『東京裁判』

昨日は1日がかりで『東京裁判』を観ていた。
DVD2枚組で4時間半という記録映画。
監督は小林正樹。製作は1983年、講談社
探したら全編ネットに上っていた。びっくり。
http://video.google.com/videoplay?docid=-4891572711949325809#


いったいどこから語ればいいのか…
この映画について、そもそも東京裁判について。
第二次大戦終了直後、GHQマッカーサー司令官肝いりで
戦勝国側”が東條英機以下28名の戦犯を裁く。
1946年5月3日に審理が始まって、判決は1948年11月12日に下される。
7名が絞首刑。残りの多くが無期懲役となる。
果たしてそれは公正な裁きだったのか。
アメリカ人弁護人の一人は言う。
(そう、アメリカ人が日本人を弁護した)
戦争で人を殺すことが罪になるのは敗戦国だからで、
アメリカが原爆を投下したことは罪にならないのか?
いったい誰が戦争を裁けるのか、そもそも戦争とは何なのか。
結局のところ我々は未だに自衛と侵略とは何なのか、
どこにどんな線が引けるのか明確な定義ができずにいる。


そして昭和天皇の戦争責任の有無。
東京裁判ではマッカーサーアメリカ政府の意向により問われないこととなった。
(映画でも東條英機とキーナン主席検察官の質疑がクライマックスとなる。
 東條英機がうっかり天皇の責任を認める内容の発言をして、
 キーナンが工作して後日改めさせるという)


この2年半の厖大な量と思われる記録映像に、戦中戦後のニュース映像など。
抑制された語り口ですっきり分かりやすくまとめられていて、見てて飽きない。
審理は満州事変、支那事変、太平洋戦争などと出来事の順番に検証され、
それら昭和の歴史を語る線と、実際の審理の日々の線とが重なる。
ゼネストの回避、日本国憲法の制定、ガンディー死去など。
これが巧みなんだな。


東條英機の頭を叩く大川周明
満州事変後、国際連盟で演説する松岡洋右
証人台に座る愛新覚羅溥儀
最後の立ち回りを見せる石原莞爾
次々に撃ち落とされる零戦
中国政府が撮影した南京大虐殺後の映像。
ビキニ環礁での初めての核実験。
映像が残っているというのは、…恐ろしいことだ。