靖国神社 '2015

いつのまにか桜も散り始めて、都内の花見も今週末が最後か。
昼休み、靖国神社に桜を見に行く。
というか、屋台でおでんを食べながら缶ビールでも飲もうかと思う。
花より団子、というか花も団子も。


靖国通りを歩いていたら地下鉄の出口のひとつで呼び止められる。
片言の英語で、○○ホテルはどこかと。
キャリーカートを引いた女性2人。韓国人か中国人か。
大げさに腕を伸ばして
「This Way, and turn left.」とこちらも片言の英語で伝える。
ざっくりだけど、まあ、それぐらいでいいかと。


歩き出して、ふと気づく。
しまった! 通りを一本間違えて逆方向だった。
慌てて引き返す。振り返っても見当たらず走り出す。
案の定トンチンカンな角で曲がってキョロキョロしていた。
追いつくと僕は背中をポンポンと叩いて、「こっち」と促す。
僕も海外で道がわからなくて困ったときに
見知らぬ人に助けてもらったことが何度もあった。
少しは恩返ししないと。


5分ほど歩いて、角を2つ曲がって、
「あの看板が○○ホテル」と見えるところまで先導した。
「Thank you very much.」と何度も言われて、そこで別れる。
「どこから来たのか」とか「さっきはごめんなさい」とか
言えばよかったと後から思うが、
そのときは「申し訳ない」「道は確かこっちでいいんだよな」
という思いでいっぱいだった。
道を案内するというのは日本語であっても難しい。


あの人たちも日本に桜を見に来たのであろうか。
旧正月に引き続き中国人観光客が大挙して訪れ、
都心のホテルはどこも満室というニュースを見かけたばかりだった。


靖国神社の境内は今年もまたずらっと屋台が並び、賑わっていた。
武道館では法政大学の入学式が行われていて、
そこから吐き出されてくる無数の学生たちも芋の子を洗うかのようにすごかった。
外国人観光客がやはり多い。アジア系もヨーロッパ系も。
例年より多くなったように感じる。
ケバブなんかは前から外国人が売っていたけど、
とある店で妻への土産に焼き鳥を買おうとしたら
40過ぎぐらいの白人で痩せて刺青をした男性が焼いていた。
どこでどう流れ着いたのか。
昔なら路上でアクセサリー売っていたような、そんな感じの人。
日本人の店員も他に外国人の客が来ると英語で話している。


そんな靖国神社も「大東亜戦争 終戦七十年」と大きく看板が出ている。
中国や韓国とのしこりは今も残るけど、
花見客となるとその辺りおおらかになるのか。
概念としての靖国神社と花見の名所の靖国神社とは乖離しているのだろう。
たまたま同じ場所というような。
不思議な気持ちがした。


おでんの盛り合わせとたこ焼きを食べる。
たこ焼きにはうずらの玉子が入っていた。
これが意外と、おいしかった。