『ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』『別離』

引き続き。『ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』
会社の帰り、銀座のヒューマントラスト・シネマに見に行く。
結構入ってた。1日で入場料が安かったからだろうか?


2009年に亡くなったピナ・バウシュに対する、
ヴィム・ヴェンダースとヴッパタール舞踏団のダンサーたちによる
トリビュートというかメモリアル。
そんなふうに割り切って捉えるとなかなかよい作品だった。
ピナ・バウシュの身体の躍動感や瑞々しさを映像で見ても、って普通思うけど。
(僕の身の回りでも否定的な意見をいくつか目にした)
ヴェンダースはこれを3Dで撮影していて、なるほどなと。
苦肉の策だけど、これはこれでイントロダクションとしていいんじゃないかな。
春の祭典』『カフェ・ミュラー』『コンタクトホーフ』『フルムーン』の4作品を
劇場や屋外で踊る。ところどころ劇団員のソロやモノローグ、
ピナ・バウシュの指導風景の古い映像が挟まる。


僕がヴッパタール舞踏団の来日公演を見たのは2004年だった。
新宿文化センターで『バンドネオン』を。
これまでの人生で最も得体の知れないものを見たように思った。


パッと見、抽象過ぎてわかんない。
でも根源的な最も奥底なところでなぜか共感する。
ということでピナ・バウシュとエミリー・ウングワレーが個人的に重なる。


屋外のシーンは全て、ドイツ西部のヴッパタールにて。
ここには世界最古のモノレールがあるという。
その映像が妙にダンサーの動きとシンクロする。
というかダンサーたちは全ての動くものにシンクロするのだろう。

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5/2(水)この日は会社を休んで五連休初日なのだが、あいにく雨。
渋谷 Bunkamura のル・シネマにて『別離』
平日の初回なのにほぼ満席。


イラン映画ベルリン国際映画祭で最高賞だけではなく、
アカデミー賞の外国語作品賞も受賞。
この時期イランの映画がアメリカで評価されたというのがすごい。
でもそれも頷ける、優れた作品だった。今年を代表する1本かもしれない。


西洋化した中流階級の夫婦と信仰に忠実な下層階級の夫婦の人生が交錯し、
些細なことから後味の悪い悲劇が起きる。
派手な場面はなくただか弱き人間たちが言い争っているだけなのに。
人間を、家族を描いた作品としてなんなのだろう? この緊張感。


僕がクドクド言うよりもプログラムの中の手嶋龍一氏の言葉を引用したい。
「いまのテヘランに淡々とした人々の生活があってもすこしもおかしくはない。
 だが一方で日々の暮らしを映像に隈どり、
 一つの物語として巧みに表現できる国は多くない。
 自己を見つめ、物語に紡いで、観客に伝えるわざをもつ国は、
 高い文化の力を蓄えている」

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有楽町のヒューマントラストシネマの1階が小ぎれいなパチンコ屋。
最近のパチンコ屋は入り口のコンパニオンのような女性が
iPad持って立ってるものなのか。