく、暗闇になる、真っ白な部屋が広がる
そこで僕に話しかけてくれる人のことを考える
現れてその人は僕の考えることを僕に話しかけてくる
僕はその人と会話を交わそうとする
その人がどこかに消えていく僕はまた別の誰かをここに呼び出す
おはよう、こんにちは、外では雨が降っていますか?
いえ今日の天気は晴れです
僕はこの部屋の窓をなくしてしまったから
その人が本当のことを言っているのかどうか分からない
波打ち際に立って寄せては返す波がそこにあることを思い浮かべる
その音を聞こうとする
そしてまた僕はひとりきりになる
時間が来た今日もまたこの惑星を去るときが来た
だけどこの世界から、外に出ることができない
ありがとう、さようなら