『おおかみこどもの雨と雪』

このところ仕事がうまくいかなかったり、学校の方のPJが忙しかったり。
リフレッシュしたくなって会社を休む。
お台場に『おおかみこどもの雨と雪』を観に行く。
時をかける少女』『サマー・ウォーズ』の細田守監督の最新作。
やはり、Twitter などで見かける評価が高い。
http://www.ookamikodomo.jp/index.html


久々にゆりかもめに乗る。平日の朝なのに混んでいる。子どもたちばかり。
そうか、夏休みだからだな。10時過ぎで既にフジテレビは大勢の人だかり。
その一方で映画館は全然入っていなかった…
おおかみこどもの雨と雪』も。4・5人か。


見終わって、ため息をつく。うっすらと涙も。
まごうことなき最高傑作。
もののけ姫』『千と千尋の神隠し』と並ぶ。
アニメ形式によって語られる物語の世界最先端ですね。必見です。


狼男の子どもを生んだ女性。
娘と息子は人となることを選ぶか、狼となることを選ぶか。
たったこれだけの設定で、プロットも直線的で単純。
なのに表現力が豊かで、ストーリーもどんどん力強さを増していく。
要はシンプルなものをどこまで掘り下げるかですね。


・キャラクターたちが会話する
・風景を映しながらモノローグがかぶさる
・絵本で語る場面がある
・セリフはなく動きと音楽だけで伝える
・幻想的にしたり、回想を回想として浮き立たせる
・リアルタイムに流れる時間と、省略のため流れ方の異なる時間


などと語り口も多様。勉強になった。
そもそも、映像がアニメとは思えないぐらい美しかった。
アニメでもなく、実写でもなく、CGでもない。
風がそよいで湖面が波立つところには遂にここまで来たか、と。


主人公3人の表情も素晴らしかった。
本棚に並ぶ本が『ぐりとぐら』だったり1冊1冊きちんと描き分けられていて、
ディテールへのこだわりにも唸らされた。
冒頭の街の場面。国立で一橋大学で、兼松講堂だった。
ほくしんクリーニングの上にはモンブランの看板があって、白十字バーミヤン
線路沿いのあの坂道を僕も毎日歩いて帰った。
クリスマスのイルミネーションであるとか。リアルすぎて驚いた。


最後、パンフレットから引用。脚本家:奥寺佐渡子の発言。
「制作の間に3.11というものがあり、今もまだ震災は続いています。
 そんな震災以降の日本には合わないのではないかと内容を変更したり、
 ボツになったりした映画企画も本当に多いです。
 でも、この『おおかみこどもの雨と雪』という作品は、
 なにも変わりませんでした。
 震災以降の日本でも、まったく同じ強さをもっていました」